今年プロ4年目を迎える2016年ドラフトで指名され入団した選手たちは、下位指名に逸材が多いことに驚かされる。この年のドラフトは「大学ビッグ3」の動向が注目され、創価大の田中正義(ソフトバンク)に5球団が競合。明大の柳裕也(中日)も2球団が競合し、桜美林大の佐々木千隼は「外れ1位」でNPB史上最多の5球団が競合した。高校生では作新学院高・今井達也(西武)、横浜高・藤平尚真(楽天)、履正社高・寺島成輝(ヤクルト)、広島新庄高・堀瑞輝(日本ハム)が1位で入団している。だが、プロに入れば実力の世界だ。山本由伸、種市篤暉、藤嶋健人……チャンスをつかんだ下位指名の選手たちがチームに不可欠な存在になっている。
通算成績は2019年現在


オリックス・山本由伸

・山本由伸(オリックス) 16年ドラフト4位
※通算79試合登板 13勝9敗1セーブ32ホールド、防御率2.54

 岡山県で生まれ育ち、野球留学で宮崎県の都城へ。県下で名の知れた右腕だったが、甲子園出場はならず。高卒1年目の17年に球団の高卒ルーキーで球団史上23年ぶりのプロ初勝利をマークすると、18年にセットアッパーに定着して54試合登板で4勝32ホールドと活躍。先発転向した昨年は8勝6敗、防御率1.95で最優秀防御率のタイトルを獲得した。同年に開催された「プレミア12」でもセットアッパーで侍ジャパンの初優勝に貢献。最速158キロの直球、スライダー、フォーク、カーブ、ツーシーム、カットボールと多彩な変化球の精度も高い。


ロッテ・種市篤暉

・種市篤暉(ロッテ) 16年ドラフト6位
※通算33試合登板 8勝6敗2ホールド、防御率3.95

 八戸工大一高で2年秋からエースになったが、甲子園出場はなし。入団時は1位指名の佐々木千隼の注目度が高かったが、2年目の18年に一軍デビューを飾るなど7試合登板。初勝利はお預けとなったが、同年オフに弟子入りしたソフトバンク・千賀滉大に球威十分の直球を絶賛された。昨年は先発ローテーションに定着し、チーム最多タイの8勝をマーク。8月には江夏豊、木田勇に並ぶ日本人最多タイの23イニング連続奪三振を記録した。背番号「63」から「16」に変更した今季はエースとして活躍が期待される。


中日・藤嶋健人

・藤嶋健人(中日) 16年ドラフト5位
※通算51試合登板 3勝3敗14ホールド、防御率3.32

 東邦高では1年夏、3年春夏と甲子園に3度出場。高校通算49本塁打の打力を評価する声が多かったが、藤嶋は投手としてプロでの勝負を熱望して中日にドラフト5位で指名された。2018年に松坂大輔(現西武)が予告先発されていた6月17日の西武戦(メットライフドーム)で松坂が試合直前に背中の痙攣で登板を回避したため、代役で緊急先発して6回2失点の好投でプロ初勝利を挙げた。昨年は右手の血行障害に悩まされたが、7月から救援で21試合連続無失点と信頼を勝ち取り、32試合で14ホールドをマーク。元巨人の上原浩治を彷彿とさせる投球フォームから繰り出される直球、フォークが武器でメンタルも強い。


楽天・森原康平

・森原康平(楽天) 16年ドラフト5位
※通算123試合登板 7勝8敗43ホールド、防御率3.44

 山陽高、近大工学部を経て新日鐵住金広畑へ。2年目から2年連続日本選手権に登板して球威十分の直球でプロのスカウトの評価が上がった。楽天に入団1年目に42試合登板で2勝13ホールドをマーク。昨年は自己最多の64試合登板で4勝2敗29ホールド、防御率1.97と抜群の安定感だった。背番号「52」から「13」と変更した今年は先発転向した松井裕樹に代わる守護神として期待される。


楽天・高梨雄平

・高梨雄平(楽天) 16年ドラフト9位
※通算成績 164試合登板、4勝5敗1セーブ44ホールド、防御率1.90

 川越東高では甲子園出場なしも3年夏の埼玉県大会準々決勝・春日部共栄高戦で延長14回を1人で投げ切りサヨナラ勝ちで注目を集めた。早大時代に左肩痛やイップスと悩んだが、社会人野球・JX-ENEOSでスリークォーターからサイドスローにフォーム改造して安定感が増した。1年目に46試合登板で1勝0敗14ホールド、防御率1.03で信頼を勝ち取ると、2年目に球団史上最多の70試合登板。昨年は48試合登板で2勝1敗14ホールド、防御率2.30で被本塁打ゼロ。抜群の安定感で球界を代表するセットアッパーに上り詰めた。


西武・平井克典

・平井克典(西武) 16年ドラフト5位
※通算成績 187試合登板、10勝5敗61ホールド、防御率3.19

 静岡・飛龍高では控え投手で甲子園出場はならず。愛知産大を経てHonda鈴鹿でオーバースローからサイドスローにフォーム改造したのが野球人生の転機になった。社会人3年目にエース格として活躍し、西武に入団。即戦力として1年目から救援で42試合に登板すると、2年目の18年に64試合登板で3勝21ホールドを挙げてリーグ優勝に貢献。昨年はリーグ最多登板記録の81試合に登板と鉄腕ぶりを発揮し、5勝36ホールドでリーグ連覇に導き、「陰のMVP」と称された。


阪神・糸原健斗

・糸原健斗(阪神) 16年ドラフト5位
※通算成績 352試合出場、打率.274、4本塁打、104打点、13盗塁

 島根・開星高では3年春夏に甲子園出場。明大、JX-ENEOSを経て阪神に入団すると、当時の金本知憲監督から力強いスイングで直球をはじき返す点を評価。攻守走3拍子そろったプレースタイルで1年目の17年に66試合出場した。18年は全試合出場で打率.286をマークし、19年には球団史上最速の入団3年目で主将に就任。昨季も全試合に出場し、打率.267、2本塁打。今季も攻守でチームを引っ張る。


DeNA・佐野恵太

・佐野恵太(DeNA) ドラフト9位
※通算成績 180試合出場、打率.259、10本塁打、48打点、1盗塁

 広島・広陵高では甲子園出場なし。明大では中日・柳裕也が同期で四番を務めたこともあり、六大学通算打率.270、6本塁打。打撃センスはプロのスカウトに評価されていたが、本職が外国人など強打者の守る一塁だったこともあり、ドラフトでは支配下登録の指名で87人中84番目、セ・リーグでは最後の指名だった。昨年は89試合出場で打率.295、5本塁打をマーク。レイズに移籍した筒香嘉智の後継者として今季はラミレス監督に主将、四番を託された。

写真=BBM