本塁打に関する記録の中に、「全球団本塁打」と「全打順本塁打」というものがある。「全球団本塁打」は、NPBの12球団すべてに対して本塁打を放つ記録で、「全打順本塁打」は一番から九番まで全ての打順で本塁打を達成する記録だ。どちらもそう簡単に達成できないが、両方の記録も達成した選手はいるのだろうか?

「全球団本塁打」達成者は何人いる?



2005年6月10日の日本ハム戦で阪神の金本は「全球団本塁打」を達成した

 まず、「全球団本塁打」を達成した選手が何人いるのかを調べたところ、以下の37人が達成している。

江藤慎一(1975年6月1日達成)
富田勝(1981年8月26日達成)
加藤英司(1986年5月10日達成)
金本知憲(2005年6月10日達成)
フェルナンド・セギノール(2005年7月2日達成)

フリオ・ズレータ(2007年4月1日達成)
グレッグ・ラロッカ(2007年4月5日達成)
タフィ・ローズ(2007年5月27日達成)
アレックス・ラミレス(2008年3月28日達成)
新井貴浩(2008年5月14日達成)

アレックス・カブレラ(2008年5月9日達成)
谷佳知(2008年6月3日達成)
タイロン・ウッズ(2008年6月6日達成)
北川博敏(達2008年6月23日成)
和田一浩(2009年5月19日達成)

多村仁志(2009年6月2日達成)
石井琢朗(2009年7月4日達成)
二岡智宏(2010年5月19日達成)
小笠原道大(2010年6月4日達成)
ホセ・フェルナンデス(2011年5月22日達成)


内川聖一(2011年6月19日達成)
中村紀洋(2012年5月4日達成)
ターメル・スレッジ(2012年5月22日達成)
村田修一(2012年8月4日達成)
トニ・ブランコ(2013年3月31日達成)

糸井嘉男(2013年5月11日達成)
相川亮二(2013年6月5日達成)
吉村裕基(2014年5月29日達成)
アーロム・バルディリス(2015年5月27日達成)
大引啓次(2015年9月10日達成)

中島宏之(2016年9月22日達成)
ホセ・ロペス(2017年6月6日達成)
福留孝介(2018年6月14日達成)
丸佳浩(2019年4月17日達成)
大田泰示(2019年6月9日達成)

浅村栄斗(2019年6月14日達成)
ブランドン・レアード(2019年6月22日達成)


史上初の「全球団本塁打」は1975年、太平洋時代の江藤が達成した

 NPB初の「全球団本塁打」達成者は、中日や大洋、太平洋でプレーした江藤慎一。1975年6月1日のロッテ戦で達成した。この江藤から加藤英司までの3人は、交流戦が開始される以前の達成者。この記録は、セ・パそれぞれで2球団以上に所属しないと達成できなかったため、難易度が非常に高かった。

 2005年に交流戦が始まってからは記録達成者が毎年のように出ており、2005年から2019年までの14シーズンで34人とかなりのハイペースだ。この34人のうち、フェルナンド・セギノール、フリオ・ズレータ、アレックス・カブレラ、谷佳知、和田一浩、小笠原道大、ホセ・フェルナンデス、中島宏之は、2004年に消滅した近鉄相手にも本塁打を記録しているため、「13球団相手に本塁打」というレアな記録の持ち主でもある。

 昨オフ、ヤクルトのウラディミール・バレンティンがソフトバンクに移籍。今年3月には、阪神の鳥谷敬がロッテに移籍した。この2人は所属球団以外に対して本塁打を打っているので、バレンティンはヤクルト戦、鳥谷は阪神戦で一発が出れば、見事「全球団本塁打」達成となる。ほかには、広島の長野久義や巨人の陽岱鋼、楽天のステフェン・ロメロが、古巣相手に本塁打で記録達成だ。

一番から九番まですべての打順で本塁打を達成した選手は?



史上2人目の「全球団本塁打」「全打順本塁打」をマークしている楽天・浅村

 次に、一番から九番までの「全打順」で本塁打を達成した選手が何人いるのかを調べてみた。その結果、以下の11人が達成していることが分かった。

古屋英夫(1989年5月5日達成)
松永浩美(1996年4月27日達成)
田中幸雄(1997年8月12日達成)
堀幸一(1998年5月26日達成)
小川博文(1999年6月3日達成)

五十嵐章人(2002年4月21日達成)
井口資仁(2009年4月7日達成)
吉村裕基(2009年6月17日達成)
後藤光尊(2011年8月11日達成)
浅村栄斗(2015年9月22日達成)

島内宏明(2019年4月20日達成)

 史上初の「全打順本塁打」達成者は日本ハム、阪神でプレーした古屋英夫だ。1989年5月5日のオリックス戦で達成している。また、直近の達成者は楽天の島内宏明で、2019年4月20日のオリックス戦で四番打者を務め、見事に本塁打を放った。

「全球団本塁打」と「全打順本塁打」の記録達成者を見ると、両方の記録を達成しているのは吉村裕基と浅村栄斗の2人となる。吉村は強打を武器に横浜、ソフトバンクでプレー。2014年5月29日に「全球団本塁打」を達成したことで、NPB史上初となる「全球団本塁打」と「全打順本塁打」の両記録を達成した。西武でプレーした後にFAで楽天に移籍した浅村は、2019年6月に唯一本塁打が打てていなかった広島戦で一発を放ち、全球団本塁打を達成。吉村に続く2人目の「全球団本塁打と全打順本塁打を達成した選手」となった。

 現役選手では、巨人の坂本勇人やオリックスのT-岡田、ロッテの清田育宏が「全打順本塁打」に王手をかけている状態。T-岡田は三番での本塁打で記録達成となるため、調子が上向けば達成はそこまで難しくないだろう。清田は四番での一発を残しているが、2019年は主に三番を打っており、チーム状態次第で四番を任される可能性もある。厳しいのは坂本だ。残すは九番での本塁打だが、セ・リーグでは基本的に投手が九番を打っており、そもそも打力のある坂本を下位打線に配置する可能性もないため、記録達成は難しいだろう。

「全球団本塁打」と「全打順本塁打」の両方を達成した選手は吉村裕基と浅村栄斗の2人とかなりレアな記録であることが分かった。今シーズンは開幕が不透明だが、「全球団本塁打」と「全打順本塁打」に王手をかけている選手や、すでに二つの大記録を達成している浅村の動向に注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM