強肩強打の大型捕手



巨人・大城卓三

 ヤクルトと激突した11月10日のクライマックスシリーズ・ファイナルシリーズ初戦(神宮)。巨人の一塁でスタメン出場したのは、捕手が本職の大城卓三だった。2戦目は捕手で途中出場、3試合目は捕手でスタメン出場も途中交代し、日本シリーズ進出には届かなかった。

「中田翔、中島宏之がいる中、大城が一塁のスタメンに起用されたのは打撃力を買われてでしょう。今年は数字だけを見ると不本意な成績かもしれないが、強打者になれる素質は十分にある。身長187センチと体格も大きいし、スイングも鋭い。甘い球はスタンド上段に運ぶ力がありますから。フリー打撃の打球を見たら、20本塁打打っても不思議ではありません」(他球団のスコアラー)

 強肩強打の大型捕手として入団当時から将来を嘱望され、昨年は度重なる故障で長期離脱した小林誠司に代わって正捕手に。チームトップの71試合の先発マスクをかぶり、いずれも自己最高の打率.270、9本塁打、41打点をマーク。盗塁阻止率も前年の.172から.340と改善した。リーグ連覇に貢献し、自身初のベストナインを受賞した。

 今季は「不動の正捕手」として期待され、3月26日の開幕・DeNA戦(東京ドーム)で相手左腕・濱口遥大から1号右越え3ラン。4月は月間打率.287、4本塁打、14打点と幸先良いスタートを切ったが、5月以降は調子が上がらず、打率も下降する。勝負どころの9月に入ると、小林誠司、岸田行倫が先発マスクをかぶる機会が増え、大城は途中出場や一塁でスタメン出場するように。捕手はリードで頭を巡らし、守備に大きな負担がかかる。チームがなかなか勝てない時期は打撃にも影響を及ぼすと言われる。大城もチームが大失速した9月以降は36試合出場でノーアーチ。攻守で責任を感じていたのかもしれない。

 125試合出場で打率.231、11本塁打、37打点。持ち味の打撃では結果を出せなかったが、成長の跡も見える。盗塁阻止率.447は中日・木下拓哉の.426を上回りリーグトップ。純粋な肩の強さはチームメートの小林より落ちるが、捕ってから送球するまでの速さ、送球の正確性が上がり、勝負所で何度も相手の盗塁を阻止した。この数字は評価されるべきだろう。

阿部コーチをお手本に


「打てる捕手」は貴重だ。現在の球界を見渡すと、その代表格が西武・森友哉だろう。19年に打率.329、23本塁打、105打点で首位打者を獲得。今季もチームは42年ぶりの最下位に沈んだが、打率.309、11本塁打、41打点と孤軍奮闘した。また、今季ブレークした広島・坂倉将吾もシュアな打撃で打率.315、12本塁打、68打点。捕手で53試合、一塁で57試合スタメン出場し、鈴木誠也と首位打者争いを演じた。

 ただ、坂倉が「打てる捕手」として認められるには、捕手として定位置をつかんでからだろう。大城も同じことが言える。チームを勝利に導く捕手が「名捕手」と呼ばれる。その上で打率3割近い数字を残し、20本塁打を超えれば評価も高まる。巨人には阿部慎之助(現巨人一軍作戦コーチ)という「打てる捕手」の第一人者がいる。現役時代の功績はあまりにも大きいが、同じ右投左打の捕手で大城の良きお手本だ。悔しさを糧に、来季は雪辱のシーズンにしたい。

写真=BBM