“小園世代”で黄金期を



ドラフト当日の夜に、早速指名あいさつに訪れた佐々岡真司新監督(左)に、カープの帽子をかぶせてもらう森下暢仁

 10月17日のドラフト会議で、広島は6選手(+育成ドラフト3選手)を指名した。今年の「BIG3」と言われたうちの一人の森下暢仁(明大)を鮮やかに「一本釣り」、ポジション別でみても、投手3人、捕手1人、内野手1人、外野手1人、年齢別でも大卒3人、高卒3人と、非常にバランスのいい指名ができ、まずはいい指名だったと言えよう。今回は、これら指名選手の傾向から見えてくる、広島が将来に描く青写真を分析してみたい。

 まずは1位の森下。監督が代わったということもあるが、ドラフト前日の「森下指名」の発表までは、「BIG3」の中から広島がだれに入札するかは、決まっていなかった(あるいは決まっていて伏せられていたのかもしれないが)。森下指名は、「即戦力で」という佐々岡真司新監督の要望が通った、ということのようで、フロントも就任の「ご祝儀」ではないが、まずは大きなプレゼントを新監督に贈って、いい流れでスタートしてほしい、というところを優先したのではないだろうか。

 以前のこのコラムで、佐々岡新監督のテーマとして、「現在のチームの構成から見ると、3、4年後にチームの戦力が落ちる危険があるので、これを防ぐ必要があること」と「将来的に小園海斗の近辺の年齢の“小園世代”で再び黄金時代を築けるようにすること」があると書いた。実は今年のドライチで大学、社会人の「即戦力」を指名するか、高校生を指名するかの選択は、このテーマと密接に関連していて、「即戦力」を指名するならば、来季及び近未来に成績をへこませないことにチームが優先度を感じているということであり、まあこちらはいわば「守りの指名」、高校生を指名するならば、「一度チーム状態がへこんでも、“小園世代”では絶対黄金期を作るぞ」という宣言で、いわば「攻めの指名」といえるわけだ。

 今回の森下1位指名は、3、4年後と言わず、即来季の戦力を見ての補強、という側面が大きいものだろうが、現在22歳である先発候補の森下の指名は、結果的に、アドゥワ誠、山口翔、遠藤淳志ら20〜21歳の先発候補から、床田寛樹、中村祐太といった24歳の間の年齢層の先発投手がいない、という弱点を補強したものになっている。

 さて、では今年の指名、“小園世代”を捨てているのかと言えば、決してそんなことはない。3位に鈴木寛人(霞ケ浦高)、6位に玉村昇悟(丹生高)と、左右の好素材をしっかり指名しているのだ。同世代に好素材がいれば互いに意識して切磋琢磨し、伸びやすいことは昨年の山口と遠藤の例にもあるとおり。鈴木、玉村の2人が順調に育って、今、名前の出た山口、遠藤にアドゥワ、さらにはトミー・ジョン手術から復活を目指す高橋昂也あたりも数えれば、“小園世代”の投手王国が見えてくる。

鈴木誠也のFAへの備えにも


 野手に目を移すと、4位の韮澤雄也は右投げ左打ちの遊撃手。「オイオイ、それでは“小園世代”で黄金期、どころか、当の小園とかぶっちょるよ!」と思われる方もいるかもしれないが、この韮澤は今年のU-18W杯でファーストでベストナインを取ったことでも分かるとおり、ほかのポジションもこなせるセンスのある選手。小園とショートでライバルとなるもよし、ほかのポジションでレギュラーを狙うもよし、というところだろう。

 2位の宇草孔基(法大)と、5位の石原貴規(天理大)は、いずれもかつてのドラ1の現役選手の尻に火をつける指名だろう。宇草は俊足が売りの右投げ左打ちの外野手。つまり野間峻祥と同タイプだ。外野は現在、鈴木誠也と西川龍馬が定位置を固めており、残りは現在35歳の長野久義の後、ということになるが、宇草はここを野間と争うことになる。少なくとも、(もちろんずっとカープにいてくれればいうことはないが)鈴木誠也がFAを獲得するときには「すぐレギュラーになれる」ぐらいになっていてくれないと、「3〜4年後の戦力低下」が防げないことになるか。石原(貴規)は、坂倉将吾が外野兼任になった今、中村奨成の競争相手として互いに成長してくれれば、というところではないだろうか。

 まずは来季の森下の活躍を、そして3、4年後のチームの姿がどうなるかを、さらには“小園世代”が育ったところで黄金時代ができるかを、楽しみに見ていきたいところだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM