全力プレーでナインを鼓舞



横浜高の左腕・金井慎之介はバットでも打撃センス抜群。全力プレーでチームを鼓舞している

 体全体から闘志がみなぎっている。

 横浜高・金井慎之介(3年)は常に、全力プレーでナインを鼓舞する。練習試合で対戦経験のある強豪校の監督は「野球小僧」と言ったが、その表現のとおりチームのため、身を粉にして動いているのが印象的だ。

 立花学園高との春季神奈川県大会3回戦。夏のシード校(16強以上の第3シード)をかけた一戦、立ち上がりからボルテージは最高潮だった。1回裏一死三塁からきっちり左飛を打ち上げ、犠飛で先制点を奪った。3回には一塁線を鋭く破る二塁打(写真)。三番打者としてチームの勝利(4対1)に貢献している。

 背番号1を着ける金井は最速147キロ左腕であり、就任2年目の村田浩明監督が「大黒柱」と認める中心選手だ。しかし、激戦区である夏の神奈川を勝ち上がる上で、指揮官は「金井以外の投手で抑えることをテーマにやってきた」と語る。今春は「県内無敗」と「投手陣の底上げ」を同時進行。つまり、勝利と育成を追い求めている中で、この日の3回戦は山田烈士(3年)が6回1失点、7回からは三塁手から救援した宮田知弥(3年)が無失点に抑え、収穫多き試合だった。

 金井は昨秋、東海大相模高との準決勝で先発したが、一死も奪えずに降板している。大会直前に左ヒジに違和感を覚え、本来の投球ができなかった。チームは1対9と屈辱の7回コールド敗退を喫している。悔しさを忘れず、冬場は下半身を徹底的に強化してきた。

 捕手だった村田監督は横浜高時代、涌井秀章(現楽天)とバッテリーを組んだ。高校当時から涌井はストイックだったが、金井は「それ以上です」と、猛練習を制止するほどの努力家である。

 東海大相模高は今春のセンバツで10年ぶり3度目の優勝。日本一の立役者となった左腕・石田隼都(3年)は、金井にとって「同じ神奈川で、同じサウスポー。意識しています」とライバル視する存在だ。

「(石田に)投げ勝たないと、勝利は見えてこない」

 金井は中学時代、東京城南ボーイズでプレーした。同チームを率いるのは大枝茂明監督で、江戸川南シニアの監督時代に松坂大輔(現西武)を指導した。松坂にあこがれ、全国制覇を遂げるために名門・横浜高の門をたたいた。

 今春の県大会をステップに最後の夏、投打にわたってチームをけん引する覚悟である。

文=岡本朋祐 写真=川口洋邦