現在、セ・リーグの本塁打ランキングトップタイに立つのがヤクルトの村上宗隆。昨季はプロ3年目ながら、打率.307、28本塁打、86打点という好成績を残し、史上最年少で最高出塁率のタイトルにも輝いた。プロ入り3年目終了時点での通算本塁打は65本と素晴らしい数字だが、同じように「プロ入り3年目終了時点の成績」で見た場合、村上以上の数字を残している現役打者はいるのだろうか?

高卒3年目までで村上以上に本塁打を放った選手はいない



ヤクルト・村上宗隆

 今回は、NPBを代表する現役の強打者をピックアップし、その選手がプロ入り3年目終了時点で残した通算成績を調べてみた。

 調査対象は、現役通算本塁打Top10の日本人選手9人(中村剛也、松田宣浩、福留孝介、中田翔、坂本勇人、山田哲人、浅村栄斗、丸佳浩、中島宏之)と、ここ数年の本塁打争いで上位に入る選手5人(柳田悠岐、山川穂高、鈴木誠也、岡本和真、吉田正尚)の計14人。当然ながら入団から数年は出番が得られなかった選手もいるが、あくまで「入団3年目」で数字を比較する。

 まずは冒頭でも挙げた、ヤクルト・村上の3年目までの通算成績だ。

●村上宗隆(2018〜2020年)
打率:.263
試合:269
安打:249
本塁打:65
打点:184

 1年目は6試合の出場に終わり、まったく成績は残せなかったが、2年目で才能が開花。3年目はさらに成績を伸ばした。その結果、高卒選手とは思えない3年目終了までの通算成績となっている。

 次は現役通算本塁打上位の9人だが、果たして村上を超える数字を残している選手はいるのだろうか? 3年目までの成績を以下にまとめてみた。

●中村剛也(2002〜2004年)
打率:.244
試合:32
安打:11
本塁打:2
打点:7

 現役最多本塁打を誇る中村だが、1年目は一軍出場なし。2年目、3年目も出場数は伸びず、目立った成績は残せなかった。

●松田宣浩(2006〜2008年)
打率:.259
試合:278
安打:246
本塁打:27
打点:103

 通算本塁打現役3位の松田は、1年目、2年目は二軍が主戦場。3年目でレギュラーに定着し、この年17本塁打と打棒を発揮した。


中日・福留孝介

●福留孝介(1999〜2001年)
打率:.265
試合:349
安打:305
本塁打:44
打点:150

 社会人を経て入団した福留は、1年目からレギュラーに定着。新人時代から打率.284、16本塁打と活躍したが、2、3年目は打撃に苦しんだ。

●中田翔(2008〜2010年)
打率:.240
試合:87
安打:59
本塁打:9
打点:23

 1年目は一軍出場なし。2年目に念願の一軍出場を果たすもレギュラーには定着できず。3年目もそこまで出場数は伸ばせず、才能を発揮するまでに時間がかかった。

●坂本勇人(2007〜2009年)
打率:.283
試合:289
安打:313
本塁打:26
打点:107

 1年目は4試合出場に終わるも、翌年は高卒2年目ながら全試合フル出場。3年目もレギュラーとして活躍した。本塁打数は村上に負けるが、安打数では抜きん出ている。


ヤクルト・山田哲人

●山田哲人(2011〜2013年)
打率:.279
試合:120
安打:110
本塁打:4
打点:27

 現役トップクラスの選手だが、高卒3年目終了までは目立った成績が残せず。後にトリプルスリーを3度記録する選手に成長するとは、当時は誰も予想できなかっただろう。

●浅村栄斗(2009〜2011年)
打率:.267
試合:167
安打:128
本塁打:11
打点:54

 1年目は一軍出場はなし。2年目に開幕スタメンを勝ち取るも、30試合の出場に終わった。レギュラーになった3年目に137試合と出場機会を大きく伸ばしたが、目立った活躍を見せるのは4年目から。

