◆ 球数を投げさす

 「18482」。

 この数字は今季マリーンズ打線が、シーズン中に他球団の投手陣に投げさせた球数である。2007年以来13年ぶりとなる2位でクライマックスシリーズ進出を果たしたマリーンズだが、打線はチーム打率(.235)、得点圏打率(.230)はともにリーグワースト、得点はリーグワースト2位の461、本塁打もリーグワースト2位タイの90本塁打と、昨季リーグ2位の642得点をマークした得点、そしてマリン移転後最多となる158本塁打を放った前年から大きく打撃成績を落とした。

 打線全体が苦しみ得点力不足に陥った時期はあったが、四死球数は12球団最多の549を記録し、犠打数も12球団トップの96。投手陣を中心とした1点を守り抜くことで勝利を積み重ねてきたが、攻撃陣は得点力が少ない中で、球数を投げさせ、四死球で出塁し、1本の安打で一塁走者が三塁に進むなど、先の塁を狙い“足”を使った攻撃とともに、バントを使った攻撃で得点を奪った。

 8月7日のオリックス戦、8月21日のソフトバンク戦、8月25日の楽天戦では、1試合に200球以上を投げさせ、ソフトバンク戦(10四死球)と楽天戦(12四死球)は1試合に10個以上の四死球を選んでいる。

 特に8月25日の楽天戦は、先発・弓削隼人に対し2安打、3四球と初回だけで47球を投げさせ3点を奪うなど、この日だけで楽天投手陣に231球を投げさせた。上位打線の3人に注目すると、1番の角中勝也が6打席で34球、2番・中村奨吾は無安打も3四球を選び6打席で47球、3番・マーティンも無安打ながら2四球2死球で23球と、3人で104球の粘りを見せた。ちなみに、この試合の231球、12四死球は今季マリーンズが最も球数を投げさせた試合であり、最も四死球を選んだ試合となっている。

 今季チーム最多の16安打を放った8月9日のオリックス戦も189球を投げさせるなど、9月までは相手投手に球数を投げさせ四死球を選び、そこから犠打や安打などでチャンスを広げ走者を還すという攻撃を展開した。

▼ 今季球数投げさせた試合トップ5
1位 231球 8月25日vs楽天(○8−4)11安打 9三振 10四球 2死球
2位 212球 8月21日vsソフトバンク(○7−3)14安打 9三振 7四球 3死球
3位 209球 8月7日vsオリックス(○6−3)11安打 10三振 9四球 0死球
4位 197球 9月20日vs日本ハム(○5−3)7安打 10三振 6四球 0死球
5位 193球 8月14日vs日本ハム(○12−5)13安打 6三振 6四球 1死球
5位 193球 9月18日vs日本ハム(●3−7)10安打 14三振 3四球 1死球

◆ 10月以降のソフトバンク戦は…

 10月に入ると、9月まで見せていた“粘り”が影をひそめる。120球以内で終了した試合は今季8試合あるが、8試合中6試合が10月以降の試合。その6試合のうち3試合がソフトバンク戦だった。今季最少は11月4日ソフトバンク戦の109球。この試合は、ソフトバンクの先発・千賀滉大に対し初球から積極的に攻めるも、8回まで2安打に抑え込まれ、0−2の9回も守護神・森にわずか6球で片付けられ完封負け。

 球数を投げさすことができなければ、四死球も減少する。その傾向が顕著に現れたのもやはりソフトバンク戦だった。直接対決に勝利し単独首位に並んだ10月9日までの対戦で1試合に5四死球以上選んだ試合は、16試合中12試合あったが、10月10日以降は8試合中2試合のみ。

 10月10日を境に、ソフトバンク投手陣にストライク先行の投球をされた。10月10日の試合で先発した東浜巨に対しマリーンズ打線は、8月21日の試合で降板した5回までに132球を投げさせた相手だったが、この試合では初回をわずか9球に抑えられると、5回までに59球、降板した8回まで105球に抑え込まれた。ちなみに11月5日の試合では東浜に対し2回までに16球と省エネピッチングをされていたが、5回に21球、6回に33球を投げさせるなど、試合中盤以降に攻略。結局、この試合8回途中135球を投げさせ、9安打、5四死球で6得点を奪い勝利した。

 ただ10月9日までの対戦で1イニングに10球以内で抑えられることが6度しかなかったが、10月10日以降は1イニング10球以内で抑えられるイニングが7度と、これだけでもソフトバンク投手陣にストライク先行の投球をされていたことがわかる。

 対戦成績も10月9日まで11勝4敗1分だったが、10月10日以降は1勝7敗。2年連続で勝ち越したものの、シーズン最終盤にソフトバンク戦7連敗を喫したこと、9月まで見せていた粘りの攻撃ができなかったことが、リーグ優勝を逃した原因のひとつといえるだろう。

 “球数”を投げさせることで一定の効果は出たが、シーズン通して戦うためにはもっと打てなければならない。“足を使った攻撃”に昨年のように長打もあり、今季のように四球を選べる打線が理想的。来季は四死球を選ぶという良かった部分を残し、昨季のような長打力を組み合わせた打線になることを期待したい。

文=岩下雄太