世代交代が進んだリリーフ陣



リリーフ要員として伸びしろ十分の島内颯太郎。来季は「勝利の方程式」入りして救援陣に厚みをもたらしてほしいもの

 球団創立70周年を迎え、佐々岡真司新監督の就任で期待のかかった2020年のカープだったが、ペナントレースではほとんど見せ場がつくれないまま下位に沈み、10月21日の阪神戦(甲子園)での敗戦で、優勝の可能性も完全消滅した。今季はすでにAクラスの可能性もかなり薄くなりつつあるが、せめて来季の巻き返しへの夢は追っていきたいもの。そちらに目を向ければ、ルーキーを含めると10選手が今季、初めて一軍を経験するなど、楽しみも出てきつつある。果たして誰が、来季のチームの「伸びしろ要員」となってくれそうかを、ポジション別に見ていこう。

 まずは先発投手だが、残念ながらこの大事なポジションに、若手のイキのいい伸びしろ要員があまり見当たらない。大瀬良大地、ジョンソン、野村祐輔と、ローテーション要員が3人も欠けている現在にあっても、その穴を埋めているのは25歳の中村祐太、28歳の薮田和樹といった面々だ。期待の若手では、アドゥワ誠が右ヒジ手術となりまたゼロからのスタートに。山口翔は10月22日現在、ファームで1勝も挙げられておらず、今シーズンは一軍なしに終わりそうだ。

 ポテンシャルの高さでは高橋昂也だが、まだトミー・ジョン手術から実戦復帰して日が浅いだけに、あまり過度な期待はかけにくいか。昨年の床田寛樹のような復活劇を見せてもらいたいものだが……。そう考えると、むしろ今季ここまで3勝にとどまっている床田寛樹や遠藤淳志が、来季どこまで星を伸ばしてくれるかが最も現実的な「伸びしろ」になるかもしれない。特に、立ち上がりに打たれているだけで、そのあとの内容は悪くない遠藤は、そこの課題を克服できれば、一気に星を伸ばすことも不可能ではないと見るが……。

 一方、救援投手は、すでに今季、塹江敦哉とケムナ誠がセットアップ役となり、ある程度世代交代が進んだ。塹江はこのところちょっと疲れが出ている間もあるが、この2人が今季の経験を来季につなげてくれれば、そこそこ見通しは立つだろう。それ以外に「伸びしろ要員」として大きな期待がかかるのが、島内颯太郎だ。とにかく三振が取れるのがリリーフとしては魅力。主にビハインドの展開で投げていた7月18日から8月19日までは、10試合自責点ゼロ、12回1/3を投げて20奪三振という数字を残している。緊迫した場面で投げると力みも入って四球を出しがちになるという部分をこれからどう克服していくか。アウトの取り方が三振に偏っているところは、魅力でもある半面、四球につながりやすい面もあり、逆に、打たせて取る投球ができるかどうかが今後の課題という見方もできるか。

 このほか、リリーフ要員では、ファームで防御率1.74の成績を残した田中法彦もいる。まだ一軍では展開に恵まれず、マウンドに上がれていないが、どんなピッチングをしてくれるか、早く見てみたいところ。

内野で期待したいのは小園


 捕手では、今季中村奨成が一軍に挑戦したが、まだ少し一軍定着へは距離があるか。となると、期待は今季、多く経験を積んだ坂倉将吾の守備面の伸びしろだろう。捕手は実戦でどれだけ経験を積んだかが何より大事になってくるポジション。打撃ではすでに一軍で十分通用するものを見せているだけに、守りの面で信頼を得て出番を増やすことができれば、その分、チームの攻撃力も上がり、會澤翼の負担を軽くすることにもつながってくる。

 内野で期待したいのは、やはり小園海斗だ。今季は前半はファームでも打率が上がらず苦しんだが、後半になって軸で回れるようになってきたということで、打率を急上昇させた。10月になって上がった一軍では、サインミスなどもあったのか、ヒットがないままファームへ逆戻りとなってしまったが、打撃でつかんだいい感触を忘れず来季につなげてほしいもの。また、今季一軍である程度ゲームに出た羽月隆太郎も、持ち前の研究熱心さでどこまでレギュラーとの距離を縮めてこられるか。野手に関しては、田中広輔、菊池涼介の「タナ・キクコンビ」を脅かす存在がどれだけ出てくるかが、カープの来季以降については大きなカギになるはずだ。

 そして外野は、宇草孔基、大盛穂が来季は外野の一角をめぐって定位置争いに参入してくることになるだろう。特に宇草は、10月21日阪神戦(甲子園)で死球を受けて手術となり、今季は戦列を離れることになってしまったが、13試合で打率.256、3盗塁とある程度の手ごたえは残した。現状、一番打者に確固とした存在がいないだけに、チャンスは十分だろう。大盛も快足ぶりでは宇草に引けを取らず、守備力ではリード。あとは打撃と年間戦い抜くスタミナだろう。対左投手の打率を向上させて定位置を狙うか、対右投手の打率をさらに上げて、一軍選手の座を固めるか。左打ちの外野手では、今季はまだ育成だが、ファームで終盤ホームランを多く打っている木下元秀がもし支配下契約を勝ち取れるようなら楽しみ。

 一方、右打ちの外野手は、代走や守備固めから食い込んでくるタイプがあまりいないため、一軍に上がるには長野久義やピレラを抜かないといけない状況だけに、なかなかハードルが高そうだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM