スキのない戦いで目下5連勝



9月6日の中日戦で5号先制3ランを放って4連勝に貢献した秋山

 広島が好調の2位・DeNAを相手に9月2日からの3連戦で同一カード3連勝。しかも、3試合連続完封勝利の球団タイ記録を達成した。打線も勝負どころで得点を奪い、下位に低迷している球団とは思えない戦いぶりだった。7日の中日戦(バンテリン)もプロ初先発のドラフト2位左腕・森翔平が5回1失点と踏ん張りプロ初勝利をマーク。5連勝に伸ばした。

 2016〜18年にリーグ3連覇を飾ったが、19年以降は3年連続Bクラスに低迷。投打でタレントはそろっているが、広島らしい粘りの野球が影を潜めた。今季もツボにはまると強いが、負のスパイラルに入るとなかなか抜け出せない。開幕から6連勝と最高のスタートを切ったが、交流戦で5勝13敗の12位と大きく失速。波に乗れない中、6月下旬に電撃加入したのが秋山翔吾だった。

 メジャーでプレーした2年半では思うような結果を残せなかったが、西武時代に最多安打4度、首位打者1度獲得した高度な打撃技術はさびついていない。7月8日に一軍昇格すると攻守で起爆剤になり、前半戦で借金を完済する。

 広島OBの川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、秋山加入のプラスアルファについて以下のように綴っている。

「この補強が大成功となれば、今後、広島が補強により積極的になる可能性もある。カープの歴史の大きな分岐点になるかもしれないね。もちろん、野球はやってみなきゃ分からない。秋山が入ったからと言って、すぐカープが強くなるわけではないだろう。ただ、彼が西武時代のようなパフォーマンスをしてくれるなら打線では三番固定だろうから、四番・マクブルーム、五番・坂倉将吾でクリーンアップが固まる。守備もセンターの固定で外野守備が鉄壁となり、チームが攻守でレベルアップすることは間違いない」

「仮に年齢でパフォーマンスに衰えがあったとしても、メンタル面での貢献への期待がある。誰に聞いても秋山の悪口は聞かない。人柄がよく、野球への情熱があり、後輩に惜しみなく自身の技術、経験を伝えている。近年のカープの大きな問題の1つに中堅クラスまでは行けるが、そこから上、絶対的なレギュラーをなかなかつかめないという、いわばトップの壁がある。それを超えるための生きたアドバイスの言葉が、成功もそして失敗も経験した秋山にはあると思う。いろいろな意味で、秋山にはカープの野球を変える男になる可能性がある」

安定した投球が望まれる右腕2人



残り試合で“奮投”が期待される大瀬良[写真]、九里

 だが、後半戦に入ってなかなか勝てない。球宴明けに7連敗と大きくつまずくと、8月中旬に主力選手たちが新型コロナウイルスに感染した影響もあり借金がふくらむ。8月30日からの敵地・甲子園で同一カード3連敗を喫して今季ワーストの借金9に。最下位転落危機を迎えたが、DeNAに本拠地・マツダ広島で3試合連続完封勝利を飾った。上昇気流に乗るきっかけにしたい。

「今後の戦いでキーマンは大瀬良大地と九里亜蓮だと思います。この2人が先発の柱として稼働しないとチームは勢いに乗れない。大瀬良は8勝を挙げていますが、好不調の波が激しく今季は2度登録抹消されている。九里も不安定な投球が続き、7月に救援に配置転換された時期がありました。能力、実績を考えてもダブルエースとして活躍してもらわなければ困る投手です」(スポーツ紙記者)

 3位・阪神と1ゲーム差。リーグ優勝は厳しくなったが、クライマックスシリーズ進出の可能性は十分に残されている。爆発力があるチームだけに、シーズン終盤に意地を見せてもらいたい。

写真=BBM