◆ 今季の楽天を支える4人の3割打者

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、開幕が延期となった2020年のプロ野球。そんなペナントレースも開幕してはや1カ月以上が経過した。巨人が一歩抜け出した感のあるセ・リーグとは異なり、パ・リーグは上位4チームが2ゲーム差の接戦となっている。そのなかで、V4を狙う絶対王者ソフトバンクに肉厚しているのが、楽天である。

 今季の楽天のウリのひとつが打撃力。チーム打率.273は2位のソフトバンク(.250)を2分以上引き離し、189得点も2位ソフトバンク(158)と30点以上の差をつけている。そんな強力打線を引っ張るのが、茂木栄五郎、ロメロ、鈴木大地、そして開幕から好調の浅村栄斗の4人の3割打者だ。

 開幕して1カ月以上が経過した現時点でパの3割打者は8人。そのうちの半分を楽天が独占している。序盤のチームのけん引した投手陣が調子を落とすなか、28日のロッテ戦でも強力打線の力で最大5点あった点差を一時は逆転するなど、驚異的な力を発揮した。さらに現在、打率.288の島内宏明も、ここ2試合は8打数7安打と本来の調子を取り戻しつつある。


◆ 打線の半数が3割打者でも……

 ちなみに、打撃に優れたチームは近年、どんな成績を残していたのか。調べたのは、過去10シーズン(2010年〜2019年)で規定打席に到達した選手のうち、3割打者が3人以上いたチームとその成績。そして、3割打者の人数におけるランキングもつけてみた。

※選手名の横にあるカッコ内の順位は打撃成績における順位
【1位:5名】
▼ 10年:阪神(2位)
チーム打率.289(セ1位)
チーム得点 740(セ1位)
<到達者>
・平野恵一(.350/2位)
・マートン(.349/3位)
・新井貴浩(.310/7位)
・城島健司(.303/12位)
・鳥谷 敬(.300/13位)

▼ 14年:ヤクルト(6位)
チーム打率.278(セ1位)
チーム得点 667(セ1位)
<到達者>
・山田哲人(.323/3位)
・雄  平(.316/6位)
・畠山和洋(.310/8位)
・川端慎吾(.305/10位)
・バレンティン(.300/11位)

▼ 14年:ソフトバンク(優勝/日本一)
チーム打率.280(パ1位)
チーム得点 607(パ1位)
<到達者>
・柳田悠岐(.316/3位)
・中村 晃(.308/4位)
・内川聖一(.307/5位)
・李 大浩(.300/6位)
・長谷川勇也(.300/7位)

 過去10年でもっとも3割打者が多かったのは阪神、ヤクルト、ソフトバンクの3チームで「5人」だった。首位打者のタイトルを獲得した選手こそ現れなかったものの、その年のリーグ1位となるチーム打率を記録している。

 しかし、チーム成績を見てみると、優勝したのは2014年のソフトバンクのみ。同年のセ・リーグ最高打率を誇ったヤクルトは、最下位に沈んでいる。

 言うまでもないが、両者の決定的なちがいは投手陣にある。日本一に輝いたソフトバンクはリーグ1位の607得点に対し、失点は522(リーグ2位)。一方のヤクルトは667得点とソフトバンクをも上回り12球団1位だったが、失点717もダントツの12球団ワーストだった。さすがに得点を上回る失点を喫しては、上位進出は望めない。


【4位:4名】
▼ 18年:ヤクルト(2位)
チーム打率.266(セ1位)
チーム得点 658(セ2位)
<到達者>
・青木宣親(.327/4位)
・雄  平(.318/7位)
・坂口智隆(.316/9位)
・山田哲人(.314/10位)

 5人の3割打者を輩出した2014年から4年後、再びヤクルトが3割打者を4人も輩出。数こそひとり減ったものの、順位は4年前とは異なりAクラスに入っている。チーム打率と得点(658)は4年前より下がったが、チーム防御率4.13はセ・リーグ4位と向上。失点も得点をわずかに下回る結果となった。


【5位:3名】
▼ 10年日本ハム(4位)
チーム打率.273(パ2位)
チーム得点 612(パ5位)
<到達者>
・田中賢介(.335/2位)
・小谷野栄一(.311/10位)
・糸井嘉男(.309/12位)

▼ 12年:巨人(優勝/日本一)
チーム打率.256(セ2位)
チーム得点 534(セ1位)
<到達者>
・阿部慎之助(.340/1位)
・坂本勇人(.310/2位)
・長野久義(.301/4位)

▼ 13年:ソフトバンク(4位)
チーム打率.274(パ1位)
チーム得点 660(パ1位)
<到達者>
・長谷川勇也(.341/1位)
・内川聖一(.315/6位)
・中村 晃(.306/7位)

▼ 18年:広島(優勝)
チーム打率.262(セ3位)
チーム得点 721(セ1位)
<到達者>
・鈴木誠也(.319/6位)
・丸 佳浩(.305/14位)
・松山竜平(.302/15位)

▼ 18年:中日(5位)
チーム打率.265(セ2位)
チーム得点 598(セ4位)
<到達者>
ビシエド(.347/1位)
平田良介(.328/3位)
アルモンテ(.321/5位)

 5チームで3人の3割打者を輩出。ビシエド、平田良介と2018年のセ・リーグ打率ランキングトップ3のうちふたりを擁した中日よりも広島の方がチーム順位は上だったように、打撃一辺倒では勝てないし、高打率だから得点が多くなるというわけでもない。だが、そのなかで異彩を放つのが2012年の巨人だ。

 前年から使用されていた統一球の影響もあり、2011年〜2012年は3割打者が激減。ひとりも輩出できなかったチームもあったが、そのなかで3割打者を3人揃えられたのは大きなアドバンテージとなった。

 ここまでの結果を見ると、今季の楽天も優勝のためには打者だけでなく投手陣の頑張りも必要。ちなみに楽天のチーム防御率は、7月28日終了時点でリーグ4位の「4.31」と悪化傾向にある。大乱戦を終えた直後の試合でどのような結果を残せるのか、打撃陣の頑張りと共に投手陣の踏ん張りにも期待したいところだ。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)