環境は日増しに悪化



球場に活気が戻るその日まで球界は一丸とならないといけない

 新型コロナウイルスの猛威は、衰えるどころか、さらなる拡大の気配を見せている。開幕延長を強いられたプロ野球にも大きなダメージを与え、4月3日に開いた12球団代表者会議では目標としていた4月24日のスタートを断念。今後の感染状況を見ながら新たな開幕日を4月下旬〜5月上旬に決める方針でまとまり、開幕は早くとも6月以降にずれ込む見込みとなった。

 安倍晋三首相は7日、東京や大阪など7都府県にまん延阻止のために私権制限を含む措置を可能にする緊急事態宣言を発令。施設使用停止やイベント中止をこれまで以上に強く要請できるようになった。プロ野球を取り巻く環境は日増しに悪化している。

 代表者会議後の会見で、斎藤惇コミッショナーは「状況はますます厳しく、開幕日を設定するのは難しい」と話し、セ、パ両リーグのチームが行う全143試合数の削減やクライマックスシリーズ(CS)の取りやめを示唆。開幕がさらにずれ込めば、ペナントレースの中止という最悪の事態もちらついてくる。

 日本野球機構(NPB)は、開幕の大幅遅延による影響について話し合っている。今後の対応策として、フリーエージェント(FA)の資格条件(1シーズンの出場選手登録146日以上)やトレード期限(7月31日)の緩和、新型コロナ感染での登録抹消をカウントしない――など特別措置も検討している。

 どの球団も未曾有の収益減が必至なことから、球界全体が経営問題についても考えざるを得なくなった。親会社の支援等が望めない体力のない球団は、今回の事態は死活問題となるだろう。今後も未知の感染症をはじめ、想定外の災害等にわれる可能性が否めないだけに、その場しのぎの対応では済ませられない。テレビ、インターネット等の放映権収入のあり方やパブリシティー活動の一元化など、これまでのシステムのままでいいのかという意見が噴出しそうだ。令和のプロ野球界には、非常時にも揺るがない収益基盤の再構築が求められる。

 本番がズルズルとずれ込み、練習もままならない中、選手のモチベーションや技術、コンディションの維持が難しい状況となっている。そんな中で、一部の選手からインスタグラムやツイッターなどSNSでファンに情報を発信しようとする動きがある。

 ロッテのドラフト1位ルーキー、佐々木朗希投手は、室内でもできる簡単なトレーニング方法をインターネットの無料動画で公開。佐々木朗自身が下半身や股関節などを鍛えるメニューを実演し、自宅待機する子供たちに向け、「コロナ渦に負けるな!」と呼び掛けている。

選手会の取り組み


 日本プロ野球選手会(炭谷銀仁朗会長=巨人)とNPO法人のベースボール・レジェンド・ファウンデーションは、インターネットで資金調達をするクラウドファンディングを通じ、新型コロナウイルスの感染拡大防止活動をすると発表。選手会所属の全選手とメジャー・リーグ所属の日本選手に協力を求めて寄付活動を行い、医療機関や子どもたちへの支援を計画。炭谷会長は「一日も早く日常を取り戻せるように、選手は全力で取り組んでいく」としている。

 本来の舞台であるグラウンドに立ち、ユニフォーム姿でプレーを見せて楽しませることはできないが、注目度の高いトップアスリートだからこそできる役割がある。メディアを介さないネット等の発達により、選手がユニークな発想でファンに勇気を与えることもできる時代となった。戦後の日本の復興を支えた「国民的スポーツ」は、国難とも言える非常事態にどのような社会貢献ができるか。今、プロ野球の存在価値が問われている。

写真=BBM