球団新記録の14カード連続勝ち越しと首位を独走するヤクルト。その強さを支えているのは生え抜きの選手たちだけではない。田口麗斗、今野龍太、高梨裕稔……「移籍組」の彼らの功績は大きい。
※成績は7月3日現在

防御率0.00の救援左腕



今季は幾度もピンチを切り抜けている田口

・田口麗斗
今季成績 26試合登板、0勝0敗1S15H、防御率0.00
通算成績 221試合登板、41勝46敗3S35H、防御率3.47

 交流戦開幕となった5月24日の日本ハム戦(神宮)で見せた田口の快投は、今季の名場面の1つだろう。1対1の同点で延長10回無死満塁の大ピンチで救援登板した田口は四番・清宮幸太郎を外角高めの直球で空振り三振に仕留めると、続く五番・万波中正はフルカウントからスライダーで遊直に。六番の宇佐見真吾には3ボールからフルカウントに整えると、最後は内角高めに渾身の直球で空振り三振に雄叫びを上げた。「田口の20球」が村上宗隆のサヨナラ2ランを呼び、交流戦優勝に向けて突っ走った。

 今季は26試合登板で15ホールド、防御率0.00。6月21日の中日戦(バンテリン)で三ツ俣大樹にサヨナラを浴びるなど2試合連続でホールドに失敗したが、走者を置いた救援のマウンドで幾度もピンチを防いでいる。救援陣の中で左腕は田口一人のため大きな負担がかかっているが、勝負どころをきっちり抑えている。

 巨人では高卒3年目の2016年に10勝10敗と頭角を現し、翌17年に13勝4敗と大きく勝ち越したが、その後は先発で結果を残せず、19年に救援に配置転換されて55試合登板で3勝1セーブ14ホールドとリーグ優勝に貢献した。昨年3月1日に廣岡大志との電撃トレードでヤクルトへ。まだ26歳と若い。今後も救援、将来的には先発でヤクルトを背負う左腕を目指す。

「高津再生工場」の最高傑作



楽天自由契約からヤクルトで能力が開花した今野

・今野龍太
今季成績 26試合登板、1勝1敗1S13H、防御率2.05
通算成績 124試合登板、9勝3敗1S41H、防御率3.72

「高津再生工場」の最高傑作と形容して良いだろう。楽天に在籍6年間で1勝に終わり、2019年オフに自由契約を受ける。同年5月に第一子の長男を授かり、「家族のためにもう少し野球をやりたい」と現役続行を希望し、手を差し伸べたのがヤクルトだった。移籍1年目の20試合登板で0勝1敗、防御率2.84。打者の手元でうなりを上げる最速152キロの直球は大きな武器で三振奪取能力が高い。敗戦処理での登板が多かったが、楽天での計15試合登板を1シーズンで上回り、首脳陣の評価も高まる。

 昨年は64試合登板で7勝1敗28ホールド、防御率2.76とセットアッパーとして大活躍。清水昇、スコット・マクガフにつなぐ「勝利の方程式」として稼働し、6年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。今季も18試合連続無失点をマークするなど抜群の安定感を誇る。パ・リーグ6球団に勝ち越しを飾る完全制覇で優勝した交流戦でも、8試合登板で無失点。現代の野球は救援陣の役割が大きなウエートを占める。今野は「強いヤクルト」の象徴ともいえる存在だ。

首位独走に貢献する先発右腕



6月23日の中日戦で移籍後初完封勝利を挙げた高梨

・高梨裕稔
今季成績 11試合登板、5勝4敗、防御率3.13
通算成績 141試合登板、39勝35敗1H、防御率3.91

 好投しながらも、6回に相手打線につかまって降板することが多かったが、この日は違った。6月23日の中日戦(バンテリン)で移籍後初の完封勝利。抜群の制球力でテンポ良く投げ込み、二塁を踏ませたのは7回の1度きりとピンチさえも作らなかった。今季5勝目をマーク。7月1日のDeNA戦(神宮)は5回を投げて今季ワーストの5失点で4敗目を喫したが、首位独走に貢献していることは間違いない。

 日本ハム在籍時の2016年に10勝2敗1ホールド、防御率2.38とブレークして新人王を獲得。18年オフに秋吉亮、谷内亮太と2対2での交換トレードで太田賢吾と共にヤクルトに移籍する。当時のヤクルトは先発のコマ不足が深刻だった。救援陣の屋台骨を支えてきた秋吉を放出してまで高梨の獲得に踏み切ったが、移籍1年目の19年は5勝7敗、防御率6.23と不本意な成績に終わり、20年も3勝6敗、防御率4.12と先発ローテーションに定着できなかった。

 昨年は移籍後最少登板の12試合だったが、4勝1敗、防御率3.63。登板試合のチームの勝敗は10勝1敗1分と救援陣の踏ん張りもあり、勝率が高かった。今季も先発ローテーションの座が確約されているわけではないが、登板した試合できっちり試合を作っている。自身2度目の2ケタ勝利でリーグ連覇に貢献したい。

写真=BBM