シーズン中に電撃トレード



巨人・中田翔

 野球人生でこれほど激動の年はなかったのではないだろうか。今年のシーズン途中に日本ハムから電撃トレードで巨人に移籍した中田翔だ。

 昨季は119試合出場で打率.239、31本塁打、108打点。本塁打王は1本差で及ばなかったが、自身3度目の打点王を獲得した。今季も日本ハムの不動の四番として期待されたが、打撃不振でファーム降格を経験。後半戦の巻き返しが期待されたが、チームメートへの暴力事件が発覚し、8月11日に一、二軍戦の試合無期限出場停止処分が下された。野球人生の危機に立たされたが、同月20日に巨人へ移籍。二軍での調整を経ず一軍で即起用された。

 この一連の動きに、野球ファンや野球評論家からさまざまな意見が上がった。川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「原辰徳監督は中田獲得による戦力面のプラスに加え、球界全体を見て判断したと思う。このまま中田が行方も決まらず万が一引退に追い込まれたら球界にとってももったいないことだし、日本ハムにも傷がつく。多少の批判は覚悟で早めに動くしかないと判断したんだと思う。あとは、もともと右の大砲をすごく欲しがる監督でもあった。原野球は、最後は捕手一人残して全員使い切る野球だが、俺がコーチ時代も、広島でくすぶっていた堂林翔太とか、右の若い長距離バッターをすごく欲しがっていた。自分が右だったし、育てたいという思いもあるのかもしれない」と分析している。

 一方で、野球評論家の岡田彰布氏は同誌のコラムでこう語っている。

「裏で何があったかは、オレには分からない。ただ選手生命の危機に立った中田翔を助けてやろうと、巨人がそれだけの理由で動いたわけではないやろう。中田翔の力量を判断し、チームにとってプラスになるとジャッジしたから獲得した。こっちのほうが理由としては大きかったのではないかな。新外国人選手でまかなうはずだった一塁だったが、退団したりして、巨人としては穴になっていた。そこにピタリとハマるパーツが……。そら戦力になるわ。優勝を狙うには大きな補強になるとは思うけど、果たしてどうなんやろね。賛否があるやろうし、あえてオレが監督なら……と聞かれると、『獲りません』となるわ」

キャンプ、オープン戦から結果を


 一塁は新外国人のジャスティン・スモークがコロナ禍で家族に会えないことを理由に6月中旬に帰国し、補強ポイントだった。長距離砲として中田の期待は大きかったが、最後まで状態が上がらなかった。2度のファーム降格を味わうなど、34試合出場で打率.154、3本塁打、7打点。得点圏打率.056と勝負強さが影を潜めた。リーグ制覇したヤクルトと対戦したクライマックスシリーズ・ファイナルステージでも1、2戦目は出場機会がなく、引き分けで敗退が決まる3戦目には2対2の9回二死に代打で出場したが、守護神・マクガフの前に空振り三振。「最後の打者」で終戦を迎えた。

「今季は加入してすぐに一軍で起用されるなど期待が大きかったが、来年は立ち位置が変わってくる。一塁に新外国人が入ってくる可能性がありますし、ベテランの中島宏之も控えている。春季キャンプ、オープン戦から目に形で結果を出さなければ、実績がある中田でもファーム暮らしになる。意地を見せてほしいですね」(スポーツ紙デスク)

 救いの手を差し伸べてくれた原監督の期待に応え、来年は復活なるか。

写真=BBM