高卒2年目の今季、好成績を挙げているオリックス・宮城

 後半戦も激しい首位争いが繰り広げられている両リーグ。順位争いだけでなく個人タイトル争いも、トップがコロコロ入れ代わるなど、熾烈な戦いが繰り広げられている。ランキングには、タイトル争いの常連でもあるベテランに交じり、注目の若手や今季1年目の新人などフレッシュな名前も数々並んでおり、誰がタイトルを獲得するのか目が離せない状況だ。今回は、こうしたタイトル争い上位の中から、初タイトルを目指す選手をピックアップしてみた。
※成績は2021年8月28日終了時のもの

三冠の可能性を秘めた選手も



首位打者争いを繰り広げているDeNA・桑原将志

●桑原将志(DeNA)

 セ・リーグでは、タイラー・オースティン、桑原将志、佐野恵太といったDeNAの3選手が激しい首位打者争いを繰り広げている。このうち、(失礼ながら)最も意外な活躍を見せているのが桑原だ。2017年に全試合出場は果たしているが、これまでに3割を打ったシーズンはなし。2019年は.186、2020年は.139と2年連続打率1割台と低迷した。しかし、10年目の今季は序盤から確実なバッティングでチームに貢献すると、6月は月間打率.372、7月は.381と急激に調子を上げ、首位打者争いに食い込んだ。絶好調のオースティン、昨季首位打者の佐野とライバルは強力だが、初タイトル獲得を期待したい。

●岡島豪郎(楽天)

 パ・リーグの首位打者争いは、昨季のタイトルホルダーでもある吉田正尚(オリックス)が.336でトップを独走中。しかし、トップを虎視眈々と狙っているのが、現在.313でリーグ3位の岡島だ。大卒入団で今季10年目。9月で31歳とベテランの年齢だが、これまで際立った打撃成績は残せていなかった。だが、捕手から再び外野手に変更となった今季は開幕直後から好調で、5月には月間打率.398をマークした。現在も打率.313と上々の数字をキープしているが、後半戦に入ってやや調子を落としているのが気がかりだ。

●中村奨吾(ロッテ)

 パ・リーグの首位打者争いでは、現在リーグ4位の中村奨吾も、初タイトルの期待がかかる選手だ。プロ7年目、今季はキャプテンとしてチームをけん引する役目も任されたシーズンだったが、ここまでは過去最高といえる打撃成績を残している。3月〜5月と3カ月連続で月間打率3割をマークし、7月には月間打率4割に到達。後半戦でも8月24日の日本ハムで3安打の固め打ちと好調を維持している。打点など自己最多更新も見えている成績もあり、まさに充実のシーズンだといえる。

●杉本裕太郎(オリックス)

 パ・リーグの打撃タイトル争いで最大のダークホースといえるのが、オリックスの杉本裕太郎だろう。強打が持ち味の杉本だが、ここまで思うように結果が残せないシーズンが続いていた。ところが、今季はオープン戦で.305と結果を残すと、コンスタントに出場機会を得た4月には月間打率.350、4本塁打をマーク。5月には月間8本塁打を記録し、本塁打争いに食い込んでいった。後半戦に入ってからもすでに3本で、現在リーグ3位の21本塁打。トップのソフトバンク・柳田悠岐とは2本差だ。本塁打だけでなく、打率もリーグ5位、打点はリーグ3位タイと、打撃三冠も狙える位置だ。

高卒2年目での投手タイトル総なめもあり得る


●宮城大弥(オリックス)

 投手タイトルでは、やはりオリックスの宮城が挙げられる。昨季は二軍で6勝2敗と活躍。一軍でも3試合に先発し、ベテランのような巧みな投球術を武器に1勝1敗、防御率3.94と、高卒1年目としては上々の成績を残した。さらなる飛躍が期待された今季は、開幕から先発の一角として起用され、ここまで17試合に先発。現在の成績は11勝1敗、防御率1.99で、勝利はリーグトップタイ、防御率もリーグ2位と高卒2年目とは思えない成績を残している。後半戦も2連勝(前半戦から6連勝)と好調を維持。勝率もリーグトップで、今後次第で複数の投手タイトルに輝く可能性もあるだろう。


安定感抜群の投球を見せている阪神・青柳

●青柳晃洋(阪神)

 リーグ首位を走る阪神投手陣を支えているのが、今季6年目の青柳晃洋だ。2019年は25試合で9勝9敗、2020年は21試合で7勝9敗と、もうひとつ物足りない成績だったが、今季は16試合でリーグ最多の10勝(2敗)と大きく成績を伸ばしている。防御率(1.91)と勝率(.833)もリーグトップ。青柳の魅力は安定のあるピッチングで、QSは柳裕也(中日)の15に次ぎ、森下暢仁(広島)と並ぶリーグ2位の14。青柳の活躍も阪神好調の一因といえるだろう。後半戦でも2連勝と好調を維持しているが、夏場の疲労が出てくる9月以降の踏ん張りに期待したい。

●栗林良吏(広島)

 セ・リーグのセーブランキングは、ロベルト・スアレス(阪神)が27セーブでトップを走っている。このスアレスに次ぐのが、22セーブの広島・栗林だ。社会人野球からの入団とはいえ、今季はまだプロ1年目。しかし、開幕から新人とは思えない安定した投球でセーブを重ね、6月13日には開幕から22試合連続無失点という新人記録も樹立した。現行の「最多セーブ投手」のタイトルは、1年目新人の獲得例はなし。トップとは差があるが、ぜひとも史上初の大記録を達成してもらいたいところだ。

 今季、初タイトル獲得を目指す選手をピックアップして紹介した。タイトル争いのライバルは多いが、何があるか分からないのが野球。もしかすると、シーズン終了時には、今回挙げた以外の意外な選手がタイトルを獲得している可能性もある。後半戦は、順位争いだけでなく、ぜひこうした「初タイトル獲得を目指す選手」のプレーにも注目してもらいたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM