11選手に自由契約



FAで移籍して2年目を終え、自由契約となった梶谷

 巨人が梶谷隆幸、中川皓太、高橋優貴、平内龍太、立岡宗一郎ら11人と自由契約を通告したことが大きな反響を呼んだ。上記の選手たちは故障からのリハビリ中で復帰には時間がかかると判断された。全選手と育成契約を結ぶ見込みで、一軍の舞台で活躍できる水準に達したときに支配下昇格となる。

 梶谷はFA移籍の際に4年契約を結んだが、2年目を終えて異例の育成契約で再出発する。昨年10月に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けたが、復帰を目指していた段階で左ヒザに痛みを抱え、今年5月に左ヒザ内側半月板縫合手術。今季は一軍出場なしに終わった。セットアッパーとして稼働してきた中川も2月の春季キャンプ前に腰痛を発症。シーズン中もリハビリ生活が続き、実戦登板なしに終わった。

 左腕エースとして期待された高橋は1勝のみに終わり、9月に左ヒジのクリーニング手術を受けた。平内はプロ2年目の今季53試合登板と台頭したが、11月に右ヒジのクリーニング手術を受ける。立岡も外野の守備で試合中に味方野手と交錯して負傷交代。6月に左ヒザ前十字靱帯再建手術を受け、実戦復帰を目指してリハビリを行っている。

本来の趣旨とは違う形で


 主力選手たちの自由契約が波紋を呼んだのは、若手育成という本来の趣旨で導入された「育成契約」が本来の目的と違う形で運用される危惧があったからだろう。1965年にドラフト制度が導入されてから、支配下登録選手枠の上限である60人を超えた場合、「練習生」という扱いだったが、有望な選手を囲い込むケースが相次いだため、1992年以後は練習生契約が禁止に。その後、支配下登録選手の上限は70人に拡大されたが、アマチュア選手のプロ入りの門戸を広げるため、2005年11月に育成枠の導入が決まった。

 スポーツ紙デスクは、「今回の巨人に限らず、故障からの復帰を目指す選手と育成契約を結ぶことが、FAの人的補償対策とみなす声が少なくない。FAでAランク及びBランクの選手を獲得した場合、人的補償の対象から外れる28人を事前にプロテクトできる。この28人から一軍でプレーしてきた選手たちも何人か外れてしまう。そこで支配下から育成枠契約に切り替えれば、人的補償の対象選手から外れる。ただ、巨人からすればリハビリ中の選手が来季の戦力として現時点で計算できないため、支配下登録しないという言い分があるでしょう」と言う。

MLBは故障者リスト


 参考になるのが、メジャー・リーグの故障者リストだ。ケガなどの理由により、試合出場が困難な選手を登録し、リスト入りすると公式戦に出場できない。一方で自由契約ではなくチームの登録枠には入っているため、他球団は故障者リスト入りした選手を獲得できない。NPBも1992年〜96年まで導入されていた。当時は一軍枠が40人、二軍枠が30人という制約があったが、その後に一、二軍の枠を撤廃したことで故障者リストは自然消滅する形となった。

 ただ、再び故障者リストを導入しても、リスト入りした選手がシーズンオフのFAの人的補償の対象になるかという議論は浮上するだろう。12年オフに寺原隼人がFAでオリックスからソフトバンクに移籍した際、人的補償で馬原孝浩がオリックスに移籍したケースが浮かぶ。馬原は右肩を手術したため、12年は一、二軍通じて登板なしだった。プロテクト枠から外れ、リリーバーとしての実績を高く評価したオリックスに指名された。

 実績のある選手たちが故障した際に育成契約を結ぶケースが、今後も続く可能性が考えられる。新たな制度の整備を検討する必要があるだろう。

写真=BBM