◆ 目立った2・3年生の躍動

 慶応大の34年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた『全日本大学野球選手権』。全国の26連盟・27チームが参加し、プロのスカウト陣も連日視察に訪れていた。

 今秋のドラフト候補たちの活躍は以前のコラムでも取り上げたが、今年の大会ではそれ以上にたのしみな下級生が多いという印象を受けた。




 というわけで今回は、大学選手権で光るプレーを見せた“来年以降のドラフト候補”をピックアップして紹介していきたい。前回の「3年生投手」に続いて、今回は「3年生野手」編。

 投手に比べると目立つ選手の数は少なかったが、4年生と同様に捕手に好素材が多かった印象を受ける。

 なかでも際立っていたのが、吉田賢吾(桐蔭横浜大3年)と野口泰司(名城大3年)、進藤勇也(上武大2年)の3人だ。



 吉田は旧チームから渡部健人(現・西武)の後ろを任されていた強打の選手。昨年までは一塁を守り、正捕手となったのはこの春からだが、リーグ3位となる高打率をマークしてMVPとベストナインを獲得している。

 大学選手権では初戦で敗れたものの、イニング間のセカンド送球は1.8秒台をマーク。打ってもホームランを含む4安打の活躍を見せた。リーグ戦の途中は一度ファーストに回るなど、リード面にはやや課題が残るも、強肩強打は大きな魅力である。


 野口はバッテリーを組む松本凌人(2年)とともに、昨年冬の大学日本代表候補合宿(※コロナ禍により合宿は中止)に召集された強打の捕手。1回戦の沖縄大戦では、投手編で取り上げた149キロ右腕・仲地礼亜(3年)から3打数3安打をマークすると、続く佛教大戦でも試合を決める適時二塁打を放つなど、2本の長打を放つ大活躍を見せた。

 準々決勝の福井工大戦でも、今大会2度目の1試合3安打を記録。3試合合計での成績は11打数8安打、打率.727と圧倒的な数字であり、チームが準決勝に進んでいたら首位打者の可能性が高かった(※大学選手権の首位打者賞は準決勝以上に進出したチームの選手が対象)。

 ノーステップに近いスタイルでボールの呼び込み方が上手く、反動をつけなくても強く振り切れるのも長所で対応力と長打力を兼ね備えている。スローイングは少しばらつきがあったが、終始落ち着いたプレーの守備も目立った。


◆ 2年生捕手、上武大・進藤勇也が存在感

 そんな3年生捕手の2人以上に、圧倒的な存在感を見せたのが2年生の進藤だ。

 筑陽学園時代からスローイングには定評があったが、大学で攻守ともに大きくスケールアップ。昨年秋も1年生ながらチームの大黒柱だった古川裕大(日本ハム)に代わってマスクをかぶることも多かった。

 この春のリーグ戦では本塁打王・打点王・最多安打にベストナインと数々のタイトルを受賞。大学選手権でも素早いスローイングで度々チームのピンチを救い、準決勝の慶応大戦では、ドラフト候補の森田晃介(4年)から一時逆転となる満塁弾をレフトスタンドに運んでいる。

 捕手としての総合力は既に大学球界全体でも指折り。順調にいけば、2年後の上位候補となる可能性は高いだろう。


◆ 内野手では強打の三塁手に注目

 内野手で目立ったのが強打の三塁手、下山悠介(慶応大・3年)と石井雄也(関西学院大・2年)である。

 下山は1年の秋からレギュラーとなり、既に2度のベストナインに輝いている東京六大学を代表する内野手。高校時代からバットコントロールに定評があったが、年々力強さも着実にアップしている。

 今大会は初戦こそノーヒットながら、準々決勝から3試合連続でマルチヒットをマーク。チームの優勝に大きく貢献した。軽快なフットワークと低くて速いスローイングでも目立ち、来年の有力なドラフト候補となることは間違いないだろう。


 一方、石井は粗さが残るものの、抜群のパンチ力が魅力の右打者。初戦の松山大戦では貴重な追加点となる2点適時二塁打を放ち、2回戦の国際武道大戦では逆転勝利に繋がるツーランホームランを叩き込んだ。

 もともと捕手だっただけあって、守備には課題が残るとはいえ、インパクトの強さは抜群。貴重な右の強打者タイプで、来年以降も楽しみな選手だ。


 外野手では足のスペシャリストとして小林大介(名城大3年)が面白い存在だ。

 健大高崎時代からスピードは際立っており、1年春にいきなり打率4割をマークしてベストナインを受賞している。

 今大会では1回戦の沖縄大戦で初回に四球で出塁すると、二盗・三盗を立て続けに決め、それが相手捕手の悪送球を誘い、決勝のホームを踏んだ。

 脚力はもちろんだが、盗塁のスタートの思い切りの良さが光る。打撃にパワーがついてくれば、今後さらに注目されるようになるだろう。


☆記事提供:プロアマ野球研究所