オフになると注目されるのはFA権を擁している選手の動向だ。チームを離れる決断を下すのか、それともとどまるのか。その行方が来季の優勝争いに大きく影響を及ぼす。ここでは、今季FA権を取得したセ・リーグ6球団の主な選手の現在地を探っていく。
※記録は8月28日現在

中日ドラゴンズ



中日・高橋周平

 6月に国内FA権を取得したのが高橋周平だ。「ここまで支えてくださった皆さんに感謝したい」とコメントを残したが、権利を行使するかどうかは「今はシーズン中なので、目の前の試合に集中します」と明言を避けた。プロ11年目の今季は開幕直前に左足首を捻挫。1カ月ほど出遅れたが、その後もクリーンアップに座りながら期待に応えられず、7月中旬から脇腹を痛めて再び二軍行き。現在は一軍復帰に向けて調整中だ。今季ここまで打率.246、2本塁打に15打点はあまりに寂しい数字。背番号3を背負うミスタードラゴンズだけに移籍は考えづらく、残留が濃厚だが、高橋周がどう決断を下すのか注目が集まる。ほかには松葉貴大、加藤翔平が国内FA権を手にしている。

阪神タイガース



阪神・岩貞祐太

 昨季から中継ぎ専任での登板が続いている岩貞祐太。力のある真っすぐは健在で今季は44試合に登板し、2勝0敗7ホールド、防御率1.54と左腕リリーフとしてチームをけん引している。勝ちパターンはもちろん、反撃を期待して劣勢のときでもマウンドに上がっている背番号17。その岩貞が8月27日に国内FA権を取得した。「シーズン中なので、今はまだ目の前の試合に集中するだけですし、何も考えていません」とコメント。まずは全力で目の前の登板と、チームの勝利に貢献するのみという考えだ。

横浜DeNAベイスターズ



DeNA・嶺井博希

 ここまで今季、新たに国内FA権を取得したのは、三上朋也、嶺井博希の2人。三上は通算364試合登板の右腕で、新人年の2014年から65試合登板。近年の成績はもどかしい部分もあるが、どんな場面でも登板してきた功労者だ。嶺井は今季、チーム内捕手最多の71試合に出場し、投手陣を支えている。「今は横浜DeNAベイスターズの勝利を第一に考えプレーしていきたいと思います」と含みはあるが、チームとしても手放したくない存在だろう。三嶋一輝、桑原将志も今季取得見込みだが、両選手ともにすでに昨年から複数年契約を結び、主力選手の流出は絶対に避けるという球団の意志が見える。濱口遥大の女房役として知られる高城俊人も今季中の国内FA権取得の可能性が高い。

東京ヤクルトスワローズ



ヤクルト・西浦直亨

 昨季は山田哲人が海外FA権を取得したが、今季は国内、海外ともにFA権取得者は0人。ただ、これまでの実績から言えば、今季の国内FA権取得者として名が挙がるはずだったのが9年目の西浦直亨だ。2014年に法大からドラフト2位で入団した西浦は、堅実な守備を武器に1年目の開幕戦から出場。18年には自己最多の138試合に出場、日本一の昨季も92試合に出場するなど、チームに欠かせない存在としてプレーしてきた。しかし、今季はオープン戦から課題である打撃が上向かず、高卒3年目・長岡秀樹とのショートのレギュラー争いに敗れた。開幕一軍を逃した西浦は、今季の一軍出場はわずか6試合。打率.071と苦しいシーズンを過ごしている。

読売ジャイアンツ



巨人・丸佳浩

 2度目のFA権を獲得した丸佳浩だが、今季は5年契約の4年目。来季もジャイアンツのユニフォームで戦うことが既定路線だ。広島からFA移籍後も主軸としてチームをけん引。昨季は打撃不振に苦しみ二軍落ちも経験したものの、今季はクリーンアップから一、二番とさまざまな打順を任されながらもコンスタントに快音を響かせ、7年連続の20本塁打をクリア。24本塁打は同僚の岡本和真と並ぶリーグ2位タイだ。出塁率.375は本来の姿からすればやや物足りない数字だが、これからも代えのきかない存在であることは間違いない。

広島東洋カープ



広島・野間峻祥

 今季より野手キャプテンを務める野間峻祥が、国内FA権を取得した。8月16日に新型コロナウイルス感染が発覚して離脱。特例2022の出場登録抹消により、19日にFA権取得条件を満たすと、復帰した28日にコメントを残した。「残りのシーズンがある。コロナで離脱したので、ここから残り試合、チームに貢献できるように頑張ります。一軍にいないと取れない権利。プロ野球選手として良かったと思う」。

 即戦力として2015年ドラフト1位で入団。ルーキーイヤーから127試合に出場したが、2年目以降はケガや不振などもあり、満足いく結果を残せない時期も長かった。今季は序盤戦こそ調子が上がらず二軍降格を味わったものの、夏場にかけて状態を上げてきて一番に定着。俊足を生かした出塁も目立ち、好機を演出してチームをもり立てた。それだけにコロナ離脱は自身にとってもチームにとっても痛かったが、ここからの巻き返しを誓う。

 また、西川龍馬も故障者特例措置によって24日に国内FA権を取得。勝負強い打撃でチームの中軸に座る好打者は、今季は下半身のコンディション不良で長期離脱があったものの、後半戦に入り復帰すると、さすがの打撃を見せている。公私ともに仲の良い2人。オフシーズンにどんな決断を下すか、注目は集まる。

写真=BBM