●丸佳浩(2008〜2010年)
打率:.158
試合:14
安打:3
本塁打:0
打点:1

 プロ入りから2年間は一軍出場なし。3年目に出場機会をつかむも、残念ながら14試合にしか出ることはできなかった。それでも後にリーグMVPを連続受賞する選手に成長した。

●中島宏之(2001〜2003年)
打率:.250
試合:48
安打:24
本塁打:4
打点:11

 メジャーに移籍した松井稼頭央の穴を埋める選手として期待されたが、高卒選手ということもあり、1年目に出場機会を得るのは難しかった。しかし、後に西武の顔に成長。期待どおりの活躍を見せてくれることになる。

 現役通算本塁打Top10に食い込んでいる日本人選手9人の「3年目までの成績」を見てみたが、村上以上の本塁打を放った選手はなし。いかに村上の「プロ3年目までで65本塁打」が、傑出しているか分かるだろう。

 本塁打以外の成績では、福留と坂本が村上に匹敵、あるいは村上以上の数字を残している。福留は本塁打で村上に及ばないものの、1年目から主力としてコンスタントに出場。守備面では苦労したが、44本塁打、305安打は3年目までの数字としてはなかなかのものだ。ただし、福留は社会人を経て入団した選手。そう考えると、高卒ながら3年間で313安打を記録した坂本は、村上とはベクトルは違うものの、傑出した高卒選手だったといえる。

打撃ランキングの上位選手は村上以上の成績を残している?


 では、ここ数年の本塁打争いで上位に位置する選手5人はどうなのだろうか? 各選手の3年目終了時までの通算成績は以下のとおり。

●柳田悠岐(2011〜2013年)
打率:.273
試合:178
安打:136
本塁打:16
打点:59

 現役トップクラスの打者だが、コンスタントに出場できるようになったのは2年目から。そのため、3年目までで見た場合は、少々物足りない通算成績になってしまっている。

●山川穂高(2014〜2016年)
打率:.235
試合:64
安打:40
本塁打:16
打点:36

 1年目は14試合、2年目は1試合、3年目は49試合の出場で、安定して出場機会が得られるようになったのは4年目以降。ただし、イースタンでは毎年のように本塁打を量産しており、最多本塁打も2度記録した。

●鈴木誠也(2013〜2015年)
打率:.282
試合:144
安打:81
本塁打:6
打点:33

 現在5年連続で3割、20本塁打以上を記録している鈴木も、高卒選手ということもあり、いきなり多くの出場機会は得られなかった。


巨人・岡本和真

●岡本和真(2015〜2017年)
打率:.188
試合:35
安打:13
本塁打:1
打点:6

 現在、村上と激しい本塁打争いを繰り広げている岡本も、鈴木と同様に高卒ということでプロ入り数年は育成に専念。2018年に才能が開花し、その後の成績はご存じのとおりだ。

●吉田正尚(2016〜2018年)
打率:.311
試合:270
安打:303
本塁打:48
打点:158

 1年目から四番を任されるなど活躍し、3年目までの成績は5人中トップ。3年目には規定打席に到達して打率.321、26本塁打と完全にブレークした。

 毎シーズンのように打撃ランキング上位に食い込んでいる選手5人の3年目成績をまとめてみたが、本塁打数では村上以上の数字を残した選手はまたもやおらず。村上と同じ高卒選手で、長距離タイプの鈴木、岡本がそれぞれ6本と1本ということを踏まえると、村上の数字は抜きん出ているのだ。

 現役通算本塁打Top10の日本人選手9人と、ここ数年の本塁打や打率などの打撃ランキング上位に位置する選手5人の「プロ入り3年目終了時点の成績」を調べてみたが、打率や安打では上回る選手はいるものの、本塁打数で村上を超えていた選手は存在せず。ただし、「トータル」で見た場合は、福留や坂本、吉田といった選手が、村上以上の成績だといえる。

 すでに歴史に残る活躍を見せている村上だが、まだ高卒4年目。果たしてこれからどのような成績を残していくのか、まずは今季の活躍に注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM