◆ “厳冬”が予想された中で…

 ポスティングシステムを利用してメジャー挑戦を目指していた巨人・菅野智之が、今オフの移籍を断念。巨人に残留することが決まった。

 14日には契約更改交渉が行われ、日本球界歴代最高年俸となる「8億円」(金額は推定)でサインをしたことが明らかに。夢あふれる大きな数字は大々的に取り上げられた。


 コロナ禍により、2020年はシーズンの短縮に加えて開幕当初は無観客での開催に。シーズン途中からファンの姿が球場に戻ってきたとは言え、入場者数の上限が決められた中での興行となったため、このオフの契約更改は“厳冬”が予想されていたものの、振り返って見るとファンに夢を与えるような大きな契約もたくさんあったように思う。

 そこで今回は、各選手の推定年俸の“前年比”に注目。まだ契約更改を終えていない選手もいるが、1月15日時点での「アップ額」と「アップ率」のトップ10をそれぞれ紹介したい。


◆ 「アップ額」トップ10

1位 大野 雄大(中日/投手)
+1億7000万円(3億円)

2位 菅野 智之(巨人/投手)
+1億5000万円(8億円)

3位 増田 達至(西武/投手)
+1億1000万円(3億円)

4位 千賀 滉大(ソフトバンク/投手)
+1億円(4億円)
 
4位 鈴木 大地(楽天/内野手)
+1億円(2億円)
 
6位 岡本 和真(巨人/内野手)
+7000万円(2億1000万円)

6位 石山 泰稚(ヤクルト/投手)
+7000万円(1億5000万円)

8位 山本 由伸(オリックス/投手)
+6000万円(1億5000万円)

9位 甲斐 拓也(ソフトバンク/捕手)
+5500万円(1億6500万円)

9位 美馬 学(ロッテ/投手)
+5500万円(1億2000万円)

9位 村上 宗隆(ヤクルト/内野手)
+5500万円(1億円)

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※金額は推定
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 「アップ額」では、1億円以上のプラスが5名。トップは中日のエース・大野雄大だった。

 昨季は20試合の登板で11勝6敗、148奪三振で防御率1.82という圧巻の数字。最優秀防御率と最多奪三振の二冠に輝き、さらに10完投・6完封が評価されて沢村賞にも選出されている。

 その大野と投手のタイトルを分け合った巨人・菅野は第2位。昨季は20試合の登板で14勝2敗、131奪三振で防御率1.97という成績。最多勝と最高勝率の二冠に加え、ベストナインとリーグMVPにも輝いている。まさにセの投手タイトルを二分した両者が、「アップ額」でも仲良くワンツーという2020年を象徴するような結果となった。


 このほか、FA権を取得して去就に注目が集まった中、西武残留を決断した増田達至は1億1000万円のアップ。昨季は48試合の登板で5勝0敗、33セーブで自身初となる最多セーブのタイトルも獲得。ブルペンを支える柱に球団も最大級の評価を惜しまず、球団の投手最高年俸である「3億3000万円」(松坂大輔/2006年)も視界にとらえる。

 さらにソフトバンクのエース・千賀滉大と、昨季から楽天に移籍した鈴木大地も1億円の大幅増。トップ2以下はパ・リーグで躍動した選手が続いた。


◆ 「アップ率」トップ10

1位 栗原 陵矢(ソフトバンク/捕手)
340%アップ(1000万円→4400万円)

2位 平良 海馬(西武/投手)
250%アップ(1200万円→4200万円)

3位 佐野 恵太(DeNA/内野手)
192%アップ(2400万円→7000万円)

4位 森下 暢仁(広島/投手)
169%アップ(1600万円→4300万円)

5位 清水 昇(ヤクルト/投手)
157%アップ(1400万円→3600万円)

6位 森脇 亮介(西武/投手)
154%アップ(1300万円→3300万円)

7位 中島 宏之(巨人/内野手)
150%アップ(2000万円→5000万円)

8位 田嶋 大樹(オリックス/投手)
133%アップ(1800万円→4200万円)

9位 大野 雄大(中日/投手)
131%アップ(1億3000万円→3億円)

10位 堂林 翔太(広島/内野手)
125%アップ(1600万円→3600万円)

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※金額は推定
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 「アップ率」とは、文字通り2020年の年俸からの増加率を表した数字。「アップ額」以上にチームへの貢献度や、ブレイク度が分かるものとなっている。

 堂々のトップは、ソフトバンクを日本一4連覇に導いた日本シリーズMVP男・栗原陵矢。前年までの一軍出場は46試合、2019年も代打がメインだった24歳だが、昨季は外野のレギュラーに定着。118試合の出場で打率.243、17本塁打、73打点という成績を残した。

 シーズン途中には厳しくなるマークに苦しむ時期もあったが、男が最も輝いたのが短期決戦・日本シリーズ。初戦の第1打席で巨人・菅野から2ランを放つド派手なデビューを飾ると、初戦は3の3で4打点。2戦目も5打数4安打と打ちまくり、シリーズ通算打率は驚異の.500。一気にその名を全国に轟かせた。


 2位は西武の高卒3年目右腕・平良海馬。昨季は勝利の方程式の一角として54試合に登板、1勝0敗1セーブ・33ホールドを記録して防御率は1.87。パ・リーグの新人王に輝き、2年連続の大幅アップとなっている。

 また、セ・リーグ新人王の広島・森下暢仁は第4位。新人王の2人に割って入ったのはDeNAの新4番・佐野恵太で、レギュラー1年目の首位打者獲得などが認められて躍進した。


文=尾崎直也