ダイエー・門田博光

 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1992年9月4日だ。

 ホームランにこだわり続けたダイエー・門田博光がこの日、引退を表明した。こんなエピソードがある。ホームランを打ったのに、門田は不満げな表情でベンチに戻ってきた。ホームランの飛距離に納得がいかなかったからだという。

「南海に入団した1年目に、外国人選手のすごいパワーを見せつけられて、オレもああいうふうになれないものか、10年、20年かかっても、あの力を作ってみたいとトライした」

 ホームランに魅せられ、その魅力をファンに伝え続けたプロ野球人生と言っていいだろう。

 南海に入団したのが1970年。79年の右アキレス腱断裂という野球生命の危機も、不屈の闘志で克服した。40歳になった88年には44本塁打、125打点で二冠を獲得。これは最高年齢キングのプロ野球記録。通算本塁打567本は王貞治(巨人)、野村克也(南海ほか)に次ぐ歴代3位だ。

 数々の金字塔を打ち立てた“不惑の大砲”が引退の決意をしたのは、球宴明けだった。遠くに飛ばすために酷使し続けた体は、もうボロボロになっていたという。目がかすみ、とても打席に立てる体調ではなくなっていた。

「これでゆっくり熟睡できるんじゃないかと思う」

 完全燃焼した23年間。“球道者”門田だからこそ口にできる、引退の言葉だった。

写真=BBM