四番の意地を見せつけた中田が歓喜のナインたちの輪にダイブ!

 最高の滑り出しだった。3月29日の開幕戦のオリックス戦(札幌ドーム)。3対3の同点で迎えた10回裏。主将2年目の中田翔が北の大地を興奮のるつぼと化してみせた。サヨナラ満塁本塁打。「すごく気合が入りました」と振り返ったのは打席に入る前のオリックスのベンチワークだ。一死三塁となり、西川と近藤が連続で申告敬遠。「ナメてるのかなと思った」と燃えた。

 例年スロースターターの中田は、この日も4打席連続凡退。併殺打でピンチを脱出を狙う相手の戦略も理解できたが、面白いわけがない。3球目に引っ張った左翼への飛球は犠飛には十分もファウルゾーンのため、相手野手は捕球しなかった。これも中田にとっては想定済み。「捕らないだろうと思っていた。犠飛ではなく本当に一発狙いにいっていた」。もちろんヒットでもよかったが、天性のアーチストは豪快にケリをつけた。岩本の147キロの直球を左中間へ放り込んでみせた。

 開幕戦での延長満塁サヨナラ弾は史上初の快挙。いきなり大仕事を果たした中田は開幕3連戦で9打点と爆発。幸先よく今季をスタートさせ、7月までは安定して本塁打も量産。チームも西武、ソフトバンクと熾烈な優勝争いを繰り広げたが、8月に右手を痛めて一時的に戦線離脱。チーム成績も比例するように後退した。シーズン中盤、終盤に開幕戦のような展開で中押し、ダメ押しができていれば……と感じさせる劇的すぎる2019年シーズンの幕開けだった。

写真=BBM