◆ QSはリーグトップ

 ロッテは2年連続2位に入りリーグ優勝の機運が高まった中で、今季リーグ5位に終わった。

 先発陣のチーム先発防御率は4月終了時点でリーグトップの「1.47」だったが、終わってみればリーグ5位の「3.35」。規定投球回に到達した投手も小島和哉のみだった。それでも、先発投手の指標のひとつに当たるクオリティ・スタート(6回以上3自責点以内)はリーグトップの「78」を記録した。

 石川歩は故障で離脱する時期はあったが、QSは小島と並びチームトップタイの15回、4月10日のオリックス戦で完全試合を達成するなど9勝を挙げた佐々木朗希が14回、3・4月(0.34)と6月(0.43)と月間防御率0点台だったロメロが12回、オールスター明け防御率0.82と抜群の安定感を見せた美馬学が11回と、QSを10回以上達成した投手が5人いたのはパ・リーグ最多。シーズン通して勝ち頭、エースと呼べる存在がいなかったが、計算のできる先発投手が多かったことがわかる。

▼パ・リーグのQS数
1位 78 ロッテ(石川、小島、佐々木朗、ロメロ、美馬)
2位 74 西武(高橋光、松本、與座)
3位 73 オリックス(山本、宮城、田嶋、山岡)
4位 68 日本ハム(加藤、伊藤、上沢)
5位 65 楽天(岸、田中、則本)
6位 60 ソフトバンク(千賀、東浜、石川)
※()はQSを10回以上達成した投手


◆ 前半戦を引っ張ったのは佐々木朗とロメロ

 シーズンを振り返ると、昨季シーズン自己最多の8勝を挙げた岩下大輝が開幕直後に右肘を手術したため出遅れたが、石川、佐々木朗、ロメロ、小島、美馬、二木康太と実績のある6人が開幕ローテーションに入った。

 冒頭にも述べたように3・4月はチーム先発防御率リーグトップの1.47で、26試合中25試合で先発が5イニング以上を投げ、QSは21回達成した。4月終了時点の防御率を見てもロメロが0.34、石川が0.87、佐々木朗希が1.50、小島が2.77と防御率0点台が2人もいた。

 その中でも前半戦、先発陣を引っ張ったのが佐々木朗とロメロだ。佐々木朗は4月10日のオリックス戦で完全試合を達成すると、続く17日の日本ハム戦でも8回完全投球を披露。24日のオリックス戦に登板した翌日に一軍登録を抹消されたが、5月6日に一軍復帰すると同日のソフトバンク戦で6回1失点、13日のオリックス戦も7回1失点、20日のソフトバンク戦も6回1失点、27日の阪神戦は6回無失点と中6日の登板でもしっかりと先発の役割を果たした。5月終了時点で、佐々木は9試合・61回を投げ、5勝0敗、奪三振数は投球回数を大きく上回る94、防御率は1.33。

 6月3日の巨人戦、5回5失点で今季初黒星を喫するも、中7日で登板した11日のDeNA戦は8回3安打1失点と流石の修正力を見せた。しかし6月に入ってから登板間隔が空き、7月1日の楽天戦では初回に球団史上初となる1イニング4奪三振を記録するなど、4回まで10奪三振、無失点に抑えていたが、マメが潰れた影響で途中降板。それでも前半戦は13試合・85回を投げて6勝1敗、124奪三振、防御率1.48だった。

 ロメロは3・4月と6月は月間防御率0点台と驚異の安定感を見せたが、ナイトゲームに滅法強く、6月終了時点で18時試合開始の成績は、6試合・41回1/3を投げ自責点1、4勝0敗、防御率は0.22。3月29日のソフトバンク戦、3回一死二塁の場面で三森大貴に適時打を許してから7月6日の日本ハム戦の3回に清宮幸太郎に一発を浴びるまで、ナイトゲームでは41イニング自責点がなかった。ちなみに月間防御率5.11だった5月は5試合全てデーゲームでの登板だった。

 開幕投手を務めた石川は離脱する時期もあったが、今季初登板から25イニング連続で自責点0に抑え、少ない球数で長いイニングを投げ、前半戦はQSを13試合中11試合で達成。小島は20年、21年と開幕直後が不安定だったことを反省し、自主トレ期間から早めに調整した結果、前半終了時点の防御率は2.47だったが、打線の援護に恵まれず1勝7敗と黒星が先行。なお前半戦のチーム先発防御率は「2.75」だった。


