「優勝チームに名捕手あり」と言ったのは名捕手であり、名監督でもあった野村克也氏だ。果たして、ここまでパ・リーグ6球団の“扇の要”の働きぶりはいかに。各球団の捕手事情を見ていく。
記録は4月16日現在

埼玉西武ライオンズ



西武・森友哉

「リードも成長しているし、頼もしい」と辻発彦監督が称賛したのは4月14日の日本ハム戦(メットライフ)だった。スタメンマスクをかぶった森友哉は5四球を与えた今井達也を6回1失点、7回からのギャレット、平良海馬、増田達至の3人で8奪三振を記録するなど好リードで2対1の勝利に貢献。16日のソフトバンク戦(同)でも3投手を巧みにリードし、打っては勝ち越し3号ソロも放ち、またも2対1の勝利を演出して先発・高橋光成とともにお立ち台へ上がった。「肩の調子が良く、刺してくれる」と辻監督が言う盗塁阻止率もリーグ2位の.500。ランナーを刺すことによって、投手を助ける場面も多々ある。2年前の首位打者&MVP。控えの岡田雅利、柘植世那をうまく起用しながら、森に適度に休養を与え、最大限の能力を発揮させることがV奪回への条件の一つだ。

東北楽天ゴールデンイーグルス



楽天・太田光

 開幕から太田光がメーン捕手を務め、岸孝之と瀧中瞭太が先発する試合では下妻貴寛が先発マスクをかぶっている。さらに巨人から移籍して2年目になる田中貴也が途中出場することもあり、現状では捕手3人制を敷いている。昨季、開幕スタメンマスクを勝ち取り、盗塁阻止率で一時はトップに立ったこともある太田。しかし、9月末に左肩関節唇損傷で戦線離脱すると、扇の要を失ったチームの成績は下降線をたどった。太田の正捕手定着とともに、バックアップの層の厚さも求められる状況は今季も変わらないだろう。

福岡ソフトバンクホークス



ソフトバンク・甲斐拓也

 正捕手・甲斐拓也が基本線だ。昨季終盤、控え捕手筆頭の高谷裕亮の離脱により、1人で投手陣をやりくり。リーグ優勝、日本一に導いた“頭脳”は、さらに頼もしくなった。ただ、打撃面を考えるとまだまだ物足りず、僅差のゲームでチャンスに打席が回ってきた場合には代打を出さなければならないのも事実。2番手は、開幕時は今年も高谷で始まったが、手術した左ヒザが悪化して再びリハビリ組へ。代わりに上がってきたのが2年目の海野隆司だ。工藤公康監督が「キャンプ、オープン戦を通じて本当に成長した」と評価する有望株は、少ない出場機会ながらも確実に経験を積んでいる。

千葉ロッテマリーンズ



ロッテ・田村龍弘

 今季も正捕手は田村龍弘が務める。19試合終了時点でスタメンを外れたのは2試合のみで、その2試合は柿沼友哉が先発マスクをかぶり、代打では吉田裕太が起用されているが、スタメンは田村でほぼ固定。救援陣が安定感を欠いて開幕5連敗こそ喫したが、安定する先発陣の持ち味をリードで持ち味を引き出し、打っては下位打線に座って打率.240ながら得点圏打率は.308と、勝負強さも見せている。強打が武器の佐藤都志也がファームで昇格機をうかがうも、今季から一塁守備にも挑戦。今季も田村が主に扇の要を担う。

オリックス・バファローズ



オリックス・頓宮裕真

 今季も頓宮裕真、伏見寅威、若月健矢の3人を併用も、昨季までとは基本的な方針が変わっている。昨季は若月がチーム捕手最多の71試合でマスクをかぶったが、今季は19試合終了時点で頓宮と伏見をメーンで起用している。打線が低調とあって重きを置くのが打力。期待に応えるように、頓宮が打率.295と奮闘しているが、チーム全体では得点力不足は相変わらず。打線が上向かない限り、頓宮、伏見の起用が続きそうだ。リード面の問題もなく、先発投手陣は安定しているとあって、今後も攻撃に比重を置き起用となっていくだろう。

北海道日本ハムファイターズ



日本ハム・清水優心(右は池田隆英)

 正捕手固定は課題の一つ。昨季は6選手が捕手に起用され13捕逸を記録するなど捕手陣の整備が急務だった。今季は17試合終了時点で清水優心が12試合、宇佐見真吾が5試合でスタメンマスクをかぶっている。ドラフト3位で大学No.1捕手・古川裕大を獲得したが、正捕手争い参戦には至っていない。熾烈な争いをリードするのは7年目の清水だ。4月13日の楽天戦で移籍後初勝利を飾った池田隆英は「清水の好リードのおかげ」と感謝した。リード面だけでなく、バットでも投手陣を助けたい思いは強い。10日のオリックス戦(京セラドーム)では「ナオさん(上沢直之)を楽にさせたい」と勝ち越し適時打、翌11日の同カードでも「加藤(貴之)さんを勝たせたい一心で」同点の適時打を放っている。

写真=BBM