チーム本塁打はヤクルトと並ぶが…



岡本ら5人の選手が20本塁打以上を放っている巨人打線

 2年連続V逸が決定し、クライマックスシリーズ(CS)進出圏内の3位を狙う巨人。スタメンの顔ぶれを見ると破壊力抜群だが、得点力に結びついているとは言えない。

 今季は岡本和真が29本塁打、丸佳浩が27本塁打、グレゴリー・ポランコが24本塁打、アダム・ウォーカー、中田翔が23本塁打と5選手が20本塁打を達成している。1シーズンで5人以上が20本塁打をマークしたのは球団史上2007年以来15年ぶり4度目の快挙だ。同年は高橋由伸が35本塁打、阿部慎之助が33本塁打、小笠原道大が31本塁打、イ・スンヨプが30本塁打、二岡智宏が20本塁打を記録し、5年ぶりのリーグ優勝を飾っている。

「20本塁打クインテット」が誕生しているにもかかわらず、今季は優勝争いから脱落して借金生活に。苦戦の理由は何だろうか。首位を快走するヤクルトと比較すると、総本塁打数はヤクルト、巨人がリーグトップで同数の161。盗塁数もヤクルトが68に対し、巨人は63と大きく変わらない。だが、総得点でヤクルトがリーグトップの581に対し、巨人はリーグ3位の534と40点以上の差がある。


07年には高橋由ら5選手で149本塁打をマークした

 両軍を取材するスポーツ紙の遊軍記者は、こう分析する。

「ヤクルトは日本記録の60本塁打超えを狙う四番・村上宗隆の存在が大きいのは間違いないですが、塩見泰隆、山崎晃大朗、山田哲人と上位を打つ3人を中心に足を絡めたり、小技やヒットエンドランを仕掛けるなど得点のバリエーションが多い。巨人は確かに破壊力がありますが、1点を取る野球に長けているわけではない。打ち出すと止まらないが、つながりを欠いて抑え込まれる試合が少なくない」

 07年は本塁打を打つ打者がそろっていただけでなく、チャンスメークする役者もそろっていた。一、二番は高橋由、谷佳知がチャンスメーク役を務め、下位打線には勝負強さが光ったデーモン・ホリンズ、状況に応じたしぶとい打撃ができる木村拓也、脇谷亮太が追い込まれてもファウルで粘り、相手投手に球数を投げさせるなど消耗させていた。個々の能力に頼るのではなく、文字どおり打線として機能していたためどこからでも得点が取れた。同年の692得点はリーグトップ。2位・中日の623得点に70点近くの差をつけた。

チャンスメーク役が稼働せず



好成績を残した昨年から一転、今年は不調に陥った松原

 今年の巨人は07年と対照的に、チャンスメーク役を務める選手たちが稼働しなかったことが大きな誤算だった。主将の坂本勇人は開幕前を含めて3度の故障で戦線離脱。昨季135試合出場で打率.274、12本塁打、37打点、15盗塁と大きく飛躍した松原聖弥が精彩を欠いたのも想定外だった。今季は50試合出場で打率.113、0本塁打、4打点、2盗塁。思い切りのよい打撃が影を潜め、一軍定着もできなかった。

 タレントの中居正広は今年1月に週刊ベースボールのコラムで、「それこそ野手では松原聖弥。彼の成長というのはジャイアンツにとっては非常に大きなポイントになりますし、僕としては松原と吉川尚輝のさらなる飛躍に期待したいです。中軸には右の坂本勇人、岡本和真がいますから、左でなおかつ機動力も使える松原と吉川がさらに機能すれば、相手チームにとっては相当厄介な打線になるはずです」と占っていたが、極度の打撃不振で機能しなかった。

 負けられない戦いが続く中、ド派手な本塁打攻勢だけでは白星を積み重ねられない。「20本塁打クインテット」につなぐ吉川尚輝、坂本の一、二番がどのような働きを見せられるかが、打線の大きなカギを握ることになりそうだ。

写真=BBM