◆ 後半、エース級の働きを見せた美馬

 前半戦は先発陣が安定していたが、オールスター明けはチーム先発防御率4.53と苦しんだ。

 ロメロは後半戦5試合・25回2/3を投げて1勝4敗、防御率5.61、石川も7試合・40回1/3を投げて1勝3敗、防御率4.69、チームで唯一規定投球回に到達した小島も10試合・56回を投げて2勝4敗、防御率4.18、佐々木朗は7試合・44回1/3を投げて3勝3敗、防御率3.05と、“勝負の夏場”に主力投手の多くが前半戦よりも成績を落としたのは痛かった。

 そんな中でエース級の働きを見せたのが美馬。前半戦は13試合・73回2/3を投げて5勝6敗、防御率4.15だったが、後半戦は7試合・44回を投げて5勝0敗、防御率0.82。

7月21日に新型コロナウイルス陽性判定を受け、オールスター明け最初の登板は8月16日のオリックス戦と遅れたが、この登板で6回1/3を投げ無失点に抑え6勝目。24日の西武戦は5回1失点で降板したが、9月1日のソフトバンク戦から15日の西武戦にかけて3試合連続で7イニングを投げ、いずれも無失点投球。22日のオリックス戦で6回1失点で9勝目を手にすると、28日の日本ハム戦で5回2/3を投げ3失点も打線の援護にも恵まれ10勝目を手にした。後半戦は美馬がいなければ、かなり苦しい台所事情だった。

◆ 2年連続規定投球回達成の小島

 小島は今季初登板が雨天中止で流れ、今季初登板となった3月30日のソフトバンク戦で投手ライナーを2度食らい、さらに打線の援護に恵まれず3勝11敗と大きく負け越した中で、2年連続で規定投球回に達成したのは立派。前半戦に比べて後半戦の防御率は落としたものの、シーズントータルでみれば防御率は昨年の3.76から3.14と向上させた。

 小島は今年1年を「去年も1年間投げさせてもらいましたけど、それを踏まえても1球の大事さ、1球で勝負が決まる重要性、大事さ、難しさを学べたような年だったと思います」と振り返った。故障や不調で一軍登録抹消した投手が多かった中で、先発ローテーションの一角として、その役割を全うしたことは高く評価するべきだ。

◆ 必要な絶対的エースの存在

 ここまで今季の先発陣を振り返ってきたが、ここ数年何度も述べてきたように来年以降、“シーズン通して計算のできる先発投手”、そして“絶対的なエース”は必要だろう。

 佐々木朗が今季の経験を、来年どのように活かしていくか注目だ。完全試合を達成したオリックス戦、続く日本ハム戦でも8回を無安打投球と、ポテンシャルの高さは誰もが認めているところ。コンディショニングを整えて、シーズン通して投げることができれば、間違いなく“エース”に近い存在まで上り詰めるはずだ。

 トミー・ジョン手術明け復帰後、初のシーズンとなった種市篤暉も一軍での登板は1試合に終わり、主にファームでの登板が多かったが、力強いストレートが投げられれば、佐々木と共に先発の軸になれる存在。

 ロッテの先発陣は絶対的なエースは不在だが、ベテランの石川と美馬、2年連続規定投球回に到達した小島、さらには二木、本前郁也、河村説人、鈴木昭汰、佐藤奨真、森遼大朗など先発候補の頭数は多い。絶対的なエース、シーズン通してローテーションを守る投手が小島に加えもう1人、2人増えれば、今以上に質、量ともに揃った先発陣になる。

▼先発陣の成績 ※成績は先発のみ
小島和哉 24試 3勝11敗 143回1/3 振89 四43 QS15 防3.14
佐々木朗希 20試 9勝4敗 129回1/3 振173 四23 QS14 防2.02
石川 歩 20試 7勝7敗 123回 振67 四20 QS15 防2.93
美馬 学 20試 10勝6敗 117回2/3 振86 四29 QS11 防2.91
ロメロ  20試 8勝9敗 115回1/3 振77 四38 QS12 防3.36
本前郁也 11試 2勝2敗 52回 振36 四24 QS2 防5.02
佐藤奨真  9試 2勝6敗 49回1/3 振27 四16 QS4 防4.93
二木康太  9試 2勝4敗 47回1/3 振42 四20 QS3 防4.18
河村説人  4試 2勝0敗 19回 振9 四10 QS1 防3.32
鈴木昭汰  3試 1勝1敗 10回2/3 振4 四4 QS1 防5.91
森遼大朗  2試 0勝1敗 7回 振3 四4 QS0 防11.57
種市篤暉  1試 0勝0敗 3回 振2 四4 QS0 防9.00

文=岩下雄太