野手陣の好循環も好調の要因



着々と独走態勢を固めている巨人

 セを独走する巨人だが、一つの特徴は若手の台頭、つまりは新陳代謝の良さか。
 特に野手だ。
 現在、規定打席にいるのは岡本和真、坂本勇人、丸佳浩の3人だけでセの最少。しかも3人とも3割に達しておらず、岡本が.287、丸、坂本は.244、.243に過ぎない。なのに、チーム打率が.256だから、いかにほかの選手がよく打っているかが分かる。

 北村拓己、増田大輝ら生え抜きの若手がいい活躍をしているのも大きい。軸の3人がいて、移籍選手、外国人選手をうまく使いつつ、調子のいい二軍選手が上がってくれば、すぐチャンスを与えるといういい循環をしている。
 編成まで全権を握った原辰徳監督の手腕だね。

 長嶋茂雄監督時代の巨人は、まったく違う補強スタイルだった。各球団の四番、逆指名で大学、社会人の大物を獲ったが、その顔触れがすごすぎて、なかなか生え抜きが上がってくる余地がなかった。
 いい悪いじゃないよ。それが実を結び、生え抜きの松井秀喜を軸にした長嶋さんらしい豪快な打線のチームになった。

 ただ、原監督は若手に優しいだけじゃない。チャンスは与えるが、その先にはまた壁がある。いいときに使ってくれるが、ダメならすぐ落とされ、代わりが上がってくる。
 もちろん、その“代わり”が力不足なら、このサバイバルは成立しない。
 そう考えると、今の原野球を支えている大きな要因の一つは、ファームということになる。

 その巨人のファームで一つ興味深い人事があった。少し前にスカウト部門を強化し、ほぼ直轄としたが、今度は高田誠のスカウト部参与になって空いたファームディレクターに井上真二三軍監督が入り、三軍総合コーチだった二岡智宏が三軍監督になった。
 俺は井上がファームディレクターになったことが、このオフのカギになるかなと思っている。

 ある球団関係者がよく言っていた。「ファームの強化は育成と、あとは切ることです」って。
 いくら育成枠があっても、今の巨人は人数的には飽和状態だ。そうなると、新しい選手を来季獲得する際、今いる選手に引導を渡さなくてはならない。たぶん、井上がその役になるんだろう。
 俺がコーチ時代、嫌だったのが二軍に落とすとき。でも、気休めのときもあるが、「また、上がってこい」とは言える。だが、二軍選手に戦力外の通知は、いわば最後通牒。トライアウトもあるけど、簡単じゃないからね。言うほうもつらいだろうな。

 さらに大事なのは、その前の見極め。二軍や三軍では成績なんて関係ない。将来性もそうだけど、総合的には力が今一つでも、足だけ、守備だけでも役立つ選手は十分にチームに貢献できる。
もちろん、最終的には原監督の判断になるんだろうが、その前段階での見極めが井上の大事な仕事になるのかなと思っている。

 大変だとは思うが、彼がうまく機能すれば、巨人がさらに強くなるのは間違いない。

写真=BBM