巨人が苦境を迎えている。春先は首位を快走して一時は貯金を11まで増やしたが、その後に失速。7月は5連敗を喫するなど借金生活に入った。2位以下は混戦が続く中、このままズルズルと負けるわけにはいかない。収穫は近未来を背負う若手たちの活躍だ。戸郷翔征、山崎伊織、大勢……巻き返しに向けて必要不可欠なピースだ。
※成績は7月19日現在

エースとなるべき男



巨人・戸郷翔征

・戸郷翔征
今季成績 16試合登板、9勝4敗、防御率2.92
通算成績 63試合登板、28勝18敗、防御率3.40

 菅野智之からエースの座を継承しなければいけない立場になったと言って良いだろう。「アーム式」と呼ばれる独特のフォームのスリークォーターから球威十分の直球、スライダー、フォークで相手を打ち取る。根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、吉田輝星(日本ハム)らと同学年の「00年世代」。2019年に聖心ウルスラ学園高からドラフト6位で入団した当時は無名の存在だったが、20年シーズンは高卒2年目で開幕先発ローテーション入りを果たすと19試合登板で9勝6敗、防御率2.76をマーク。昨季は前半戦で8勝をマークして球宴にも初出場したが、後半戦は1勝しかできず、26試合登板で9勝8敗、防御率4.27。19被本塁打、75失点はリーグワーストだった。

 力投型の戸郷はコンディションで投球内容が大きく左右される。疲労の溜まる夏場は直球が痛打される場面が目立った。今季は16試合登板してクオリティースタート(6イニング以上を投げて3自責点以内)が13度は阪神・青柳晃洋、広島・床田寛樹と並んでリーグトップタイと抜群の安定感を誇る。7月12日の阪神戦(甲子園)ではプロ初完封勝利をマーク。調子は決して良くなく8安打を浴びたが、要所を締めて成長の跡を見せた。だが、19日のヤクルト戦(神宮)は5回2/3で5失点と踏ん張れずに4敗目。後半戦の投球で真価が問われる。

期待の大きい背番号「19」



巨人・山崎伊織

・山崎伊織
今季成績 12試合登板、2勝3敗、防御率3.90
通算成績 12試合登板、2勝3敗、防御率3.90

 まだまだ発展途上だが、大きな可能性を抱かせる右腕が山崎だ。プロ2年目の今季は開幕2戦目の3月26日の中日戦(東京ドーム)で一軍デビュー。先発で6回3失点と踏ん張り、チームの白星に貢献した。4月28日のDeNA戦(横浜)で6回無失点に抑えてプロ初勝利をマーク。140キロ台中盤の直球にスライダー、シュートと横の変化で相手打者を翻弄する。5月18日の広島戦(東京ドーム)で2勝目を挙げて以降は2カ月以上白星から遠ざかっているが、登板内容は決して悪くない。試合中盤の勝負どころを踏ん張れば、自ずと白星も増えていくだろう。

 東海大4年の2020年3月に右ヒジ靭帯部分断裂と診断され、6月にトミー・ジョン手術を受けたため、ドラフトの指名にかかるか不透明だったが、巨人は2位で指名。上原浩治、菅野智之とエースの先輩たちがつけていた背番号「19」が期待の大きさを物語っている。新人の昨年はリハビリに専念したが、今季の投球を見ると順調に階段を上っていると言って良いだろう。

貢献度高い新人守護神



巨人・大勢

・大勢
今季成績 36試合登板、1勝1敗25S5H、防御率2.02
通算成績 36試合登板、1勝1敗25S5H、防御率2.02

 ここまでの戦いで、「チーム内のMVP」が大勢であることは間違いないだろう。目下10試合連続無失点でリーグトップの25セーブをマーク。蒸し暑い夏場も自慢の直球は球威が落ちず、新人最多セーブ記録「37」の更新が達成可能な目標になっている。

 今季ドラフト1位入団して守護神に抜擢されると、3月25日の開幕戦・阪神戦(東京ドーム)で40年ぶりとなる新人開幕戦セーブを挙げる。プロ初登板から7試合連続セーブと史上初の快挙を達成し、その後も安定した投球を続けている。チアゴ・ビエイラ、ルビー・デラロサと守護神経験のある投手たちが不調でファーム暮らしであることを考えると、大勢の貢献度は非常に高い。

 スリークォーター気味の変則フォームから繰り出す最速158キロの剛速球、フォーク、スライダーで三振奪取能力が高く、ピンチの場面でも内角を果敢に突ける。左打者に対して被打率.127と苦にしないのも大きな強みだ。今月19日に新型コロナウイルスに関する「特例2022」の対象選手で登録抹消されたが、新人王の最有力候補であると共に、今後の活躍次第で最多セーブ投手のタイトルも十分に狙える。

写真=BBM