プロ野球で活躍している選手たちはアマチュア球界から有名だったトップエリートだけではない。高校時代はまったく無名だった「金の卵」がその後に覚醒したケースは少なくない。千賀滉大、今永昇太、岸孝之……彼らは日の当たらないときからコツコツと努力を積み重ね、球界を代表する投手になった。
※成績は8月7日現在

国際舞台でも活躍する「育成の星」



ソフトバンク・千賀滉大

・千賀滉大(ソフトバンク)
今季成績 16試合登板、8勝4敗、防御率2.05
通算成績 218試合登板、84勝42敗1S20H、防御率2.62

 中学時代は三塁を守り、甲子園出場経験のない県立蒲郡高に進学する。投手に転向して1年夏から公式戦に登板したが、膝痛で2年秋と3年春は登板せず。3年夏の愛知県大会は岡崎商高に1対7で敗退した。全国的には無名の存在だったが、ソフトバンクから育成ドラフト4位で指名を受ける。その後の活躍は周知のとおりだ。16年から6年連続2ケタ勝利をマークし、最多奪三振のタイトルを2度獲得。コロナ禍で120試合制の20年は11勝6敗、防御率2.16で最多勝、最優秀防御率に輝いた。国際試合でも活躍する「育成の星」だ

球界を代表するセットアッパー



ソフトバンク・又吉克樹

・又吉克樹(ソフトバンク)
今季成績 31試合登板、3勝3敗1S14H、防御率2.10
通算成績 431試合登板、44勝29敗11S157H、防御率2.82

 今回のテーマで紹介する投手たちは無名の県立高校出身だが、エースとして光るモノを見せている。だが、又吉は違う。県立西原高で打撃投手での制球力を買われて二塁から投手に転向したが、サイドからの直球は最速117キロ。3年夏の沖縄県大会も2回戦敗退と甲子園は夢の世界だったが、ここから成り上がる。環太平洋大学、独立リーグ・香川でメキメキと力をつけてドラフト2位で中日に入団。球界を代表するセットアッパーとして活躍し、昨オフにソフトバンクにFA移籍。子どもたちの励みになるサクセスストーリーだ。

ノーヒッターにもなった左腕



DeNA・今永昇太

・今永昇太(DeNA)
今季成績 12試合登板、5勝3敗、防御率2.94
通算成績 134試合登板、51勝45敗4H、防御率3.39

 中学時代は軟式野球部に所属していたが、体が小さく際立った成績も残していないため野球強豪校から誘いがなく、自宅近くの県立北筑高に進学。入学当時は直球が126キロだったが、3年夏に144キロまで伸ばす。3年夏は県大会4回戦敗退と甲子園に縁がなかったが、県内屈指の好投手としてプロの評価も高かった。駒大進学後にドラフト1位でDeNAへ。1年目の2016年から先発ローテーションに入り、19年に自己最多の13勝をマーク。今年6月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)でノーヒットノーランを達成した。

西武、楽天で先発の柱に



楽天・岸孝之

・岸孝之(楽天)
今季成績 16試合登板、7勝5敗、防御率2.96
通算成績 342試合登板、148勝99敗1S、防御率3.05

 宮城県には東北高と仙台育英高という全国屈指の強豪校があるが、仙台市出身の岸が進学したのは県立名取北高校。2年からエースとなったが甲子園出場はならず。同学年の東北高・高井雄平(現楽天二軍打撃コーチ)が「高校No.1左腕」と注目を集めたのに比べると知名度は低かったが、東北学院大を経て西武にドラフト1位で入団すると、エース格として活躍。2017年から楽天にFA移籍後も、18年に最優秀防御率(2.72)を獲得するなど先発の柱として稼働している。今季は自身9度目の2ケタ勝利を十分に狙える。

7年連続50試合以上登板の鉄腕



ソフトバンク・森唯斗

・森唯斗(ソフトバンク)
今季成績 19試合登板、1勝4敗6S2H、防御率2.50
通算成績 454試合登板、22勝24敗127S104H、防御率2.84

 球界を代表する守護神として活躍する森だが、高校時代は無名の存在だった。県立海部高では2年秋に背番号1をつけたが、3年夏の徳島県大会で3回戦敗退と甲子園は遠かった。当時クラブチームだった三菱自動車倉敷オーシャンズで4年目に頭角を現し、ソフトバンクにドラフト2位で入団。1年目から7年連続50試合以上登板と鉄腕ぶりを発揮した。セットアッパーとして活躍し、デニス・サファテの後継者として18年に守護神で37セーブを挙げて最多セーブ投手のタイトルを獲得。今季は振るわないがV奪回に欠かせない右腕だ。

写真=BBM