「最強助っ人」によく挙げられるのが、阪神伝説の助っ人・ランディ・バースだ。三冠王を二度記録し、通算打率は外国人選手では歴代トップ。確かに最強といえるだろう。しかし、各通算成績を見ると、複数の項目でバース以上のトップクラスの成績を残している外国人選手がいる。それは現在DeNAの監督を務めるアレックス・ラミレスだ。今回は、ヤクルト、巨人など複数のチームで活躍したラミレスの足跡をまとめてみた。

伝説のスカウトによって日本球界入り



ヤクルトで明るいキャラクターでも人気だった

 MLBのインディアンスでプロキャリアをスタートさせたラミレスは、AAAのバイソンズで好結果を残したことでパイレーツに移籍。しかし、なかなか本来の力が発揮できず、さらにはコーチ陣と対立したことで出場機会を失うことと。そんな状況の中、ラミレスはヤクルトの中島国章スカウトの目に留まる。ヤクルトからのオファーに対し、ラミレス本人も「日本で稼げる」と考えたことで、両者は合意。2001年より日本でプレーすることとなった。ちなみに中島スカウトは過去にはトーマス・オマリーやロベルト・ペタジーニを見いだした慧眼の持ち主。ヤクルトは「当たり外国人」が多いが、それは中島スカウトがいたからこそだろう。

 NPB1年生のラミレスは、いきなり138試合に出場して、打率.280、29本塁打、88打点と活躍。この年、チームはリーグ優勝と日本一を達成し、ラミレスも大いに貢献した。ラミレスといえばレフトが定位置だが、実は当初はライトを希望していた。しかし、当時のヤクルトのライトには稲葉篤紀がいたため、仕方なくポジションを変えたという。

 1年目から好結果を残したラミレスは、翌2002年もバッティングでチームを支えた。ラミレスの打順は序盤は七番だったが、成績が上がるにつれて六番を打つ機会が増え、終盤には主に五番で起用。打線の主軸として活躍し、打率.295、24本塁打、92打点の成績でこのシーズンを終えた。

ペタジーニの跡を継いで不動の四番に


 2003年は主砲のペタジーニが巨人に移籍。ラミレスはその後釜として四番を任されることとなった。この四番抜擢に奮起したのか、ラミレスは序盤から打ちまくり、4月は打率.362、10本塁打、33打点で月間MVPに選出。その後も安定したバッティングを見せ、最終的に全140試合に四番で出場。打率.333、40本塁打、124打点を記録し、最多本塁打、最多打点、最多安打の3タイトルを獲得した。

 翌2004年もヤクルトの主砲として開幕から四番で出場。シーズン中盤で負傷により離脱したが、終わってみれば打率.305、31本塁打、110打点と主砲にふさわしい結果を残した。2004年の負傷から復帰した後は五番を任されていたが、2005年は再び開幕から四番を担当。打率.282と前年より数字を落とすが、全146試合に出場して32本塁打と強打でチームを支えた。

 名実ともにチームの顔となったラミレスは、この年だけでなく2006年、2007年も全試合にフル出場。長打力と高いミート力を兼ね備えたバッティングはもちろん、このタフさもラミレスの大きな魅力だった。

巨人の四番として歴史に名を刻む



巨人でも四番として活躍し2008、09年の優勝に貢献

 2007年オフ、ラミレスは球団との残留交渉で折り合いがつかなかったことから自由契約となり、右の長距離砲の獲得を求めていた巨人に移籍。同じくヤクルトの主砲で、2003年に巨人に移籍したペタジーニが思ったような結果が残せずに退団していたため、ラミレスが活躍できるか不安視する声もあった。しかし、ラミレスは打率.319、45本塁打、125打点と活躍し、外野の声を一掃。5月4日から四番を任されると、そこからシーズン終了まで四番の座を守り続けた。

 ラミレスは2008年から2011年まで巨人に在籍し、最多安打1回、最多打点2回、最多本塁打1回と活躍したが、それ以上に注目すべき数字が「四番としての連続先発出場記録」だ。ラミレスは2008年5月4日に四番に就任すると、そこから2011年7月13日まで469試合連続で四番を務めた。これは王貞治や松井秀喜をも超える巨人歴代四番打者の中で最多。偉大な巨人の歴史にその名を刻んだ。

 2011年に成績が下降したことで、シーズン終了後に巨人からDeNAに移籍。残念ながらヤクルト、巨人時代のような成績が残すことができなかったが、2013年には外国人選手では初となる2000本安打(NPB通算、日米通算は2012年に達成)を達成している。

 その後はBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスを経て2014年に現役を引退。引退後は群馬ダイヤモンドペガサスのシニアディレクター、オリックス巡回アドバイザーを務め、2016年よりDeNAの監督に就任した。

 ラミレスはNPB通算13シーズンで次のような成績を残した。

試合:1744
打席:7152
打数:6708
得点:866
安打:2017
二塁打:328
三塁打:12
本塁打:380
塁打:3509
打点:1272
打率:.301

 このうち、助っ人外国人の中で最多を誇るのが「出場試合」「安打」「二塁打」「打点」。また、「得点」「本塁打」「塁打」も外国人では歴代2位と、三塁打や打率を除く項目でトップクラスの成績を収めている。総合的に考えると、ラミレスこそ「最強の助っ人」といっていいだろう。

 現在もダヤン・ビシエドやネフタリ・ソトなど、強打でチームに貢献している助っ人は多くいるが、例えば2000本安打など、ラミレスに匹敵する成績を残すのは難しいだろう。それだけラミレスが日本で残した成績は偉大なのだ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM