◆ 開幕一軍

 プロ3年目のロッテ・安田尚憲が、開幕一軍を勝ち取った。

 プロ1年目の18年はプロ初本塁打を放ったが、2年目の昨季は一軍での出場はなく、ファームで122試合に出場し、全てで4番に座り、19本塁打、82打点を挙げ、イースタン・リーグの本塁打王に輝くなど、みっちりと経験を積んだ。

 ただ本人は、昨季終了直後、一軍出場がなかったことについて「もちろん悔しかった。キャンプインしたときと目標にしていたこととだいぶ違いましたけど、自分の実力がなかっただけ。来年に向けてしっかりやっていきたいと思います」と悔しがったが、気持ちは2020年シーズンに向いていた。

 一軍で出場するため、レギュラーを掴むため、安田に休みはない。シーズンオフはプエルトリコのウインターリーグに参加し、技術向上を図った。

 「このオフシーズンでやってきたことを出せるようにということが一番だと思うので、あんまり気負いすぎずにやっていきたいと思います」。

 2月1日の春季キャンプに突入した。

◆ 2、3月の練習試合は…

 キャンプ一軍スタートを切り、その後の練習試合も一軍で過ごしてきたが、2月の練習試合の打撃成績は、打率.242(33打数8安打)、1本塁打、8打点。オープン戦が始まってからも、2月29日の楽天戦から3試合連続でスタメン出場も11打数0安打。途中出場した3月4日のオリックス戦で、1安打2打点も、そのほかの試合でインパクトの残る働きを見せることができなかった。

 3月には、阪神で通算2085安打を放ち、同じ内野手を主戦場にすると鳥谷敬が加入した。ポジションは違うとはいえ、一軍の枠を争うライバルが増えた。またこの時期、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定されていた3月20日のプロ野球の開幕が延期となった。

 開幕が6月19日に変更となったことで、再びアピールするチャンスができた。6月2日に練習試合が始まったが、安田はこのとき一軍ではなく、ファームの練習試合に出場していた。安田は4日の日本ハムとの練習試合に代打で出場し、9回の2打席目にライトへ二塁打を放った。5日の楽天との練習試合で3打数0安打だったが、翌6日の巨人との二軍練習試合で2本塁打の大暴れ。

 7日の楽天との練習試合で、再び一軍に合流すると、守備から途中出場し1安打。この日の試合から安田は一軍の練習試合で、4試合連続で安打をマークした。そして、練習試合最後となった16日の巨人との練習試合では、8回に巨人の古川侑利が投じた変化球を、レフトスタンドへ運ぶ本塁打。開幕一軍を大きく手繰り寄せる一発となった。

 安田は昨年も打撃フォームをたびたび変えていたが、今年も練習試合がはじまってから打撃フォームを微調整しているように見える。昨年8月の取材で、安田に打撃フォームを変更する理由について質問すると「良くしようと思ってやっていますね」と話していた。今回も“良くしよう”と思い、改良していたのではないだろうか。その結果、6月2日以降の一軍練習試合で、打率.375(16打数6安打)、1本塁打、2打点の成績に繋がったのではないだろうか。

 1月の自主トレで、「レアードもいますし、井上晴哉さんもいますし、すごく高い壁。簡単に(レギュラーが)獲れる世界ではないと思うので、まずは目の前の自分のできることをしっかりやっていきたいというのが、自分の今年の目標です」と掲げていた。

 開幕一軍を掴み、レギュラーを勝ち取るための挑戦権を得た。ここからは自分の“結果”次第で、見えてくる世界が変わってくる。安田尚憲のプロ3年目、どのような“結果”を残すのか非常に楽しみだ。

文=岩下雄太