石川雅規

 熟練の投球術でパ・リーグの猛者たちをねじ伏せる。今季から球界最年長となった43歳左腕・石川雅規は昨年6月9日のオリックス戦(京セラドーム)に勝利し、交流戦通算27勝目で歴代単独最多となった。チームは同戦で球団最多に並ぶ8カード連続勝ち越しに到達。次カードのソフトバンク3連戦でも勝ち越しを決め、結果的にパ・リーグ全6球団に勝ち越す交流戦の完全優勝に貢献する大きな1勝となった。

 同戦後には「本当にたくさん投げさせていただいていますし、その分たくさん負けているので、悔しい思いもしている。何とか交流戦で1つ勝つことができてよかった」と振り返っていた。現代のプロ野球で160キロ台をマークする投手が次々と現れる中、直球の最速は130キロ台。制球力と緩急を使って相手を幻惑する投球は、強打のパ・リーグ打線の難敵となることは間違いない。

 そして、今シーズンもその高い技術と豊富な経験を生かした投球術は健在だ。5月10日の阪神戦(甲子園)で5回3分の1を投げて4安打無失点と好投し、プロ1年目から22年連続勝利を達成。これは通算350勝を挙げた大投手、米田哲也(元阪急ほか)に並ぶプロ野球記録で「本当に一つひとつの積み重ねですけれど、やはり1つ勝つ難しさは分かっているので、今日の勝利は次につながる勝利だと思います」と振り返った。

 これまで交流戦でセ・リーグ球団が2年連続の頂点に立ったことはない。巻き返しに向けても大事な戦いでベテランが勝利に貢献する。
写真=BBM