一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

殺気立つ平和台球場



表紙は巨人・高橋一三


 今回は『1971年6月28日号』。定価は90円。
 
 残りあと1年半ほどと、カウントダウンが続く西鉄ライオンズの現状について、前回と同じ号と数号前の「週報」からネタを拾ってみた。

 前回、東田正義、竹之内雅史のトンタケコンビについて触れたが、これは、まさにかすかな光明。チームは、これ以上ないどん底にあった。
 開幕から5勝2敗と好スタートを切ったが、以後急失速。5月8日から2引き分けをはさむ11連敗。1勝の後、またも引き分けをはさみ7連敗、さらに1勝をはさみ……。

 週刊誌にはまたも身売り話を書かれている。いわく、
「九州電力や新日鉄八幡などの九州有力財界の面々が会合。西鉄ライオンズとある清涼飲料会社の業務提携をシーズン後に行うよう決めたらしい」
 とあった。真実かガセかは分からないが、オリオンズに対するロッテ製菓のような、ネーミングライツ的な資金援助をイメージした話だろう(ロッテは、すでに大映映画の永田雅一が完全撤退し、事実上、段階的な身売りのようになったが)。

 これに対し、球団の「木本オーナー」は、
「あほらしい。いまライオンズを売るほど経営は行き詰まってないよ」
 とスポーツ紙の記者に強気で一蹴したが、西鉄本社は組合との交渉決裂から電車、バスがストライキの大混乱。
 西鉄本社の「木本専務」は、一般紙の記者に、
「うちは中小企業で、経営は苦しいですからね」
 と話していた。

 8連敗の後、6月8日には試合前に青木球団代表が選手を集め、
「やる気のない者は去れ、そのために球団が解散状態になっても仕方ない」
 とヤケクソ気味? の檄。その前に幹部選手を集めての1時間ほどのミーティングがあったらしいが、内容については厳しいかん口令が敷かれていた。
「球団に、どんなことが起こっても冷静に」という話だったのだろうか。

 檄も虚し、この8日の東映戦(平和台)も2対15の大敗で9連敗。球場も殺気立っていた。味方ファンからのヤジだけではなく、物は投げ込むし(これはいつもか)、スタンドではケンカもしばしば。
「ストばっかりするから、野球で負けるんだ」
 というヤジもあったようだが、これはナインがかわいそうだ。
 この試合の敗戦投手は河原明だったが、車のボディがボコボコになっていた。5月25日の阪急戦(小倉)で敗戦投手になった際、ファンに囲まれ、車を殴ったり、蹴ったりされたらしい。

 平和台で応援のリーダーをしていた川辺さんは、スタンドのファンから瓶を投げられ、右腕に打撲傷。これが1カ月近く長引く重症だった。奥さんからは球場への交通費を止められたらしいが、「かなりやりがいがない」と言いながらも、連日の応援を続けていた。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM