開幕直後こそロッテが5連敗、日本ハムが引き分けを挟んで8連敗も、以降は各球団、大型連敗&連勝は皆無。混パの一因には各球団1つは負け越しカードが存在することが挙げられる。では、各球団の“苦手”はどこなのか――。“つぶし合い”の戦いにあって苦手球団をなくすことが首位への道になりそうだ。

EはHに、HはLに……



現在、首位に立つ石井GM兼監督が率いる楽天だが2位・ソフトバンクとゲーム差はない

 現在、1位・楽天、2位・ロッテ、3位・ソフトバンク、4位・西武、5位・オリックス、6位・日本ハムのパ・リーグだが、首位から最下位まで5.5ゲーム差で順位変動が目まぐるしい。開幕から間もなく2カ月も順位に大きな差はなく、開幕から3球団(ソフトバンク、楽天、西武)が首位に立ち、5月に入ってからだけでも首位が入れ替わること3度。混戦模様のパ・リーグの理由の一つに、それぞれ“負け越しカード”のばらつきが挙げられる。“つぶし合い”が、抜け出すチーム不在の一因だ。

 5月16日の試合終了時点で首位に立つ楽天は、ゲーム差なしの2位・ソフトバンクとの直接対決に苦戦している。同カードは2試合連続ドローでスタートし、「簡単には勝たせてくれない」(石井一久GM兼任監督)。同3戦目を落とし、開幕5カード目で今季初の負け越しとなった。ソフトバンクにそれまで見せていた勢いを削がれる形となり、2度目対ソフトバンク2連戦は敵地・福岡で2連敗。今季初白星は5月3日で、対戦別防御率を見ても、ここまで負けなしの西武に対しては2.25も、ソフトバンクが相手となれば4.30と2点以上悪化している。まだ対戦のない田中将大を含めた先発陣が、まずはしっかりと試合をつくることが重要となるだろう。

 そのソフトバンクは、西武を相手に星を重ねられない。2017年以降、敵地・メットライフで勝ち越しがないだけに、PayPayドームでは是が非でも勝ちを積み上げたいところだが、今季はスタートからつまずいた。開幕3カード目に早速本拠地で迎え撃つも3連敗。西武に本拠地で3連敗を喫するのは、04年以来17年ぶりのことだった。以降もホーム・ビジターで1カードずつをこなしているが、いずれも初戦を取れずにいることがカードを勝ち越せない要因の一つ。その初戦の相手先発はいずれも高橋光成で、対ソフトバンク12戦連続負けなし。決して得点を奪っていないわけではないが完全に打ち崩せず、苦手意識を払拭できずにいる。今季こそは難敵攻略へ。早い段階で黒星をつけられれば、シーズンの流れも変わってくるはずだ。

 では、西武が有利かと言えばそうではない。西武は楽天にいまだ未勝利と大苦戦。「ほっといてくれ。こっちは必死にやっているんだ」と辻発彦監督が思わず口にしたのは5月11日の楽天戦(楽天生命パーク)。初回に森友哉の2ランで先制するも、その裏、先発のダーモディがすぐに追いつかれ、結局3対3の引き分け。報道陣から、今季対楽天7試合を終えて未勝利を問われ、先の“嘆き”となった。最後は「明日勝てるように頑張ります」と前を向いたが、翌日も3対4で敗戦。

 今季は楽天相手にチーム打率.194、防御率5.48とパ・リーグ5球団相手では最低の成績。得点は18、失点は42で1試合平均にすると2.25得点、5.25失点だから圧倒的に分が悪い。今季も打線に爆発力を欠く。直近2試合以外の6試合はすべて先制点を与え、ほぼ無抵抗のまま負けた試合が多い。だからこそ、辻監督が言うように先制点を奪った後に、先発がリードを保ったまま勝ちパターンにつなぐことが重要になる。次に楽天と対戦するのは交流戦後、6月22日からの2連戦。打点を立て直して、“鷲狩り”といけば。上位浮上も見えてくる。

ダークホースBのカベ



現在5位だが徐々に上昇しているのがオリックスだ

 となれば、各球団からバランス良く勝っているロッテも上位に食い込むのは必然。ただ、首位奪取とはいかないのは、西武との対戦成績が響いている。対戦被打率.361と源田壮亮に打ち込まれ、9試合で計20盗塁を許して攻め込まれれば、好調ロッテ打線をもってしても勝利が遠い。5月14日の対戦(ZOZOマリン)では、9回にレアードの同点2ランで引き分けに持ち込むも、翌日は完封負け、翌々日は8回に同点に追いつかれて、今度は勝利を取りこぼす痛み分け。昨季も6つの負け越しと、西武戦が悲願のVへの鬼門となっている。

 ダークホース的な存在で、楽天、ソフトバンクに勝ち越し、じりじり浮上してきているオリックスも、Aクラス入りに“天敵撃破”が欠かせない。その相手がロッテだ。昨季の同カードは借金13と惨敗し、今季もここまで3つの負け越し。31得点、42失点の数字以上に“勝負どころ”での失点が大きく響いている。4月16日の対戦(京セラドーム)では8回に安田尚憲に同点3ランを浴び、同18日は1点リードに9回にヒギンスが1イニング4四球の大乱調で、手痛い逆転負け。接戦を演じているだけに、救援陣の踏ん張りがカギ。流動的な勝ちパターンで今後も定まる様子はないだけに、“総力戦”で勝利を奪うしかない。

 最下位・日本ハムも首位と5.5ゲーム差と、巻き返しの可能性が十分に残っているのは“つぶし合い”のおかげでもある。とはいえ、負け越しカードばかり……。中でも、1勝止まりなのがロッテ戦だ。4月2日からの札幌ドームでは、吉田輝星、上沢直之の期待された先発が大量失点で試合をつくれずに2敗1分け。20日からのZOZOマリンでは初戦にセットアッパー・宮西尚生らが同点の8回に4失点で敗れ、さらに翌日は1点リードの9回にクローザーの杉浦稔大が痛恨の逆転サヨナラ2ランを浴び、リリーフが崩れて1勝2敗となった。

 ロッテ戦の防御率5.64は、ほかの4球団に比べてもかなり悪い数字だ。ただ、ルーキー・伊藤大海、左腕・加藤貴之に加えて、楽天から加入した池田隆英は、対ロッテは防御率1.29と相性が良い。救援陣に不安は残るものの、B.ロドリゲス、堀瑞輝の台頭と明るい材料も。攻撃陣はある程度は得点を奪えているだけに、ロッテを相手に勝利を奪えれば、借金返済は近付いてくる。

 むろん“お得意様”からの勝利を重ねることも欠かせないが、苦手球団をなくすことが、首位奪取への1つの道。苦手意識を払拭できる球団は果たして――。

写真=BBM