今回は子どもが野球をやる「目的」と「目標」について語りたいと思います。
青山剛さんという元トライアスロンの日本代表の方に聞いた話なのですが、スポーツをやる上で大事なのは「目的」「目標」「正しさ」「楽しさ」という考えがあります。
このバランスが崩れてしまうとスポーツに取り組む姿勢も崩れてしまうのだと。

これを学童野球に当てはめてみましょう。
子ども達に野球の素晴らしさを知ってもらう事や健康的な身体作り、野球を通じて礼儀や道具を大切にする心を持ってもらいたい、仲間との絆や団体としてのチームの力になる事を学んでもらいたい。
この様な「目的」が始まりだと思います。

その上での「目標」が、勝利を目指す! プロ野球選手になる! 甲子園に出る! なのだと思うのですが、本来の「目的」を忘れて「目標」が上になってきているチームがあるかと思います。

前回書いたように大量得点差で盗塁をしまってマウントを取ったり、肩・肘の事を考えずに投げさせたり、相手を威嚇する様な野次だったり。
そういう方針のチームを「勝利至上主義」のチームというのだと思います。

こういう話をすると必ず「何が悪いんだ?」「子ども達も負け続けてたら面白くないじゃないか!」「勝った方が楽しいに決まってる!」という意見も出てくると思います。

どうしてそんな両極端な考え方しかできないのでしょうかね?

誰も負け続けろとは言ってないですし、勝ちに行く事はとても大切な事だと思います。
要はそのプロセスが大事だと思うのです。

子ども達に体がぶっ壊れるほどの厳しい練習を課して、なおかつ怒号も飛び交う。
試合でも相手のメンタルを削る様な掛け声とともに野次る。
これらは少なくとも学童野球では絶対に必要ないと断言できます。

でも、そういった練習をしなければ上にはいけないんだよ! と考えてる指導者の方、一度滋賀県の多賀少年野球クラブ(以下、多賀)の練習を見に行ってみてください。
関東にいる僕からしたら関西地区の学童チームなんてほぼ全チーム北斗の拳の修羅の国の様なチーム揃い! その中で勝ち抜きマクドナルド杯2連覇を達成しているチームです。
練習はとにかく子ども達が爆笑しまくって監督も子ども達を笑かす事で、楽しく楽し〜く野球をやってます。
相手チームの事も野球の友達を作るために「試合終わったら出来るだけ話しかけに行け〜」と指導しているので嫌な野次等が出るわけが無い。

強くて楽しいの究極系はあるんです!

この先の学童野球がどうなるかは分かりませんよ。
ただ、今の時代の最先端をいってるのが多賀である事は間違いないと思います。
多賀の辻監督に一度お話を聞きに滋賀まで行った事があります。
その時に辻監督は、
「今の時代はネットが普及しまくって父兄はおろか子ども達でもトレーニング方法など簡単に手に入れる事ができます。ならば指導者はその上をいかねばならない。日々勉強です」
とおっしゃってました。アップデートに次ぐアップデートでようやく今に行き着いたのだと。

勝てなくてスパルタ指導に走って部員数がどんどん減っていった負の時代もあったそうです。でも、最後に行き着いたのが「子ども達が楽しんでやる」、最初のシンプルな動機に戻ったともおっしゃってました。

「正しさ」「楽しさ」これも補完できてますね。
熱が入ると指導者も本気になって熱くなって周りが見えなくなってしまいます。

負けてヘラヘラしてる子を悔しくないのか! と怒ってませんか?
主役が大人になってませんか?
主役は子どもです。

その子達は何故悔しいと思わないのか? を考えてみてください。
頭ごなしに怒っていては怒られるから悔しがるポーズをするで終わってしまいます。
まずは、「これは悔しい事なんだよ〜。何故なら君たちは一生懸命に頑張ったじゃないの…」とイチから説明してあげて、初めて悔しさを覚えると思います。

日本の学童野球の指導者の方々は技術を伝える上で優秀な方が多いと思います。ソコにちょっとしたエッセンスとして、「目的」と「目標」を混同して考えず、あくまでも「目的の中に目標がある」という考えを持って、正しい技術指導と楽しい技術指導で盛り上げていって欲しいです!