チームで最初に打席に入り、打線を勢いづける一番打者。勝利のために重要な役割になるが、果たして、今季の一番打者にはどのような選手が起用されているのか? パ・リーグ6球団の「一番打者事情」を見ていく。
※記録は6月10日現在

東北楽天ゴールデンイーグルス



楽天・西川遥輝

 開幕からほぼ楽天の一番に定着しているのは、日本ハムから新たに加入した西川遥輝だ。開幕から打撃好調で、5打数4安打4打点をマークした4月17日のソフトバンク戦(鹿児島)後には打率.362の好成績。3・4月の月間MVPに輝いた。しかし5月に入ると一転してバットが湿り、交流戦では9試合連続無安打と苦しんだ。それでも36得点、44四球はリーグトップで、出塁率.367は同3位タイの数字だ。塁に出れば同3位となる13盗塁と、足での貢献も大きい。西川の打撃が安定してくれば、チームは再び勢いに乗りそうだ。

千葉ロッテマリーンズ



ロッテ・高部瑛斗

 昨季の盗塁王で最多安打者・荻野貴司の調整が遅れて開幕に間に合わない中、高部瑛斗がチャンスをモノにした。オープン戦で首位打者を獲得してアピールに成功すると、開幕一番スタメンを手に。巧みに左方向へ流し打つなど、広角に打ち分けコンスタントに結果を残して一番に定着した。荻野が5月27日に一軍復帰し、29日の阪神戦(ZOZOマリン)から5試合は打線の潤滑油となるべく二番や下位打線に座ったが、6月4日の巨人戦(東京ドーム)から一番に復帰。打率.262、18盗塁をマークしている24歳が、新たな幕張のリードオフマンとして飛躍のシーズンとしつつある。

福岡ソフトバンクホークス



ソフトバンク・三森大貴

 選手層の厚いチームにあって、定位置を確保するのは容易なことではない。三森大貴も感じているに違いない。今季は開幕から一番・二塁を務め、「積極的に自分のスイング」を心掛けると、それに結果もついてきた。一時、下半身の張りで欠場していた時期はあったものの、リードオフマン・三森は『攻める野球』を目指す藤本博史監督のスタイルを体現するキーマンに。3・4月は打率.312の成績を収めた。ただ、5月に入るとだんだんと快音が聞かれなくなり、交流戦でさらに失速。奇しくも三森が調子を落とすタイミングで、同じ二塁のポジションにも入ることのできる周東佑京が一軍昇格。現状、二塁は三森の定位置となっているが、打順に関しては6月9日の阪神戦(PayPayドーム)に八番に降格。一番には周東が入った。翌10日のヤクルト戦(同)は三森が七番、一番にはまたも周東。一番を不動のものにするには、三森にとっては今が踏ん張り時だ。

埼玉西武ライオンズ



西武・若林楽人

 懸案事項となっていた一番打者に開幕から座ったのはオープン戦で打率.333と結果を残した鈴木将平だった。しかし、18試合に一番でスタメン出場するも同打順では打率.200と振るわず、5月2日に二軍落ち。結局、ここまで源田壮亮、山野辺翔、呉念庭ら10選手が一番スタメンを経験と固定には至っていない。期待されるのは若林楽人か。5月31日、左ヒザ前十字じん帯損傷から約1年ぶりに一軍復帰。同日の阪神戦(甲子園)は二番に座ったが、翌日からの9試合中、7試合で一番に名を連ねた。パンチ力ある打撃に、昨季44試合で20盗塁を決めたスピードも武器。チームに勢いを与える役割を担うにはうってつけの存在だ。

オリックス・バファローズ



オリックス・福田周平

 開幕から選手の調子や相手投手との兼ね合いから、一番打者も流動的な起用を続けて、ここまで7人がリードオフマンを務めている。ただ、最多39試合で一番に名を連ねるのは昨季、リーグ優勝に貢献した福田周平だ。開幕一番スタメンでスタートした今季、新型コロナの陽性反応が出るなど、離脱したが徐々に復調。宗佑磨との一、二番コンビが“ベーシックオーダー”とも言え、安打を放ちつつ、ときにセーフティーバントを試みるなどチャンスメークしている。本職は遊撃の新人・野口智哉も外野守備に就くほか、佐野皓大ら俊足外野手のライバルの存在も力に変えて奮闘中。新背番号1を輝かせ、リーグ連覇を手繰り寄せる。

北海道日本ハムファイターズ



日本ハム・松本剛

 61試合で61パターン。開幕から一度も同じオーダーはない流動的打線で一番打者の最多起用は首位打者を走る松本剛だ。18試合に先発出場した一番での成績は打率.366、出塁率.382。持ち味とする好球必打の積極打法で三振数も18と圧倒的に少ない。四球わずか10個でリーグ2位の出塁率(.379)も異例。球種を問わない対応力の高さでストライクゾーンに来た球を迷わずはじき返し、打線の起爆剤となっている。盗塁数(リーグ2位の15個)も自己最多を大幅に更新。果敢に次の塁を陥れる走力も備えた理想的な一番打者だが、得点圏打率もズバ抜けて高くポイントゲッターの役割も期待される。近藤健介が離脱する中、軸となる松本剛をどの打順に置くか、BIGBOSSの悩みどころでもある。

写真=BBM