首位を快走するヤクルトを支えているのが「若い力」だ。昨年20年ぶりの日本一に輝いたチームに新たな風が吹き込むことで、さらに強くたくましいチームに成長している。長岡秀樹、山崎晃大朗、木澤尚文、内山壮真……チームの勝利に向け、「いぶし銀」たちが躍動する。
※成績は6月8日現在

3年目で開花した遊撃手



当初は打撃が低迷していたが、5月から上昇気流に乗っている

・長岡秀樹
※今季成績 58試合出場、打率.246、2本塁打、25打点、0盗塁

 高卒3年目で遊撃のレギュラーをつかんだのが長岡だ。昨季までは一軍で計11試合出場と目立った実績はなかったが、高津臣吾監督の「実力主義」の下で頭角を現した。春季キャンプを初の一軍で迎えると、オープン戦でも結果を残して遊撃の座をつかみ取る。春先に結果が出ない時期も高津監督が我慢強く起用し続けると、5月に月間打率.314、2本塁打、15打点をマーク。6月5日の西武戦(神宮)では2回無死二、三塁で先制の中犠飛を放つと、同点の6回一死三塁に決勝打の中前適時打。「何とか事を起こそうと打席に入りました。その結果がいいところに飛んでくれてよかったです」とお立ち台で安どの表情を浮かべた。

 ヤクルトは池山隆寛、宮本慎也と球界を代表するショートストップが誕生してきたが、近年は遊撃のレギュラーを固定できていない。長岡は将来の中心選手として期待がかかる。

劇的一打でチームを救う男



土壇場での勝負強い打撃でレギュラーをつかみ取りたい

山崎晃大朗
※今季成績 42試合出場、打率.260、1本塁打、16打点、5盗塁

 劇的な一打でチームを幾度も救っているのが山崎だ。5月8日の巨人戦(東京ドーム)で1点ビハインドの9回一死一、二塁で守護神・大勢から左中間突破の逆転2点適時打。同月25日の日本ハム戦(神宮)では2点差を追いかける9回無死二、三塁から逆転サヨナラ1号右越え3ランを放った。

 昨年は自己最多の114試合に出場し、代走や守備固めなどスーパーサブとして日本一に貢献した。週刊ベースボールの対談企画で同学年の塩見泰隆と語り合った際には「僕は日本一、優勝したチームにいられたってことはうれしいんですけど、個人として最初に出てきた感情は、やっぱり『何もできなかったな』っていうのが一番なんです。試合に“出させてもらった”っていう思いだし、何もできずに悔しかったっていう印象しかなかったので。泣いてる選手、喜んでる選手を見て、素直にうらやましいなと思いました」と複雑な胸中を語っていた。今年は外野のレギュラーを死守して2年連続日本一に貢献したい。

シュートが武器のリリーバー



勢いのあるシュートを投げ込み、打者を抑え込んでいく

木澤尚文
※今季成績 19試合登板、3勝1敗1ホールド、防御率1.95

 新人の昨季は一軍登板なし。同期の楽天・早川隆久らが活躍する姿を見て悔しさが募った。プロで輝く道を模索したとき、習得に乗り出したのが右打者の内角に食い込むシュートだった。オープン戦では最速156キロのシュートで凡打に仕留めるなど手ごたえをつかみ、開幕一軍入り。シュートと対になるカットボールも効果的に使えるようになり、投球の幅が広がった。

 今季はロングリリーフで起用されることが多いが、走者を出しても要所をきっちり締める。5月8日の巨人戦(東京ドーム)で1点ビハインドの8回を3者凡退に抑えると、山崎の逆転2点適時二塁打でプロ初白星が転がり込み、「まずは先頭、そして1人ずつ抑えられるようにとマウンドに上がりました。とにかく逆転していただいた野手の方々に感謝したいです」と笑みを浮かべた。

 スケールの大きい投球スタイルは大きな可能性を感じさせる。安定感が増せば、「勝利の方程式」に組み込まれる日は遠くないだろう。

打撃センスあふれる未来の正捕手



パンチ力のある打撃、落ち着きのあるリードが光る

内山壮真
※今季成績 31試合出場、打率.238、1本塁打、9打点、0盗塁

 抜群の野球センスを誇り、星稜高では1学年上に山瀬慎之助(現巨人)が正捕手でいたため、2年秋まで遊撃としてプレーしていた。今年は正捕手の中村悠平が下半身の張りで開幕から1カ月以上不在の状況で、松本直樹、古賀優大と共に切磋琢磨。中村が復帰後も一軍に定着してマスクをかぶり、5月24日の日本ハム戦(神宮)では同点の8回二死でプロ初アーチとなる決勝中越えソロを放った。

 4月30日のDeNA戦(神宮)では6回に追加点となる適時二塁打を放ち、21歳年上の青木宣親と共にプロ初のお立ち台へ。緊張の面持ちで「すごくいい経験をさせていただいて、少しずつ結果が出るように頑張りたいと思います」と答える中、青木は「内山が、こうやって若い選手が出てくることがスワローズにとってすごくいいことだと思いますし、こういう選手が一人でも多く出てきてほしいですけどね。こんなにも若いですけど一軍でやれるだけの力があるのでこれからもチームを引っ張っていってほしい」と期待を込めた。

 未来の正捕手へ、着実に歩を進める。

写真=BBM