野手は全体的に順調



新外国人のスコット。もし今、開幕していたら、抑えの切り札になっていた可能性が高い

 新型コロナウイルスの拡大感染の影響で、プロ野球の開幕は4月24日以降となった。ファンはずっとおあずけを食ったままの状態となり、なんともすっきりしない状態が続くが、世の中の情勢がこうなってしまっては仕方がない。

 プロ野球は続けていた練習試合をいったん休止する時期に入り、開幕日が確定したら、またそこへ向け、選手たちが再調整することになるが、各チーム、オープン戦、練習試合を通じて、戦力面で当初の構想どおりに行きそうな部分、そうでない部分が出てきているようだ。佐々岡真司新監督の下、V奪回を目指す広島は、オープン戦から練習試合にかけ、最後は11試合勝利なしでいったん練習試合を終えることになったが、ここでは戦力面から、チームが構想どおりに進んでいるかどうかを考えてみたい。

 まず、野手のほうは、新外国人のピレラが、西武とのオープン戦で死球を受けたことから、大事を取って三軍調整となっているが、それ以外は全体的に順調だ。特に外野陣は、ライトの鈴木誠也、センターの西川龍馬のレギュラーがほぼ確定的だが、残るレフトをめぐっては好調選手がひしめき、大激戦になっている。野間峻祥に加え、高橋大樹と堂林翔太が今年はキャンプから長く好調を維持、もう一つ調子の上がっていなかった長野久義も、練習試合の最終戦で3安打して追い込んできた。一軍に復帰したドラフト2位ルーキーの宇草孔基もいい動きを見せており、もし今、開幕するなら果たしてだれを使うかうれしい悲鳴となるところだろう。内野も、手術明けの田中広輔がまずます順調で、万一ピレラが間に合わなくても、サードに入れる小園海斗や安部友裕がいることから、状態としてはむしろ予定どおりの日程で開幕してほしかった、というところだろう。

 逆に投手陣のほうは、少し開幕が延びてくれて助かった、という面もあるかもしれない。先発陣は、本来の開幕予定だった3月20日ごろに調子が良かったのは、ここに向けて着々と準備してきた大瀬良大地と、新人の森下暢仁ぐらいで、やや調整不足の選手が多かったためだ。まあ実績のあるK.ジョンソンはオープン戦が多少悪くても心配ないとしても、そのほかの先発投手には不安が残っていたが、練習試合の終盤の局面では、床田寛樹、九里亜蓮、遠藤淳志らが徐々に調子を上げてきており、薮田和樹も加えた中から先発ローテーションは組める形になりそうだ。このほか、アドゥワ誠もいれば、足の故障で出遅れていた野村祐輔が、延期で開幕に間に合う可能性も出てきたことを考えれば、戦力面では開幕延期はプラスに出そうだ。

リリーフ陣は構想が狂っていたが……


 ただ、今もってメドが立っていないのが、リリーフ陣のほうだ。まず抑えは、昨年務めていたフランスアと新外国人のD.ジョンソン、スコットの3人で争う形になっていたが、このうちフランスアとD.ジョンソンがピリッとせず、ファーム調整に。もし、今が開幕なら消去法でスコットが抑え役をするしかなかったことになる。

 その前のセットアップも、当初の予定とは大幅にメンバーが変わっている。昨秋時点の当初構想では、昨年実績のある菊池保則に加え、パワーピッチャーを並べて相手の攻撃を封じていく、という構想で、左では中村恭平と塹江敦哉、右では岡田明丈や、体調万全なら島内颯太郎らの名が挙がっていたが、この中で、今、一軍に残っているのは菊池保と塹江ぐらい。左は塹江と、キャンプから好調の高橋樹也で、右は、もし今、開幕するなら、ベテランの今村猛や、さほど調子は上がっていないが一岡竜司、パワーピッチャーでは矢崎拓也らでやりくりするか……という形になっていたと予想される。

 この部分に関しては、もし予定どおり開幕していたら、メドが立たないまま戦うことになっているところだった。開幕までの時間を使って再整備し、何とか開幕延期をプラスに転じていけるようにしたいところだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM