中京大中京高の主将・印出太一(3年)は遠投100メートル、二塁送球1.8〜1.9秒台の強肩。打っては高校通算16本塁打の四番で打線の中心でもある

 勝ち続けるチームには必ず、絶対的なリーダーがいる。

 昨秋の新チーム結成以降、公式戦19連勝。全国の高校で黒星を喫していないのはわずか1校。県大会、東海大会、明治神宮野球大会を制した中京大中京高(愛知)である。

 あくまで“非公式”ながら、年明け以降のブルペンで自己最速を2キロ更新する150キロを計測した高橋宏斗(3年)が「ドラフト上位候補」として注目を浴びている。絶対的エースが「首を振ったことがない。打たれたら、自分のボールが悪かったということです」と全幅の信頼を寄せる「相棒」がいる。

 主将、正捕手で不動の四番。

 名実ともに大黒柱の印出太一(3年)が同校の命運を握っている。チームを率いる高橋源一郎監督も「高橋の良さを引き出しているのは、間違いなく印出」と認める。

 研究熱心。試合前日は夜遅くまで相手打者を徹底分析し、自らの目で最善の配球を組み立てる。高橋は印出の献身的な姿を見ているからこそ、出されたサインに、確信を持ってミットに投げ込んでいる。打者の仕草や構えで、狙い球を察知できるクレバーな捕手だ。

 司令塔。試合を動かすキャッチャーとしての高い資質はもちろん、キャプテンとしての冷静な洞察力、言葉力、決断力でけん引する。

 2009年夏、43年ぶりの全国制覇へと導いた前監督の大藤敏行氏は、2018年秋から県内のライバル校である享栄高を監督として指揮している。昨秋の公式戦でも母校と対戦しており「良いキャプテンですよ。劣勢の場面でも、印出がいれば崩れることはない。彼が中京を支えている」と絶賛。堂林翔太(現広島)を擁し、甲子園の頂点に立った11年前より「チーム力は上。戦力は抜けています」とも語る。勝負の夏へ向けて、印出を中心とした完成度の高さに警戒感を示している。

 印出の卒業後の希望進路は大学進学。同校の多くのOBが活躍した、東京六大学でのプレーを夢見る。右の打てる捕手として、NPBスカウトも熱視線を送っており、大学4年間の成長次第では「即戦力」の期待も高まる。

 中京大中京高は全国最多133勝で、春4度、夏7度の優勝の伝統校だ。現チームは年間タイトル4冠(明治神宮大会、センバツ甲子園、夏の甲子園、秋の国体)を目標にしている。まずは、春夏連覇を遂げた1966年以来、54年ぶりの春王者を照準に定める。

「負けない中京を取り戻す。4冠を語れるのは、僕らしかいない。足元をしっかり見つめ、一つひとつ課題をつぶして必ず、達成したい」。コメント力もある17歳。侍ジャパン・稲葉篤紀監督、ヤクルト・嶋基宏らリーダーを輩出してきた同校。少し気の早い話ではあるが、印出も将来の日本球界を背負う人材になれる有望株。3月19日、甲子園で開幕する2020年センバツの注目捕手である。

文=岡本朋祐 写真=写真=矢野寿明