◆ 新型コロナウイルスの影響も?

 緊急事態宣言発令にともない、入国規制が強化されている。在留資格を持つ外国人選手は来日可能だが、新規での入国は停止状態だ。

 球団によっては、外国人選手来日の目処が立たないままキャンプインを迎えることになるが、今季は大物外国人選手が多数、日本球界でプレーする予定だ。アメリカも同様に新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻で、好条件の契約が簡単ではない状況も背景にはあったのではないだろうか。

 たとえば、巨人はメジャー通算196本塁打のスモークと2年契約、3億1000万円で合意。阪神も韓国球界で活躍したロハスJr.と2年契約で年俸2億6000万円、アルカンタラとも2年契約で年俸2億1000万円など、高額な契約が続いた(金額はすべて推定)。

 大枚を叩いて獲得した選手だけに、額面通りに活躍してくれないとチームとしては痛いが、年俸が高ければ活躍するというわけでもないところが悩ましい。


◆ 3割&30本超えはゼロ

 初年度の年俸が2億円を超えていた大物助っ人たちはどんな成績を残してきたのか。過去に日本球界でのプレー実績がない選手に限定し、過去10年(2011年〜2020年)、来日1年目の年俸が2億円を超えていた外国人選手たちの成績を調べてみた。

 まずは野手から見ていきたい(年俸は全て推定)。

<2012年>
▼ 李大浩(オリックス)
年俸:2億5000万円
成績:144試合 打率.286 24本塁打 91打点
※打点王獲得、ベストナイン受賞

<2013年>
▼ ジョーンズ(楽天)
年俸:2億5000万円
成績:143試合 打率.243 26本塁打 94打点

<2014年>
▼ ユーキリス(楽天)
年俸:3億円
成績:21試合 打率.215 1本塁打 11打点

<2015年>
▼ サンチェス(楽天)
年俸:2億5000万円
成績:66試合 打率.226 7本塁打 18打点

<2016年>
▼ ギャレット(巨人)
年俸:3億円
成績:123試合 打率.258 24本塁打 68打点

▼ ゴームズ(楽天)
年俸:2億3000万円
成績:18試合 打率.169 1本塁打 7打点

<2018年>
▼ ロサリオ(阪神)
年俸:3億4000万円
成績:75試合 打率.242 8本塁打 40打点

<2019年>
▼ ビヤヌエバ(巨人)
年俸:2億2000万円
成績:73試合 打率.223 8本塁打 24打点

<2020年>
▼ パーラ(巨人)
年俸:2億2000万円
成績:47試合 打率.267 4本塁打 13打点

▼ ボーア(阪神)
推定年俸:2億7500万円
成績:99試合 打率.243 17本塁打 45打点

▼ ジョーンズ(オリックス)
推定年俸:4億4000万円
成績:87試合 打率.258 12本塁打 43打点

 初年度から打点王を獲得した李大浩(イ・デホ)の活躍が際立つ。李は来日3年目にはソフトバンクに移籍し、そこでも主軸として活躍。チーム2連覇の原動力となった。2015年の日本シリーズでは、5試合で打率.500、2本塁打、8打点の活躍でMVPにも選出されている。

 2013年に楽天に入団したアンドリュー・ジョーンズもまずまずの数字を残したひとりだ。打率こそ.243と振るわなかったものの、選球眼がよくリーグ最多の105四球を稼いで出塁率は.391。OPSも.845という成績を残し、4番打者として活躍。球団創立初となる日本一に貢献した。

 しかし、そのほかの選手を見ると、100試合以上に出場したのはこのふたりと2016年のギャレットのみ。多くの選手が年俸に見合う成績を残せていないのが実情だ。スタイルも文化も異なる地で1年目から結果を残すことがいかに難しいのかが窺い知れる。

 2年目以降も契約を結んだのは、11人中5人と約半数。そこにはもちろん当初から複数年契約だった選手も含まれている。目に見える数字が全てではないのかもしれないが、それでも多くの場合は年俸に見合った成績を残しているとは言えないだろう。続いて投手を見ていきたい。


◆ 韓国球界で活躍した選手が好成績?

<2011年>
▼ 朴賛浩(オリックス)
年俸:2億円
成績:7試合登板 1勝5敗 防御率4.29

<2012年>
▼ ペニー(ソフトバンク)
年俸:2億2500万円
成績:1試合登板 0勝1敗 防御率10.80

<2013年>
▼ パディーヤ(ソフトバンク)
推定年俸:2億6400万円
成績:16試合登板 3勝6敗3H 防御率3.84

<2014年>
▼ 呉昇桓(阪神)
年俸:2億5000万円
成績:64試合登板 2勝4敗39S5H 防御率1.76
※最多セーブ投手獲得

▼ ブラックリー(楽天)
年俸:2億円
成績:3試合登板 1勝2敗 防御率5.54

<2018年>
▼ マルティネス(日本ハム)
年俸:2億円
成績:25試合登板 10勝11敗 防御率3.51

<2020年>
▼ サンチェス(巨人)
年俸:3億4000万円
成績:15試合登板 8勝4敗 防御率3.08

▼ ムーア(ソフトバンク)
年俸:3億円
成績:13試合登板 6勝3敗 防御率2.65

 わずか1年でチームを去った投手が現状で8人中5人と、こちらもなかなか厳しい結果となった。ソフトバンクには過去10年で3投手が在籍していたが、開幕から先発ローテーションに入った投手はいない。昨年のムーアは存在感を示したが、その6勝が勝ち頭では、年俸に見合った補強だったとは言えないだろう。

 奮起したのは日本ハムのマルティネス。安定した制球力で先発ローテーションに加わって10勝をマークした。

 また、1年目から期待に応え好成績を残した選手を見ると、韓国球界に縁のある選手が目に付く。韓国人である呉昇桓(オ・スンファン)をはじめ、昨季8勝を挙げたサンチェスも韓国時代にSKワイバーンズで17勝5敗、防御率2.62という好成績を残して来日している。


 年俸が2億円を超える外国人選手が思うように活躍していない理由は様々だろう。他国で実績を残しているということは、来日時点にはピークを越えているケースも多い。また、打者なら日米のストライクゾーンの違いなども挙げられる。投手であれば、クイックが苦手な選手は足で揺さぶられて自滅することもある。

 そして、最大の理由にしばしば上げられるのが、ハングリーさの欠如だ。マイナーからくる選手たちのハングリーさに比べると、そこは明らかな違いといっていい。コロナ禍という難しい状況のなか、今季来日した(する)新外国人選手たちはどんな成績を収めるのか、注目していきたい。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)