◆ 待望の生え抜きスラッガー誕生へ

 2020年のプロ野球も、多くのチームが10試合を消化。少しずつではあるが、各球団の現状が見えてきた。


 セ・リーグでは、連覇をねらう巨人が開幕から4連勝と好発進。一方、昨季は終盤の追い込みで3位に滑り込んだ阪神が、貧打に苦しみ下位に沈んでいる。

 10試合を終えたところでチーム打率.201・総得点19はいずれも12球団ワースト。打線の新たな軸として鳴り物入りで獲得したジャスティン・ボーアが開幕から18打席無安打に苦しんだのをはじめ、昨季プロ1年目で大活躍を見せた近本光司らも不振に喘いでおり、貧打のまっただなかにある。

 
 そこでファームの方に目を向けて見ると、直近の救世主候補…というわけではないが、楽しみな選手が奮闘を見せている。昨年のドラフト2位で入団した高卒スラッガー・井上広大だ。

 6月23日の開幕戦から「4番・右翼」でスタメン出場を果たすと、プロ初安打となる二塁打をマーク。3試合目にも二塁打を含む2安打で3打点と、早くも存在感を発揮している。

 高卒1年目ということもあり、すぐに一軍の戦力として…という期待は難しいかもしれないが、大砲不足のチームにとっては明るい兆しと言えるだろう。


◆ 生え抜きの30発は掛布・岡田が最後

 阪神には、長らく生え抜きの日本人スラッガーが生まれていない。直近でシーズン30本塁打を記録したのは、日本一となった1985年の掛布雅之(40本)と岡田彰布(35本)が最後であり、それはもう35年も前のことである。

 「生え抜き」や「日本人」というくくりを取り除いても、直近のシーズン30本塁打以上は2010年のブラゼル(47本)となっていて、9年間も不在となっているのだ。


 近年では、2017年に中谷将大が20本塁打を放ち、生え抜きの大砲候補として期待を集めていたが、翌年以降は低迷。昨季は20本塁打に到達した選手すらおらず、大山悠輔の14本塁打がチーム最多だった。

 本拠地が広く、本塁打の出にくい甲子園球場ということを差し引いても、これはあまりに寂しい。


 現在の一軍主要メンバーを見てみても、マルテやボーアといった外国人選手、糸井嘉男や福留孝介といった移籍組のベテラン。生え抜きでも、糸原健斗に近本光司や木浪聖也といった、社会人出身の選手が大半を占めている。これはもう大砲だけでなく、野手全般の育成がうまくいっていないということを表している。

 ほかのセ・リーグの球団を見ると、岡本和真(巨人)や鈴木誠也(広島)、山田哲人に村上宗隆(ともにヤクルト)、高橋周平(中日)などなど、生え抜きの若い選手たちがチームの中心にドンと座っている。

 彼らはみな、高卒でドラフト上位指名された選手たち。それぞれのチームが、数年の時間をかけて、チームの主軸へとしっかりと育て上げた。

 ここ数年、野手の育成がうまくいっていない阪神ではあるが、ぜひ井上には虎の主砲としてチームを引っ張っていってほしい。これからの阪神の育成に注目だ。