リーグトップの38試合目の登板となった7月4日のオリックス戦[ヤフオクドーム]でも、セットアッパーの岩嵜翔が8回の1イニングを無失点に抑えて3連勝に貢献した。勝利した首位・楽天との順位こそ入れ替わらなかったが「マイナス0.5ゲーム差」をキープ。5月上旬から2カ月以上、楽天をピタリと追走してきたが、この前半戦の「マッチレース」は岩嵜のプロの技から始まったと言っても過言ではない。

 首位の楽天と2.5ゲーム差で迎えた5月13日、熊本での直接対決だった。7回まで無失点だった中田が、3点リードの8回に無死からソロを被弾。2番手の嘉弥真も1点を失い、なおも一死一、三塁のピンチで出番が回ってきた。打席のウィーラーが放ったワンバウンドの打球。岩嵜は「グラブだと間に合わないと思った。どうしても同点にしたくなかった」と、とっさにグラブではなく右足を合わせた。サッカーでいえばインサイドキックでのトラップで打球を止め、三走を挟殺。抜けていれば間違いなく同点だったピンチを防ぎ、勝利に貢献した。

 ピッチャー返しに足を出すことは「いいことではない」と岩嵜も危険を自覚しているが、「8回を投げる以上、こういう走者がいる展開を抑えないと」と、気迫が生んだ『プロの技』。震災から約1年後の熊本での試合だったこともあり、「熊本の人たちの『勝ってほしい』という思いがつながった」と工藤監督も感動気味に振り返った大きなプレーだった。