今季、栄光の開幕投手を務めた男はどのようなシーズンを送ってきたのか。セ・リーグ6球団「開幕投手」の現在地を探る。
※記録は8月12日現在

阪神タイガース



阪神・藤浪晋太郎

 開幕投手の予定だった青柳晃洋が新型コロナの陽性になり、急きょ藤浪晋太郎が指名された。2年連続で開幕投手を務めることになり7回を3失点にまとめ、打線も8点を奪っていたため開幕勝利をつかみそうだったが、降板後の9回に大逆転を喫した。続いて2試合先発したあと、勝ち星のないまま中継ぎに回ることに。その後、先発に専念するため二軍で調整し、出番を待った。8月6日の広島戦(マツダ広島)で約4カ月ぶりに一軍で先発登板を果たし、6回1/3を投げ5安打2失点。試合は9回にサヨナラ負けとなったが、矢野燿大監督は「まあ、いい内容」と評価し、これから後半戦へ向け先発として大きな戦力となりそうだ。

横浜DeNAベイスターズ



DeNA・東克樹

 トミー・ジョン手術明けの昨年10月23日中日戦(横浜)で792日ぶりの勝利を挙げた東克樹。完全復活を期した今季、キャンプ中の好調ぶりから開幕投手に任命されたが、迎えた3月25日の広島との開幕戦(横浜)は5回途中に手の皮がめくれ降板(失点4、自責点2)。そのまま同27日に登録抹消。4月13日巨人戦(那覇)で一軍復帰も、好不調の波が激しく5月15日から二軍再調整に。体を絞り、昇格後の6月23日巨人戦(東京ドーム)以降は、3試合で防御率1.86と安定していた。ところが7月14日に新型コロナ陽性判定を受け、今季3度目となる離脱。それでも、8月7日のイースタン・ロッテ戦(浦和)で3回を無失点5奪三振にまとめ復帰のメドは立った。最終盤の戦いで開幕投手の意地に期待したい。

読売ジャイアンツ



巨人・菅野智之

 球団史上最多となる8度目の開幕投手を務め、同じく最多の開幕5勝目をマーク。上々のスタートを切った菅野智之だが、その後は思うような投球ができていない。6勝5敗、防御率3.56では「エースの数字」とは言えないだろう。さらにオールスター前に新型コロナウイルス陽性判定を受けて離脱を余儀なくされた。3週間ぶりの実戦登板となった8月11日のイースタン・ロッテ戦(ロッテ浦和)では2本の本塁打を浴びるなど2回4失点。「抑えた、打たれたではなく、打者に投球できたことがよかった」と前を向いたが、背番号18がどんな形で一軍のマウンドに戻ってくることができるかに注目だ。

東京ヤクルトスワローズ



ヤクルト・小川泰弘

 チーム内で唯一規定投球回に到達しているのが小川泰弘だ。今季は投球フォームを変更して迎えたが、開幕戦で3回4失点降板。4月終了時点で防御率は5.68にまでふくれあがっていた。しかし、昨年までのフォームに戻してからは球威が増し、5月3日の阪神戦(甲子園)で完封勝利。見違えるような投球を見せ、6月には月間MVPも受賞した。ただ、7月からは再び打ち込まれる場面が増え、6月28日以降白星が遠ざかっている。チームが6連敗中の8月12日のDeNA戦(神宮)も6回4失点と試合を作れず。シーズンを通して安定した投球ができておらず、リーグ7位の防御率2.89ながら5勝7敗と負け越している。

広島東洋カープ



広島・大瀬良大地

 開幕戦では4年連続4度目の大役を見事に務めて今季初勝利。3・4月は6試合4勝1敗、防御率2.25で4年ぶり2度目となる月間MVPを獲得した大瀬良大地だったが、今は……。ここ3試合を見ると、エースどころか先発投手としても失格と言っていい内容だ。序盤戦は前述した成績だけでなく、高いクオリティースタート(6投球回以上で自責3以下)率も記録し、チームを引っ張ってきた。しかし、交流戦で調子を崩し、6月24日のDeNA戦(横浜)で今季2度目となる完封勝利を挙げたものの、7月1日の巨人戦(マツダ広島)を最後に勝利からは遠ざかっている。特にここ3試合は3回4失点、5回3失点、3回5失点でKO。佐々岡真司監督は次回登板について「ちょっと考えている」。本来は笑顔が似合う大瀬良。投球も笑顔も、早く取り戻してもらいたい。

中日ドラゴンズ



中日・大野雄大

 負けが大きく先行している。17試合に登板して5勝7敗。今季もまた例年の課題でもあるスタートダッシュに失敗した。先発ローテーションを守り、防御率2.70と3点以内に収めているところはさすがだが、勝敗だけで言えば圧倒的に物足りない。それは大野雄自身が一番感じていることだろう。今年から立浪和義監督の意向で投手の主将に任命されたものの、この数字ではとても合格点とは言えない。5月6日の阪神戦(バンテリン)では10回二死までのパーフェクト投球。打線の援護に恵まれず、ロースコアの展開が多いのは確かだが、先に点を与えてしまう試合も少なくない。8月12日の阪神戦(京セラドーム)で完封勝利を飾ったが、最下位脱出、またCS進出のためにも、ここからは何よりも勝ち星を増やしていきたい。

写真=BBM