◆ 開幕当初はレギュラー危ぶまれるも…

 楽天から巨人に移籍して2年目を迎えたウィーラーが存在感を示し続けている。

 今季の巨人は、スモークとテームズというメジャーでの実績が豊富な野手を獲得していたため、ウィーラーの立場はかなり微妙なものだった。しかし、新型コロナウイルス感染症流行の影響で、そのふたりの来日が遅れ、ウィーラーにとってのチャンスが訪れる。

 1月には来日していたウィーラーは、開幕からレギュラーとしてチームに貢献。7月1日終了時点で、打率.329、8本塁打、33打点という成績を残している。打率に至っては、DeNAの主砲・オースティンに次いでリーグ2位の数字だ。

 テームズは一軍デビューを果たした4月27日の対ヤクルト戦の守備で右アキレス腱を断裂して手術のために帰国。メジャー196本塁打の実績を誇るスモークは34試合に出場して打率.272 7本塁打とまずまずだったが、これまたコロナの関係で家族が来日できないことを理由に6月17日で退団。開幕前はレギュラーの座を危ぶまれていたウィーラーだったが、ライバルの思わぬ戦線離脱もあり、チームに欠かせぬピースとして活躍している。

2015年に来日して今季で来日7年目となるウィーラーだが、これまでのキャリアハイは楽天在籍3年目の2017年に記録した、打率.271 31本塁打 82打点。今季は本塁打こそ増えないものの、この調子をキープできれば、首位打者争いを演じる可能性も考えられる。


◆ 優良助っ人たちの7年目

以下の数字は、外国人選手枠の支配下登録が3人に増えた1981年以降に来日した外国人選手(野手)で、2020年シーズン終了までに7年以上在籍した選手の7シーズン目の成績となる。該当した選手は20名いたが、ペタジーニ(1999年〜2004年・2010年)は7シーズン目があまりに離れ過ぎていたため除外した。
※現役選手の通算成績は2020年終了時点の成績

▼ ブーマー・ウェルズ(阪急・オリックス→ダイエー)
在籍年数:10年(1983年〜1992年)
通算成績:1148試合 打率.317 277本塁打 901打点
7年目:130試合 打率.322 40本塁打 124打点
※首位打者、打点王獲得

▼ ウォーレン・クロマティ(巨人)
在籍年数:7年(1984年〜1990年)
通算成績:779試合 打率.321 171本塁打 558打点
7年目:117試合 打率.293 14本塁打 55打点

▼ ラルフ・ブライアント(中日→近鉄)
在籍年数:8年(1988年〜1995年)
通算成績:773試合 打率.261 259本塁打 641打点
7年目:105試合 打率.293 35本塁打 106打点
※本塁打王獲得

▼ アロンゾ・パウエル(中日→阪神)
在籍年数:7年(1992年途中〜1998年)
通算成績:710試合 打率.313 116本塁打 397打点
7年目:78試合 打率.255 9本塁打 28打点

▼ ロバート・ローズ(横浜→ロッテ)
在籍年数:9年(1993年〜2000年・2003年)
通算成績:1039試合 打率.325 167本塁打 808打点
7年目:134試合 打率.369 37本塁打 153打点
※首位打者、打点王、最多安打獲得

▼ タフィ・ローズ(近鉄→巨人→オリックス)
在籍年数:13年(1996年〜2005年・2007年〜2009年)
通算成績:1674試合 打率.286 464本塁打 1269打点
7年目:138試合 打率.272 46本塁打 117打点
※打点王獲得

▼ アレックス・ラミレス(ヤクルト→巨人→DeNA)
在籍年数:13年(2001年〜2013年)
通算成績:1744試合 打率.301 380本塁打 1272打点
7年目:144試合 打率.343 29本塁打 122打点
※打点王獲得

▼ アレックス・カブレラ(西武→オリックス→ソフトバンク)
在籍年数:12年(2001年〜2012年)
通算成績:1239試合 打率.303 357本塁打 949打点
7年目:119試合 打率.295 27本塁打 81打点

▼ フェルナンド・セギノール(オリックス→日本ハム→楽天→オリックス)
在籍年数:8年(2002年・2004年〜2010年)
通算成績:767試合 打率.273 172本塁打 483打点
7年目:104試合 打率.253 14本塁打 54打点

▼ ホセ・フェルナンデス(ロッテ→西武→楽天→オリックス→西武→楽天→オリックス)
在籍年数:11年(2003年〜2013年)
通算成績:1253試合 打率.281 206本塁打 772打点
7年目:117試合 打率.261 15本塁打 47打点

▼ 李承燁(ロッテ→巨人→オリックス)
在籍年数:8年(2004年〜2011年)
通算成績:797試合 打率.257 159本塁打 439打点
7年目:56試合 打率.163 5本塁打 11打点

▼ グレッグ・ラロッカ(広島→ヤクルト→オリックス)
在籍年数:7年(2004年〜2010年)
通算成績:583試合 打率.290 123本塁打 372打点
7年目:42試合 打率.256 7本塁打 21打点

▼ アーロム・バルティリス(阪神→オリックス→DeNA)
在籍年数:8年(2008年〜2015年)
通算成績:918試合 打率.268 93本塁打 387打点
7年目:139試合 打率.255 17本塁打 52打点

▼ クレイグ・ブラゼル(西武→阪神→ロッテ)
在籍年数:7年(2008年〜2014年)
通算成績:670試合 打率.269 133本塁打 412打点
7年目:35試合 打率.276 4本塁打 14打点

▼ トニ・ブランコ(中日→DeNA→オリックス)
在籍年数:8年(2009年〜2016年)
通算成績:750試合 打率.272 181本塁打 542打点
7年目:52試合 打率.194 9本塁打 24打点

▼ ブラッド・エルドレッド(広島)
在籍年数:7年(2012年途中〜2018年)
通算成績:577試合 打率.259 133本塁打 370打点
7年目:38試合 打率.213 5本塁打 14打点

▼ ウラディミール・バレンティン(ヤクルト→ソフトバンク)
在籍年数:11年(2012年〜)
通算成績:1082試合 打率.268 297本塁打 785打点
7年目:120試合 打率.280 33本塁打 93打点

▼ ホセ・ロペス(巨人→DeNA)
在籍年数:8年(2013年〜2020年)
通算成績:993試合 打率.274 198本塁打 588打点
7年目:142試合 打率.241 31本塁打 84打点

▼ アルフレド・デスパイネ(ロッテ→ソフトバンク)
在籍年数:8年(2014年〜)
通算成績:689試合 打率.262 160本塁打 464打点
7年目:25試合 打率.224 6本塁打 12打点

 各選手の来日7年目の成績を見ると、キャリアハイの成績からは程遠い記録に終わった選手が大半。あのクロマティでさえ、開幕時36歳で迎えた7年目のシーズンは打率を前年から8分以上落とし、来日7年でワースト2位の打率に終わっている。

 外国人選手は、来日時点で若くても20代後半の選手が多く、来日から7年が経てば、30代半ばを超え選手としてピークを過ぎてくる時期に差しかかってくるというのが要因のひとつだろう。

 しかし一方で、ブーマー、ブライアント、両ローズ、ラミレスの5選手に限っては、衰えを見せるどころか7年目にも打撃タイトルを獲得している。ブーマー、ブライアント以外の3選手はこの後も打撃タイトルを獲得するなど、チームの主軸を張り続けた。

 多くの場合、日本で7年プレーするには、それ相応の数字を残さなければならず、前述の5選手はいずれも4年目までに何かしらの打撃タイトルを獲得している。しかしウィーラーはここまでタイトル獲得はないものの、チームにとって重要な役回りを演じ続け、ここまでやってきた。そんなウィーラーはこのままの成績をキープし、来日7年目にしてキャリアハイの成績を残すことができるか、注目していきたい。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)