落合博満といえば、歴代最多となる3度の三冠王を記録した希代の強打者。今後、この記録に並ぶのは難しいと言われているほどのアンタッチャブルな記録だ。しかし、落合はほかにも数多くの「大記録」を残している。今回は、落合が現役時代に残した「トンデモナイ記録」を紹介する。

驚異的なバッティングで3度の三冠王に



三冠王を3度、獲得したロッテ時代の落合

 まずは現役20年間の通算成績を見てみよう。

試合:2236(歴代23位)
打席:9257(歴代14位)
打数:7627(歴代27位)
安打:2371(歴代12位)
本塁打:510(歴代6位)
塁打:4302(歴代9位)
打点:1564(歴代5位)
四球:1475(歴代2位)
打率:.311(歴代8位)
出塁率:.422(歴代2位)

 試合や打席、打数を見ると分かるように、歴代で見るとTOP10に入るような数字ではない。にもかかわらず、安打以外の打撃ではいずれも上位10人に入る成績(もちろん安打も歴代12位とトップクラスだが)を残している。

 また、上のデータにはないが、落合の通算三振数は1135で、歴代42位と球史に名を残す強打者の中では少ない。あの王貞治でさえも歴代21位なのだから、落合がいかに「長打力とバットコントロールに優れ、鋭い選球眼を持つバッター」だったのかが分かるだろう。

今なお破られていない驚異のシーズン出塁率


 さて、落合が残した記録の中で、今季大きな注目を集めているのが「シーズン出塁率」だ。落合は3度目の三冠王に輝いた1986年に、歴代最高となるシーズン出塁率.487を記録した(公式記録として扱われるようになった1985年以降)。打撃機会のほぼ半分は出塁しているというとんでもない数字だ。

 さらにすごいのは、落合はこの1年だけでなく、前年の1985年には.481、中日移籍後の1991年にも.473と高い出塁率をマーク。歴代記録の1位、2位、4位が落合の記録だ。今季、日本ハムの近藤健介が落合の歴代最高に迫る数字(10月6日終了時点で.467)を残しており、歴代トップ更新となるか、注目を集めている。

数々の日本記録を樹立



セ・リーグに移籍し、中日(写真)、巨人でも結果を残した

 落合はほかにもいくつもの日本記録を樹立している。まずはシーズン得点圏打率だ。1985年に落合は.492という驚異的な得点圏打率をマーク。これだけ打たれると相手チームとしてはたまったものではない。そのため、この年は自己最多の26度の敬遠、四球はリーグ最多の110だった。ちなみに、MLBでイチローがシーズン最多安打を更新した2004年の得点圏打率は.372。NPBとMLB、また打順も異なるため単純な比較はできないが、1985年の落合がいかに圧倒的だったのが分かるだろう。

 セ・リーグでは通算263本、パ・リーグでは通算247本と、両リーグで200本塁打以上を放っているのも落合ただ一人。リーグをまたいでの移籍となると、大打者でも本来の実力が発揮できずに終わるケースも少なくないが、落合には関係なかった。本塁打に関していえば、ほかにはシーズン50本塁打以上を「2年連続」で記録したのも落合のみ。1985年のシーズン52本塁打は、今なお破られていない「日本人右打者」での最高記録だ。

 落合のトンデモナイ記録として1991年の「1試合で6四球」というNPB記録がある。この年の落合はヤクルトの古田敦也と激しい首位打者争いを繰り広げていた。10月13日に、中日とヤクルトはこの年最後の直接対決を迎えるが、この時点では古田が僅差で打率トップ。そのため、ヤクルトは古田を出場させずに休ませ、対する落合には全打席で故意四球(敬遠)を行った。それだけ落合は脅威だったのだ。これが功を奏したのか、最終的に古田は0.003差で首位打者を獲得。落合は前人未到の珍記録を作るものの、タイトルを逃すこととなった。

 落合が現役時代に残した数々の記録の中から、特に驚異的なものをピックアップしてみた。あらためて「落合はすごかった」と思った人も多いだろう。果たして日本ハムの近藤は、これほどの大記録を残した偉大なレジェンドの数字を超えられるのか、今後に注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM