◆ 先発・中継ぎともに若い投手が一斉に開花の兆し

 ヤクルトがリーグ連覇を果たし、食らいついたDeNAの2位フィニッシュが確定したセ・リーグ。

 残るチーム間の争いは、クライマックスシリーズの最後のイスを巡る3位争いに焦点が絞られている。




 現在の3位は巨人だが、4位で並ぶ阪神と広島との差はわずか「0.5」。なんと全チームが自力でCS進出を決めることができないという激戦となっているのだ。

 逆転を狙う昨季2位の阪神は、チーム防御率2.70を誇る投手陣がウリ。中でも今年は“若き力”の台頭が目立っている。

 ここ数年の阪神といえば、ドラフトで指名した大卒や社会人出身の選手たちが主力として一軍に定着してきた。

 野手では5人が規定打席に到達しているが、大山悠輔(2016年1位/白鴎大)と近本光司(2018年1位/大阪ガス)、佐藤輝明(2020年1位/近畿大)というドラ1位入団の3人をはじめ、中野拓夢(2020年6位/三菱自動車岡崎)と糸原健斗(2016年5位/JX-ENEOS)も規定をクリア。

 投手でも青柳晃洋(2015年5位/帝京大)がエースとなり、伊藤将司(2020年2位/JR東日本)が2年連続の2ケタ勝利に目前と迫っている。岩崎優(2013年6位/国士舘大)も中継ぎとして欠かせない存在だ。

 こうした大卒や社会人出身の“即戦力候補”として獲得した選手たちが早い段階で投打の柱となりつつあるのは、球団の目論見通りだろう。


 その土台に加えて、今年は高卒や独立リーグ出身の育成を前提として獲得した投手たちが台頭してきた。

 先発では西純矢(2019年1位/創志学園高)がチーム4位の6勝(3敗)を挙げ、防御率2.78と好投。また、トミー・ジョン手術から復帰した才木浩人(2016年3位/須磨翔風高)も4勝1敗、防御率1.64。こちらもブレイクの兆しを見せている。

 ただし、西は74回1/3、才木は44回しか投げておらず、年間を通じた活躍ができていないのは事実。それでも、育成段階及び故障明けということを考えれば順調そのもので、来季は年間を通じた先発ローテーション入りが大きな目標となりそうだ。

 そして何よりも大きいのが、浜地真澄(2016年4位/福岡大大濠高)と湯浅京己(2018年6位/BC富山)の勝ちパターンふたりである。


◆ 「50登板以上&防御率1.20以下」はリーグで3人だけ

 湯浅は昨季まで一軍でわずか3試合の登板にとどまっていたが、今季はここまで56試合の登板でリーグトップの42HP。防御率も1.15と安定した投球を続け、「8回の男」に完全に定着した。

 浜地も50試合の登板で20HP。防御率は1.17と湯浅とほぼ同じで、主に7回を任されるようになっている。

 50試合以上に登板して防御率が1.20を下回っているのは、セ・リーグでは湯浅と浜地、そしてライデル・マルティネス(中日)の3人しかいない。


 ここ5シーズンの阪神を振り返ると、ロベルト・スアレスやラファエル・ドリスといった外国人投手が守護神を務め、藤川球児や桑原謙太朗といったベテラン勢が勝ちパターンに組み込まれていた。

 だが、圧倒的な存在感を誇っていたスアレスが退団。ベテランの桑原と藤川もすでに現役を引退しており、中継ぎの再構築が必要な頃合いだった。

 そのなかで、今年23歳の湯浅と24歳の浜地という生え抜きの若いふたりが勝ちパターンに定着したのは非常に大きい。かつて藤川や久保田智之を軸とした中継ぎ陣を構築したように、中長期的なプランも立てやすくなるだろう。

 チームの中心は即戦力の野手や先発投手だけではない。生まれ変わった若い生え抜きの中継ぎ陣も一緒に、これからのタイガースを背負っていく。


文=BASEBALLKING編集部