オリックス・吉田正尚

 あらためて存在の大きさを知らしめた。今季も三番打者として開幕から安打を量産。豪快なフォロースルーが象徴する力強いスイングを誇る一方、2ストライクに追い込まれると逆方向へ流し打つ。剛と柔を併せ持つ強打者がチームをけん引しつつ、今季から選手会長に就き名実ともにリーダーに。そんな男が就任当初、こんな思いを口にしていた。

「秋にはテレビでよく見る音頭を取ってね。パパーンと盛り上がる。コロナが落ち着けば、盛り上がれますし、それを祈ってやるだけです」

 思いを形に。快進撃を続けるチームをけん引するも、9月3日のソフトバンク戦(PayPayドーム)の9回に遊撃内野安打を放った際に左太ももを負傷。翌4日はスタメンを外れ、5日に登録抹消。9月末に復帰したが、10月2日のソフトバンク戦(京セラドーム)で死球を受けて右尺骨を骨折して再離脱。主砲の二度の離脱期間、チームは苦戦を強いられた。ただ、そんなナインの奮闘が支えだった。

「皆が頑張っている。その姿が何よりのリハビリでした」

 最終戦まで復帰できずも、全日程終了の10月27日に優勝が決まると、祝勝会で念願の音頭を取った。発した言葉は「いくぞ! 日本シリーズ!」。自分自身にも言い聞かせるような言葉は、現実となる。驚異の回復力で11月10日のクライマックスシリーズ(CS)初戦でスタメン復帰。チームに勇気を与え、CS突破を後押した男の存在感は、チームの誰もが感じていた。

写真=BBM