昨年8月4日のDeNA戦(横浜)でプロ初スタメンを果たした巨人・岸田行倫

 他球団の間で話題になっている「4番手捕手」がいる。巨人の岸田行倫だ。ある球団の二軍首脳も岸田の力を高く評価する。「ウチに来れば正捕手を狙えますよ。肩は強いし、打撃も広角に打ててパンチ力がある。まだ23歳と若い。巨人が捕手の層が厚いのでなかなか一軍に行けませんが、二軍に置いておくのがもったいないぐらいです」。

 巨人の首脳陣の間でも期待値は高い。プロ2年目の昨年8月に一軍デビュー。4日のDeNA戦(横浜)では初のスタメンマスクをかぶった。4試合の出場でプロ初安打はお預けとなったが、ペナントレースの勝負どころで一軍昇格して貴重な実戦経験を積んだ。今年はキャンプ終盤にファーム降格したが、3月12日に行われた二軍と三の紅白戦では強打を生かして三塁を守った。高校時代は投手、遊撃手も務めるなど野球センスには定評があるだけに、複数のポジションも十分に対応できるだろう。

 岸田はアマチュア時代から注目された逸材だ。強豪の報徳学園高で甲子園に2度出場し、高3時の2014年に「U18アジア野球選手権」の高校日本代表で三番を担った。四番を打ったのが現在チームメートで同学年の岡本和真だった。大阪ガスでも入社1年目から正捕手を務め、「社会人No.1捕手」と呼ばれるほどに。18年ドラフト2位で巨人に入団した。

 強肩強打でスケールの大きいプレースタイルは、目標に掲げる城島健司(現ソフトバンク球団会長付特別アドバイザー)を彷彿とさせる。ただ、巨人の捕手陣は層が厚い。16年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率を誇る小林誠司、同期入団で左の強打が持ち味の大城卓三、プロ15年目のベテラン・炭谷銀仁朗の3人が高い壁として立ちはだかり、「4番手捕手」からなかなか抜け出せないのが現状だ。

 捕手の層が薄いある球団のコーチは「アマチュアのときからいい捕手だと思っていたよ。ウチにレンタルで貸してほしい」と冗談交じりに話す。ただ、ファームでも現役時代に名捕手として活躍した阿部慎之助二軍監督から多くのことを学べるのは岸田にとって大きなメリットだ。正捕手を勝ち取るためには小林、大城を追い越さなければいけない。来るべきチャンスに備え、鍛錬の日々が続く。

写真=BBM