プロ野球からクリケット選手として再出発している山本

「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回はクリケット選手に転身した元DeNA・山本武白志選手についてお話しさせていただきます。

 先日、武白志選手に会いに栃木県佐野市に行ってきました。クリケット選手に転身してから会うのは初めてです。防具を身に着けて打撃練習をしている姿、練習後にラーメン屋「日光軒」でアルバイトしている姿……半日以上、彼と一緒にいましたが、充実した表情が印象的でした。九州国際大付属高、DeNAと寮生活でしたが、今は佐野で一人暮らしです。クリケット、アルバイト、一人暮らしとあらゆることが人生初めての体験で料理、洗濯、炊事を含めて生活するためにすべて自分でやらなければいけませんが、その環境を楽しんでいるように見えました。

 クリケットが盛んな佐野市では武白志選手に対する周囲の期待をひしひしと感じました。クリケット関係者だけでなく、アルバイトしているときにもお客さんに激励の言葉を掛けられていました。プロ野球からクリケットに転身することは、とてつもない挑戦だと思います。プロ野球のように、先人の方たちが敷いたレールで成功を目指すわけではありません。ただ前に進んで新しい道を切り開くしかありません。彼は失敗することなんてみじんも考えていないと思います。夢と希望だけを持っている。まっさらな雪の上を楽しんで歩いているように感じました。

 私自身もクリケットに対しては知識が全然ないので、勉強させられることが非常に多いです。武白志選手をトレーニングの観点でサポートすることになりましたが、ウエートトレーニングだけでなく、体のさばき、体の軸を意識したメニューをやっていこうと話し合いました。アスリートとして必要なトレーニングがあります。これはプロ野球のときと変わりませんが、体のメカニズムとしてクリケットでこれから磨かなければいけない要素が出てくると思います。私も分析しながらトレーニングをアレンジしていきたいと考えています。

 プロ野球でプレーした3年間はうまくいかなくなったこともあったし、伸び悩んで苦しんだこともあったと思います。ただその経験も今後の人生で大きな糧になると思います。自分の意志で決断してクリケットに挑戦した姿を見ていると、「生きている」感覚があると思います。一人の若者がこのような挑戦に踏み切ったことに尊敬の念を抱きますし、豪州でプロ選手として活躍するという夢を叶えるためにも微力ながらできる限りのサポートをしたいですね。

文=インプレッション・平尾類