◆ 一、三塁

 10安打放ったが、長打は1本もなし。いずれも単打だ。それでも、マリーンズは次を狙う積極的な走塁で、今季20度目の逆転勝ち。ソフトバンクとの“首位攻防戦”第1Rを制し、ゲーム差を「2.5」とした。

 “次の塁を狙う”姿勢が活きたのは、逆転した7回の攻撃だ。1−2の7回一死一塁からマーティンが2番手・板東湧梧のフォークをセンター前に弾き返すと、一塁走者の加藤翔平は一気に三塁へ進塁。加藤は続く代打・菅野剛士の右安で生還し、一塁走者のマーティンは三塁へ進んだ。

 4番・安田尚憲の打席中に、同点適時打を放った菅野の代走で登場した和田康士朗が、代わった嘉弥真新也が投じた初球に二塁盗塁を決める。安田は死球を選び満塁とすると、中村奨吾が4番手・泉圭輔からセンター前に弾き返す適時打。三塁走者のマーティンに続き、センターの上林誠知がやや打球処理をもたつく間に二塁走者の和田もホームインした。この回長打なしで、足を使った攻撃で3点を挙げ逆転に成功した。

 一塁から三塁へ進塁した加藤、マーティンはいずれも打球が間を破る当たり、大きな打球ではなかったが、好判断で1本の安打で一塁から三塁へ進み得点に繋がる大きな走塁だった。

 得点には繋がらなかったが、4−2の9回二死一塁から佐藤都志也の右安で、一塁走者の中村が三塁へ進んでいる。

◆ 今季は積極的な走塁が多い

 今季のマリーンズを見ていると、安打1本で、1つ先の塁だけでなく、2つ先の塁を徹底して狙っている印象だ。

 7月31日の楽天戦では、4−2の6回二死一、三塁から藤岡のライト前タイムリーで、外野の守備が深かったこともあり、一塁走者の田村が三塁へ進塁する好走塁を見せれば、8月2日の楽天戦でも、1−3の6回一死一塁からマーティンのセンター前へ抜けるヒットで一塁走者の中村が外野の守備位置が深いと見て三塁へ進塁。井上の犠飛で生還するということがあった。8月13日の日本ハム戦では、5−5の7回一死一塁から井上の三塁強襲の内野安打で、ショート方向に打球が転々とする間に一塁走者・マーティンが三塁へ陥れた。

 8月20日のソフトバンク戦では、4−4の10回二死一、二塁で佐藤の打席で椎野が暴投。バックネット裏にボールが転々としている間に、フルカウントでスタートを切っていた二塁走者・鳥谷が三塁ベースを回ってホームへ。タイミングは微妙だったが、甲斐からホームベースカバーに入った椎野への送球が若干逸れ、タッチをかいくぐるようにヘッドスライディングしてサヨナラのホームを踏んだ。

 ここに挙げただけでなく、そのほかにも次の塁を狙う素晴らしい走塁を何度も披露している。今年は相手の隙を突いて得点する場面が目立つが、マリーンズの走塁が相手チームに見えないプレッシャーを与えているのではないだろうかーー。

 盗塁数は12球団トップの55盗塁だが、盗塁だけではない“走塁意識”の高さが好調マリーンズを支えるひとつといえそうだ。

文=岩下雄太