一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

新監督は大沢啓二に



表紙は阪急・長池徳二


 今回は『1971年8月9日号』。定価は90円。
 
 7月23日、東京球場でのロッテ─阪急戦だった。
 前年の優勝監督、しかも、この年も2位につけていた濃人渉監督の異例の交代劇が起こった。

 期せずして、あの放棄試合でも投げていた足立光宏の好投もあってロッテが劣勢になっていた試合だ。
 21時20分、9回表、阪急・長池徳二の満塁弾が出て、敗戦がほぼ確定した後、中村オーナーはネット裏からオーナー室に入り、スタンドで観戦していた大沢啓二二軍監督を呼んで、一軍監督昇格を告げた。

 皮肉と言えば皮肉だ。
 実は前年11月、永田雅一前オーナーがリーグ優勝したにもかかわらず濃人監督を交代させ、大沢を昇格させようとしたとき「優勝監督を交代させるのはおかしい」と、永田前オーナーを猛烈に批判したのが、オーナー代理時代の中村だ。結果的には「マウント」ではないが、今の球団で誰が力を持っているかを永田に思い知らせ、話をつぶした。

 中村は、ある人から「なぜ濃人を辞めさせないのか」と聞かれ、こう答えたという。
「濃人君の采配がまずいことは言われなくても分かっている。そのために野球をよく知っている近藤(貞雄)君をヘッドにしたのだ。それより野球のことは、濃人より私のほうが知っている」

 話を23日に戻す。
 試合はやはりロッテの敗戦。濃人監督は自分が監督を降ろされたなどとはまったく知らない。
「(首位阪急に)8ゲーム差と開いたが、まだ望みはある。あすから気持ちを入れ替え頑張ろう」
 と選手に活を入れていた。
 しかし、この後、濃人と近藤ヘッドがオーナーに呼ばれ、そのまま記者会見に。中村オーナーから濃人監督と近藤ヘッドを二軍に降格させ、大沢と入れ替えることを発表した。

 濃人さん、かわいそう。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM