◆ 新人王レースを展望【パ・リーグ】

 交流戦も終わり、シーズンの“折り返し地点”も見えてきた2022年のプロ野球。

 17日(金)のリーグ戦再開を前に、これまでの活躍をもとにセ・パ両リーグの新人王候補を本命・対抗・大穴に分けておさらいしておきたい。




◆ 本命:柳町達(ソフトバンク)

 前回のコラムでは“大勢が決した”?セ・リーグを取り上げたが、今回はパ・リーグ編。

 こちらはペナント以上の混戦模様を呈している。



 そんな中、本命候補は奇しくも2人の「ソフトバンク」「3年目」の選手に。

 どちらを取るか迷ったが、本命候補には“ギーマ”こと柳町達を挙げておきたい。

 大卒ルーキーだった2020年は一軍で1安打、2年目の昨季も11安打だった左打ち外野手。選手層が厚いチームにおいて、レギュラーはおろか一軍定着も至難の業と見られた。

 ところが、今季は3月末に一軍昇格のチャンスを掴むと、スタメン起用に応える3打数2安打。そこから快進撃がはじまる。


 好調を維持して徐々に出場機会を増やしていくと、5月上旬の時点で打率は4割近くまで上昇。隠れ首位打者と呼ばれ始める頃には、ホークス打線に欠かせない存在となっていた。

 そして5月末にはついに規定打席に到達。個人打撃成績で3位にランクインしたが、疲れを見せ始めたのもこの頃。6月6日にコンディション不良から一軍登録を抹消となり、ファームで再調整を図ることになる。

 それでも、15日のウエスタン・中日戦で実戦復帰。指名打者での出場で安打も放っており、あとは守っても問題がないようであれば復帰にゴーサインが出ることだろう。チームのためにも、自身のタイトルのためにも、早期の完全復活が待たれる。


 ちなみに、南海・ダイエー時代も含め、ホークスとしては過去に12人の新人王を輩出しているが、野手の新人王は1951年の蔭山和夫ただ一人。

 もしシーズン終了時点で規定打席を満たし、打率3割を維持できていれば、“投高打低”が顕著なシーズンだけに、71年ぶりの快挙はグッと近づくことだろう。


◆ 対抗:大関友久(ソフトバンク)

 そして、その柳町と同期入団の大卒3年目で、出身地の茨城県まで同じという大関友久が対抗格だ。

 ドラフト5位指名だった柳町に対し、こちらは育成2位から這い上がった大型左腕。昨年5月末に支配下登録されると、リリーフとして12試合に登板。今季はオープン戦でのアピールが実り、開幕ローテーションの最後の1枠を獲得した。

 今季は2試合目で打ち込まれ、一時はリリーフに回る場面もあったものの、すぐに先発に復帰。5月7日のロッテ戦ではプロ初完封勝利も達成した。

 12試合に登板し、うち先発が9試合で防御率は2.47。上述の通り“投高打低”のシーズンということで個人投手成績では9位となっているが、その安定感はエース・千賀滉大や東浜巨に匹敵するレベル。ここまで4勝3敗だが、打線の援護が噛み合えば2ケタ勝利も見えてくることだろう。

 また、柳町と高いレベルで新人王争いを展開することになれば、2年ぶりのリーグ制覇というのも現実味を帯びてくる。首位・楽天を1.5差で追うソフトバンクの後半戦は、新人王を目指す投打の大卒3年目コンビに注目だ。


◆ 大穴:隅田知一郎(西武)

 シーズンの折り返し地点も徐々に迫る中、若鷹を追いかけ、追い抜いて行く可能性を秘めた選手として取り上げておきたいのが、西武のルーキー左腕・隅田知一郎だ。

 昨秋のドラフトでは4球団が競合したプロスペクト。開幕前の段階では新人王候補の本命にも挙げられていた男だが、フタを開けてみるとここまで1勝7敗。苦しい前半戦を過ごしている。

 開幕から期待通りローテーション入りを果たし、初登板で見事に初勝利を掴んだまでは良かったが、待っていたのは勝ち星から遠ざかる日々。6月9日の巨人戦で敗れて7連敗となり、翌10日に登録を抹消された。


 それでも、11試合に先発して6試合でクオリティスタート(6回以上自責点3以内)をマークするなど、試合を作る能力はさすが。防御率も3.19と悪くないが、とにかく打線の援護に恵まれない。

 初登板時は4点の援護をもらったが、以降は10試合で2点が3度、1点が2度、0点が5度という惨状。繰り返しになるが、いくら今年が“投高打低”のシーズンといっても、これほど打線と噛み合わないのも珍しい。

 逆に言えば、打線の奮起さえあれば一気に勝ち星を伸ばす可能性を秘めているということ。主砲・山川穂高は好調をキープしており、そこに故障で離脱していた森友哉や源田壮亮がこの交流戦期間で戦列に復帰。連敗を止めて連勝街道を突っ走っていくことができれば、まだまだチャンスは遺っている。


 このほかにも、チーム内の切磋琢磨という点では西武の佐藤隼輔も同じように注目が必要。さらにここまで3勝・7セーブを記録している日本ハムの開幕投手・北山亘基の名前も忘れてはならない。

 セ・リーグとは違い、抜けた存在がいないパ・リーグの新人王争い。ここから夏場にかけて、突き抜ける選手が現れるのか。最後まで目が離せないバトルとなりそうだ。


文=八木遊(やぎ・ゆう)