決して143試合の1試合ではない。勝つか負けるかで、その後の流れも変わってくる。チームでたった一人に与えられる開幕投手の座。2022年は誰が栄誉ある役割を務めることになるのだろうか。現時点でのセ・リーグ6球団の「開幕投手」を予想する。

東京ヤクルトスワローズ



ヤクルト・奥川恭伸

 奥川恭伸か高橋奎二が有力だろう。クライマックスシリーズ、日本シリーズと、ともに第1戦、第2戦を任された2人だ。高津臣吾監督も期待しており、特に高橋は「奥川に負けられない」と闘志を燃やして、2021年は奮闘してきた。開幕投手は、ともに「狙いたい」と話しており、春季キャンプから白熱の開幕投手争いが予想される。若き2人が互いに切磋琢磨してさらに腕を磨けば、ほかの投手陣への刺激にもなる。ヤクルトのリーグ2連覇も夢ではないだろう。キャンプからも目が離せなくなりそうだ。

阪神タイガース



阪神・青柳晃洋

 2021年の最多勝、最高勝率の2冠を達成した青柳晃洋が成績を考えても開幕投手1番手であるのは間違いない。ただ、21年のように開幕投手を藤浪晋太郎に任せ、火曜日の先発に重点を置くために、西勇輝を起用したことを考えると、青柳以外の力のある投手の可能性も高い。安定感のある秋山拓巳や、伊藤将司の可能性もあるだろう。ただ、開幕戦相手は今年も覇者・ヤクルト。21年に対戦成績が4勝1敗と好結果を残した青柳がやはり有力か。ちなみにヤクルト相手に秋山は1試合に登板して5回1失点で勝敗なし、伊藤は2試合登板で0勝1敗、防御率3.27だった。

読売ジャイアンツ



巨人・菅野智之

 復活を期すエース・菅野智之で間違いないだろう。2021年は前半戦に右ヒジなどのコンディション不良もあり、離脱を繰り返したことで19登板6勝7敗、防御率3.19と不本意な成績に終わった。ただ、状態を戻した後半戦は中4日〜中5日のローテーションでフル回転。200投球回、最多勝、最優秀防御率とV奪回を掲げる22年に向けては、12月20日に沖縄・宮古島で自主トレをスタートさせている。20年オフはMLB移籍を目指した関係で十分な自主トレの時間を取れず、コンディション不良の要因となったが、今オフは万全な状態でキャンプ、オープン戦と準備を整えていく。開幕投手となれば、5年連続8度目。勝利すれば4勝で並んでいる別所毅彦、斎藤雅樹を抜き、球団単独トップの開幕5勝目なるが、果たして。

広島東洋カープ



広島・九里亜蓮

 2019、20年と大瀬良大地が務めてきたが、昨季の最多勝右腕・九里亜蓮、3年目を迎える森下暢仁も開幕投手に名乗りを挙げる。三者三様に大役に向けての思いは熱い。21年も開幕投手を目指すと公言してオフの自主トレ、春季キャンプと励んできた九里は、開幕投手が大瀬良に決まったあと、「1年間通してベストのパフォーマンスをしていくことが一番」と決意を新たにし、しっかりと先発ローテーションの一角として13勝を挙げてタイトルを獲得した。昨季の経験は大いに自信につながったはず。それだけに今季の開幕戦は簡単には譲れない。また、森下も昨年12月に「開幕投手はやりたいと思ってましたし、目標。そういう争いを常にやっていかないといけない場所まで来たのかなと」とコメントしている。この様子に、「3人、誰がなってもおかしくない」と佐々岡真司監督。いずれもチームを引っ張っていくだけの力はある3投手。ハイレベルな争いは周りの投手陣にも刺激となるだろう。

中日ドラゴンズ



中日・大野雄大

「もう決めていますよ。まだ伝えていませんけどね」と立浪和義監督が言う。昨年、最優秀防御率と奪三振のタイトルを獲得した柳裕也という声もあるが、おそらく昨年ではなく、一昨年に柳と同じ2冠を獲得した大野雄大ではないか。昨年は7勝11敗とリーグ最多敗戦を喫したが、防御率はリーグ3位の2.95。決して悪いシーズンだったわけではない。この数年の実績を考えれば、チームのエースが誰かは一目瞭然。立浪監督は格を重んじる指揮官でもあるから、開幕投手にふさわしいのは大野雄と考えているはずだ。年間を通して先発ローテーションを守り、大黒柱として活躍してもらいたいに違いない。大野雄が開幕投手となれば2年ぶり4回目となる。柳なら初の大役だが……。

横浜DeNAベイスターズ



DeNA・今永昇太

 手術明けの昨季は濱口遥大にその座を譲ったが、今永昇太が開幕投手に近い存在である。とはいえ、2年ぶり3度目の開幕投手に指名されるためには、キャンプとオープン戦で結果を残す必要があるのは言うに及ばす。濱口、大貫晋一、東克樹らライバルに対して大役を務めるにふさわしいアピールを見せつけなければならない。昨季はシーズン開幕戦を白星で飾れずに、チームは引き分けを挟んで6連敗とつまずいた。それだけに、三浦大輔監督もオープニングゲームの重要性をひしひしと感じているに違いない。期待に応える投手をフラットな目線で見極めていく。

写真=BBM